止まらなければ届く|にしおマラソンで見た“2”の瞬間

大会記事

みなさんこんにちは。

ラン歴13年のみつ (@hiroki.mitsunaga) が2026/1/18に開催されたにしおマラソンに参加してきました。

目標はグロスでサブ3とPB更新(2:59:42)

1ヵ月前に人生初サブ3を達成した私。

いまだに信じられない気持ちですが、もう一度サブ3して証明したい。

今回はオカノヤマのゆっきーさんとながたさんが非公認サブ3ペーサーをやってくれるので、ゴールまで付いていく作戦です。

にしおマラソンはたくさんの仲間や知り合いがいるので、とにかくパワーをいただける大会。

激坂はあるけど、そんなの関係ねー。

2大会連続サブ3を目指して挑戦してきました。

【にしおマラソン】レース動画(Instagramリール) 

この記事を執筆している筆者の簡単なプロフィールになります。

現在の目標はグロスでサブ3。

アシックス大好きランナーでもあります。

  • 34歳(はじめは10km走れない状態)からランニングを始め現在47歳
  • 初フル5:35:29(2015) 名古屋アドベンチャーマラソン
  • フル2:59:42(2025) みえ松阪マラソン
  • ハーフ1:23:51(2025) お伊勢さんマラソン
  • クォーター40:36(2025) 大府シティ健康マラソン
  • 10km39:27(2023) 刈谷市かきつばたマラソン
  • 100kmウルトラマラソン完走10:24:26(2025)チャレンジ富士五湖
  • 118kmウルトラマラソン完走14:32:45(2023)チャレンジ富士五湖
  • 100kmトレイルランニング完走24:05:29(2024)志賀高原100
  • 100マイルトレイルランニング完走44:15:44(2024) Mt.FUJI100
みえ松阪マラソン2025

結果

記録証

にしおマラソン2026の結果になります。

ネット 2:58:37 (1分5秒PB更新)

グロス 2:58:55

グロスでサブ3&PB更新、共に達成しました!

2大会連続のサブ3、正直出来すぎです。

今回はゆっきーさん、ながたさんが引っ張るオカノヤマ列車に乗車したので安心感が半端なかった。

だから時計はほとんど見ていません。

時計を見ないフルマラソン。

これ、すごくいいです。

最近のマイブームになっています。

あと、にしおマラソンはたくさんの仲間に応援してもらえるので、スタートからゴールまでずっと楽しかった。

激坂や踏切はあるけどそれも含めて全部が楽しい。

まだ第4回で歴史は浅いけど、年々いい大会に進化しています。

いろんな大会に出ている私ですがお世辞抜きで、にしおマラソンはいい大会だと思う。

この先もにしおは出続けること間違いなしです。

ラップ表

コース

コース

スタートは西尾市役所、ゴールは横須賀公園。

前半は駅前、茶畑と応援をたくさん感じられるので気持ちよく走れます。

中盤は矢作川や太平洋の海沿いを走るので爽快感たっぷり。

ただ周りに何もないため、風の影響を受けやすいのがポイント。

レース当日、風が吹かないことを願いたい。

終盤は畑、トンネル、激坂。

にしおマラソンの激坂はかなりきついので要注意(※実際は上り坂が3回あります)

激坂を除けば全体的にフラットコースなので走りやすいと思います。

広い道はほとんどなく、住宅街や路地裏といった細い道がコースになります。

タイムが狙えるかと言えば、激坂はありますが1月開催で気温も低めなのでまずまず狙えると思います。

当日の朝

5:30

自宅を出発。

6:25

大会指定駐車場に到着。(デンソー西尾製作所)

そこからシャトルバスに乗って西尾駅へ向かいます。

6:50

西尾駅に到着。

会場までは徒歩5分くらい。

朝焼けがとてもきれいだった。

6:55

スタート会場の西尾市役所に到着。

冬のレースは朝がめっちゃ寒いけど、市役所の中が使えるので本当にありがたい。

寒さ対策もバッチリです。

オカノヤマメンバーと合流した後は、会場付近を少し散歩。

雲一つない朝焼けの中、たくさんのラン友さんに会うことができました。

8:00

集合写真を撮るため、外へ。

笑顔あふれる仲間の顔を見たら、不思議と力が湧いてきた。

それだけで「今日はいける」と思えた。

朝のこの楽しいひとときが、もうすでにレースの一部みたいでたくさんの人から元気をもらった。

写真を撮って、荷物を預け、ウォーミングアップして、トイレを済ませる。

よし、準備完了。

いよいよ、レースが始まる。

8:35

スタート地点に整列(Aブロック)

天気は快晴。

寒くもないし、風もない。

レース中は風速4mの予報だけど、海沿いは追い風になる感じ。

だから今日はチャンスデーと思った。

DJケチャップさんのトークが会場を包み込み、和太鼓の音が腹の底まで響いてくる。

にしおマラソンのスタート前はお祭りみたいな雰囲気だから緊張しないのがいい。

8:57

スタート3分前。

今日のイメージをする。

オカノヤマで一緒に練習しているゆっきーさん、ながたさんが今回サブ3で引っ張ってくれるので最後まで付いていく作戦。

時計はほとんど見ない。

4:13で走り続けていると思い込む。

やることは至ってシンプル。

ただ肝心のゆっきーさん、ながたさんの姿が見えない。

たぶん前の方にいると思うが、整列に遅れたせいでスタート位置がけっこう後ろになってしまった。

8:58

スタート2分前。

寒さ対策で着ていたカッパをどうしようか迷ったが、とりあえずは着たまま走って途中で捨てる予定。

8:59

スタート1分前。

スーーーーハーーーー。

いつものルーティーンで大きく深呼吸して胸を2回叩く。

大丈夫、きっとうまくいく。

2時間台でゴールしている自分の姿を想像する。

、、、。

んーーー、なんだろう。

いつものスタート前とは何かが違う。

今から本当にフルマラソンを走るのか?

こんなにリラックスしてていいのか?

いい意味でまったく緊張していなかった。

これが吉と出るか凶と出るかは走ってみないと分からない。

静かに目を閉じてスタートを待った。

スタート~10km

9:00

号砲が鳴った。

DJケチャップさんの「いってらっしゃーーーい」の声を聞きながらゆっくり前へ進んでいく。

Aブロックだったけど18秒後にスタートゲートを通過。

スタート時の気温は7℃。

そこまで寒くなく、最高気温も14℃まで上がる予報なので寒さが苦手な私にとってはベストコンディションだった。

さらに風の影響を受けやすいにしおマラソンだが、今年はほぼ無風。

みえ松阪マラソンに続き、天候に恵まれている。

いいじゃん。

どうやら日頃の行いがいいみたい。

今回の目標はグロスでサブ3と自己ベスト更新(2:59:42)。

先月初めてサブ3を達成したばかりなので、まぐれじゃないことをこのレースでも証明したかった。

1km 4:18

まずまずの滑り出し。

焦ることなく理想の入りができた。

ただ今回引っ張ってもらうゆっきーさん、ながたさんの姿はまだ見えない。

おそらく前を走っているはずだが、無理して追いついてもダメージが残るだけだから、じわじわ追いつく作戦で。

走っている途中でまみちゃんに出会い、ゆっきーさん、ながたさんは前にいますと教えてもらう。

ちゃんと前にいることが分かったのでとりあえずは一安心。

お互いがんばろうと声を掛け合った。

2km

カッパは脱ぐべきだった。

今日はそこまで寒くないし、ひらひら揺れるカッパがとにかく邪魔だった。

早く手放したいのに、こういう時に限ってエイドはなかなか現れない。

冬の大会は、スタート前のカッパ問題がけっこうある。

着るか、脱ぐか、捨てるか。

そして、だいたい後悔する。

道幅がギュッと狭くなり住宅街の裏道をすり抜けると、まるで舞台の幕が上がるように視界が一気に開けた。

目の前には、きれいに整えられた茶畑がずっと続いている。

マラソン中に、こんな茶畑の中を走ることがあるだろうか。

思わず心の中でつぶやく。

これは、完全なる非日常だ。

楽しいメーターが一気に上昇していく⤴

稲荷山茶園公園前に差しかかると、右手に現れたのは茶摘み娘たち。

絣(かすり)の着物に身を包んだ女性たちが、手を振りながらランナーにエールを送ってくれる。

その笑顔は、応援というよりも歓迎に近かった。

茶畑と茶摘み娘。

「ようこそ、西尾市へ」

そんな声が、風に乗って聞こえてきた気がした。

茶畑を後にすると矢作川の堤防沿いを走っていく。

周りには遮るものがないから、風を少し感じる。

カッパはまるでマントみたいになっていた。

手で持って走ろうか迷ったが、脱ぐ作業が大変そうに思えたのでゴミ箱が現れるまで辛抱することにした。

4km

エイドはまだ現れない。

気になりだすと頭の中がカッパのことでいっぱいになった。

アンダーパスをくぐり5kmを迎える手前で、ついにエイドが現れてくれた。

やっと現れたかー。

水を飲むよりまずはカッパを捨てたい。

右、左。

案外スムーズに脱げた。

手で丸めていざゴミ箱へ。

やっほーーーーい!

ストレスから一気に解放された。

「今まで温めてくれてありがとう」

カッパに感謝を告げた。

だいだいと黒。

あれはドコムランニングのユニフォームだ。

横に並ぶといながきさんが声を掛けてくれた。

サブ3を意識している者同志、とりあえずリラックスしていきましょうと言葉を交わした。

この辺りは道もきれいだし応援もたくさんあるのでとても走りやすかった。

8km

矢作川とはさよならして、ここからは田園地帯を走る。

右も左も畑が広がっていて空がとにかく広い。

白のジャージと青のキャップ。

学生さんたちの熱量がすごかった。

大きな声、手書きのボード、全力のハイタッチ。

その一つ一つが、背中を押してくれる。

10km

かなり先ではあるが大集団を発見。

おそらくサブ3集団だろう。

頭につけた風船が、ゆらゆら揺れているのが確認できた。

早く追いつきたい気持ちはあるが、まだけっこう離れている。

焦らず、ゆっくりで大丈夫。

集団に追いつくのを楽しみに走った。

今回の設定ペースは【4:10~4:14】 サブ3ペーサーに付いていく作戦

2km 4:14

3km 4:25

4km 4:19

5km 4:20

6km 4:09

7km 4:12

8km 3:58

9km 4:03

10km 4:10 (41:39)

私の中で10kmはウォーミングアップ終了のイメージ。

10km~20km

12.4km

エイドに差し出されたのは、西尾の抹茶グリーンティと抹茶カヌレ。

カヌレ好きの私にとって、これはたまらない逸品。

グリーンティには目もくれず、紙コップに入ったカヌレを手に取って口に運ぶ。

表面はカリッとしていて、中はもっちりとした弾力がある。

甘さは控えめで、抹茶のほろ苦さがあとから静かに追いかけてくる。

うん、やっぱりカヌレはおいしい。

にしおマラソンで食べるカヌレは絶品なので、出場される方はぜひ食べてほしい。

13km

前方に、あきらさんの姿を発見。

後ろから追いついて声をかけた。

「調子はどうですか?」

「あんまり調子よくないね」

「無理せずいきましょう」

短い返事だったけど、その一言にはいろいろなものが詰まっている気がした。

すぐ前にはヨシさんもいる。

同じ時間、同じ場所を走っているだけで不思議と心が落ち着く。

人は一人で走っているようで、実はずっと誰かと並走しているのだと思う。

13.5km

カーブを右に曲がると赤い服とミニーちゃんの帽子が視界に飛び込んできた。

まみぃとかなさん、とすぐにわかった。

ほんの少しだけコースを外れて近づくと、「みつくん、ファイトーーー!」という声が飛んできた。

左手を大きく伸ばして、ハイタッチ。

応援してくれる人がいるって本当にうれしい。

その瞬間だけじゃなく、しばらく頭の中でその声と姿が残っているからまた元気をもらえる。

応援って、やっぱりものすごい力を秘めていると思った。

14km

背中に大きく描かれた「オカノヤマ」の黄色い文字。

ひときわ目立つ真っ赤なTシャツ。

非公認サブ3ペーサーのゆっきーさんとながたさんだ。

オカノヤマの二人に自分がちゃんとこの集団にいることを告げた。

まだ半分も来てないのに、二人の背中についていけばサブ3ができるという安心感。

とても心強かった。

集団走には、いくつかの利点がある。

風を切らなくて済むし、時計とにらめっこしなくてもペースが保たれる。

けれど集団というものは、同時に小さな緊張も連れてくる。

足が絡まないか、給水所で接触しないか。

転びたくない一心で声を掛け合い手を挙げて合図を出すが、それでも思い通りにいかない瞬間はある。

どの場所で走るか。

誰の後ろにつくか。

ストレスを減らすことも、マラソンの戦略のひとつだと思う。

集団の前、真ん中、後ろ。

選択は人それぞれだが、今回はオカノヤマの二人の少し後ろで走ることにした。

ゴール後に三人で笑い合っている光景を一瞬だけ思い浮かべて、自分の世界へ戻った。

15km

赤鬼に扮したのりさんを発見。

このあたりから、応援の密度がぐっと増してくる。

「ナイスペース、 ナイスラーーーン!」

「ここにいたかー、すごいなー。いこういこう、サブ3!」

声のかけ方がとにかく上手で、走っているという事実を忘れそうになる。

それくらい、自然に会話を楽しんでいた。

「まだまだたくさんの人が来るはずだから、のりさんもがんばってーーー」

「ありがとーーー」

フルマラソンはこういう一瞬があるかどうかで、まったく別の物語になる気がしている。

少し先にはえっちゃんの姿もあったし、この区間は本当に楽しかった。

19km

ああ、気持ちいい。

右手には太平洋が一面に広がっている。

太陽の光を跳ね返しながら、水面が細かくきらめいていた。

海沿いコースは、風が強ければ容赦なく体力を奪ってくる。

けれど今日は違った。

風はおとなしく、空気はやわらかい。

天気が味方してくれている、そう思いながら走っていた。

太鼓の音が遠くから聞こえてくる。

一色さかな広場が近づいてきた証拠だ。

このエイドには鰻がある。

楽しみにしているランナーも多く、にしおマラソンの名物エイドでもある。

ただ鰻を食べるにはコースを少し外れなければならない。

ほんの少しの寄り道だが、サブ3を狙う身としては、その「わずか」がとても重い。

なので今回はスルー。

去年食べた鰻は温かくて香ばしくて、驚くほどおいしかった。

それを思い出すと少し辛いが、その直後にゲストランナーの糟谷さんとハイタッチできたので、気持ちはすぐに切り替わった。

ショックなことが起きても、ちゃんと良いことが訪れる。

まるで人生みたい。

この先も、きっと一波乱や二波乱は待っているのだろう。

20km

あっこさんとリーダーの姿に気づいた。

左手を伸ばして、ハイタッチ。

ほんの一瞬だったけど、久しぶりに会えたのがうれしかった。

知ってる人の存在は、こんなにも力になるのかとあらためて思った。

パワーもらったよ、ありがとう。

今回の設定ペースは【4:10~4:14】 サブ3ペーサーに付いていく作戦

11km 4:07

12km 4:07

13km 4:15

14km 4:06

15km 4:11 

16km 4:11 

17km 4:09

18km 4:11

19km 4:12

20km 4:12 (1:23:19)

この10kmは、本当にたくさんの人に応援してもらった。

非公認サブ3ペーサーのゆっきーさんとながたさん。

二人に引っ張ってもらっているので、驚くほど気持ちよく走れている。

風を切る感覚、脚の運び、呼吸のリズム。

すべてが「うまくいっている」と身体が教えてくれていた。

マラソンには予期せぬことがいくらでも起こる。

それはもう、数え切れないほど経験してきた。

けれど少なくとも、ここまでは完璧に近い流れだった。

20km~30km

20km

一色さかな広場を後にすると、大きな橋へ差し掛かる。

左手には山の稜線。

右手には海。

視界いっぱいに広がる絶景に、思わず気持ちがほどけた。

坂はやや上り基調になるけど、この景色なら悪くない

むしろ、こういう変化のある区間はけっこう好きだ。

単調な平坦より、身体と心が切り替わる瞬間がある方が、長い旅は楽しい。

橋の頂上を越えて下りに転じたところで、ハーフの中間点を迎えた。

21.0975km。

時計を見ると、1時間27分57秒。

先月、初めてサブ3を達成したみえ松阪マラソンのハーフ通過が1時間29分13秒だったから、1分16秒速い計算になる。

とはいえ、時計はほとんど見ていなかった。

サブ3集団について淡々と走っているだけなので、体感としてはそこまで速い感覚はない。

後半37kmでは激坂が待っている。

まあ、こんなものだろう、というくらいの受け止め方だった。

足も、呼吸も、まだ余裕がある。

30kmまでは「眠りながら走る」。

そう自分に言い聞かせながら、意識的に力を抜いて走っていた。

23km

ここからは地元の学生さんたちが、適度な間隔を保ちながら沿道に並び、ずっと応援してくれている。

みんな本当に元気で、手書きのメッセージボードを掲げながら声を張り上げてくれる。

楽しい。

スタートしてから、ずっと楽しい。

「楽しい」と思えるレースは、不思議と高確率でうまくいく。

そんな自分なりの経験則があるので、今回も期待が持てた。

「みつさん、ファイトーーー!」

遠くから聞き覚えのある声が飛んできた。

目を凝らすと、ふかつさんとまやさんの姿。

思わず手を上げて応える。

県内の大会は、知り合いが多い。

それだけでレースの景色がまるで変わる。

走るという孤独な行為が、こんなにも賑やかな時間になるのだから。

26km

道幅はそれほど広くない。

海の見える堤防沿いを走っていたら気が緩んだのか、左足首がグネっといった。

やばっ。

とっさに足をかばいながら走った。

この区間は、所々地面が盛り上がっていて、そこで着地のポイントが狂ったみたい。

集団で走るときは、前の人にくっつきすぎると足元が見えなくなる。

頭では分かっているのに、やってしまった。

様子を見ながら少し走る。

……なんとか大丈夫そう。

これならまだ勝負できる。

命拾いした気分だった。

が、その直後、再び左足をグネる。

うそでしょ。

一瞬跳ねるように体が浮いた。

大丈夫なのか。

大丈夫じゃないのか。

これまで何度も経験してきたが、グネっても走れる時と、完全に終わる時がある。

今回はまだ走れていた。

違和感は最初だけで、徐々に慣れていく。

ふぅー、まじで気を付けろよ。

さっき気を引き締めたばかりなのに。

「二度あることは三度ある」という言葉が、真っ先に頭をよぎった。

冗談じゃない。

一度、力を抜いて大きく深呼吸する。

まだ運は残っている。

だからきっと大丈夫だ。

右手に並走する気配。

よく見ると、たっちゃんさんだった。

みえ松阪マラソンでも並走してくれたが、このにしおマラソンでもまた並走してくれている。

「ナイスラーーーン、がんばってーーー」

声をかけてもらえるのが、本当にうれしい。

ついさっき足をグネったのに、もう忘れていた。

嫌なことがあっても、その直後に応援してもらえると、まるで敗者復活戦から這い上がったみたいにうれしくなる。

ナイスタイミング。

一瞬で流れが変わった。

今日は運がある。

マラソンは足だけじゃない。

運と、人に支えられて進む競技なのだ。

29km

このエリアは昔ながらの住宅街で、細い路地が入り組んでいる。

カーブばかりで、正直なところなかなか走りにくい。

それでも家の玄関先に出てきて、手を叩きながら応援してくれる人たちがいる。

窓越しにこちらを見ている人もいる。

生活のすぐそばを走らせてもらっている、そんな気がした。

30km

時計を見ると、2時間05分04秒。

5kmごとのラップタイムも、スタートからほぼ安定している。

これはもう、ゆっきーさんとながたさんのおかげだ。

時計を見ずに、ペーサーに付いていく。

この作戦は、自分に合っている。

あらためて、そう感じていた。

今回の設定ペースは【4:10~4:14】 サブ3ペーサーに付いていく作戦

21km 4:10

22km 4:06

23km 4:13

24km 4:12

25km 4:14

26km 4:15

27km 4:10

28km 4:15 

29km 4:09

30km 4:11 (2:05:04)

30kmはまだ通過点だが、今日の自分は確かに正しい道を走っている気がした。

30km~40km

30.7km

暑い。

エイドの水を首筋にかけた。

さらに手のひらを濡らし、顔と脇にあてて体温を下げる。

風を受けた瞬間、体がひんやりするのがはっきり分かった。

ふぅーーーー。

頭がすっと冴えて、気持ちまでリセットされた。

32km

大富橋を渡り終えたところで、自転車に乗った赤鬼のりさんを再び発見。

横で並走しながら、相変わらずのテンションで声をかけてくれる。

「自転車に乗ってもいいんだよー」

「DNFだけど乗ってもいいんだよー」

「ここの人たちはそんな誘惑に負けないよねー。いける、いける」

この時点でサブ3集団は15人ほど。

のりさんのトークで、みんなの気持ちがひとつになったような気がした。

いつも最高の盛り上げ役。

今回もたくさん元気をもらったよ。

ありがとう。

32.8km

にしおマラソン名物、踏切食堂の大エイドが左手に姿を現した。

イカフライのレモン煮、三河おいんく豚の粗挽きウインナー、にしがまラーメンのスープ、吉良農園のたまごスープ、ちゃんこ鍋、焼きそば。

腹が鳴りそうなラインナップだ。

魅力的な食べ物ばかりだが、もちろんスルー。

さようならーーー。

カーブを左に曲がると、前方に踏切が見えてきた。

にしおマラソンは踏切もコースの一部で、電車は通常運転。

レースのために止めることはしない。

運が悪いと足止めを食らう(1時間に4本。けっこう多い)

サブ3集団は、踏切に捕まることなく無事に通過。

踏切時間はまったく気にしていなかったので、とりあえず「セーーーフ」と心の中でつぶやいた。

(まあ、多分大丈夫だろう……それくらい気楽に考えていた)

※踏切遮断時刻(参考までに)

34km

距離は長くないが、にしおマラソン唯一のスライド区間がやってきた。

前方から若さん、そして中くん。

お互いに「ファイトー」「ファイトー」と声を掛け合う。

頑張って走る仲間の姿は、自分も頑張ろうという気持ちにさせてくれる。

折り返し地点を回り、しばらくすると向かい風を一気に感じた。

耳元でビュービュー。

まさかの展開だった。

ということは、いままでずっと追い風だったということか。

後半、疲れている時の向かい風は、本当に心が折れるやつだ。

頼むから、もう少しおさまってくれと願った。

35km

残り7km。

ここに来てフォームに異変が、、、。

明らかに足が回らなくなった。

国宝・金蓮寺を横目に見ながら、豚汁エイドはスルーしてカーブを左に曲がると、前方に白山トンネルが姿を現した。

トンネルを走るのが苦手な私。

その理由は平衡感覚が保てなくなるような感覚に陥るから。

最近、その苦手意識がどんどん強くなっている。

だから今日は、「トンネルは楽しい」と思い込む作戦でいく。

根拠はない。

ただ、思い込むだけ。

トンネルに入る。

楽しい、楽しい、と念じてみる。

当然だが、念じているだけなので、まったく楽しくない。

当たり前だ。

しかも前から、けっこうな向かい風。

おい、まじかー。

あきらかに進まなくなるが、向かい風に意識を取られていたので、気づけば出口の光が見えてきた。

正直ラッキーだった。

思ったより嫌な気持ちになっていない。

あとは出口の光にやられないだけ。

大丈夫。

そう信じて慎重にトンネルを出た。

もうすぐ激坂なのでそこまでは粘りたかったが、サブ3集団からじわじわ離れていった。

まさに、ここが一番のポイントだった。

マラソンには、必ずこの瞬間がやってくる。

そしてこの瞬間、頭の中にいろんな声が響く。

まだやれる。

もう無理。

絶対できる。

もうだめだ。

諦めるな。

もう終わりだ。

この瞬間のマラソンのきつさといったら。

もはや拷問であり、地獄でもある。

諦めるのは簡単。

歩くのも簡単。

でも、諦めたくないし、歩きたくない。

歯を食いしばって踏ん張るしかない。

ゆっきーさん、ながたさんと一緒にゴールして、サブ3をやるんじゃなかったの?

一週間後の大阪国際女子マラソンに出場する仲間に、今回サブ3していいバトンを渡すんじゃなかったの?

自分に問いかける。

だから、ただ完走すればいいわけじゃない。

仲間と一緒にゴールして、仲間と喜びを分かち合う。

そう決めて、スタートラインに立ったのだ。

私は苦しくなったときに備えて、レース前に「最終兵器」を仕込むことがある。

① 目標達成の約束を、誰かと交わす。

② 目標をSNSで公言する。

③ レース後のお疲れさま会を先に企画する。

プレッシャーになることもある。

でも自分の性格上、これをやった方が頑張れると分かっている。

自分のためだけでは頑張れなくても、誰かのためなら頑張れる。

だから、ここで諦めるわけにはいかない。

もう一度、気持ちを整えた。

マラソンは、足が売り切れる前に、誰かの顔が浮かぶ競技でもある。

37.5km

にしおマラソン最大の難所、激坂が目の前に現れた。

沿道では応援の人たちが手を叩いてくれている。

足は止めない。

時計は見ない。

できるだけ平常心を保ちながら坂に入ったが、その瞬間はやってきた。

左ふくらはぎがピクピク。

足攣りの前兆だ。

少し力を緩め、ペースを落とす。

絶対に止まりたくないから、慎重になる。

やばいと思ったらペースを落とす。

これだけは徹底する。

サブ3に、黄色信号が点灯した。

和太鼓の音が背中を押してくれる。

先のことは考えない。

ただ、この坂を乗り切る。

それだけ。

サブ3集団を引っ張るゆっきーさんが、何度も後ろを振り返ってくれている。

おそらく、私のことを心配してくれているのだろう。

胸が痛いがどうすることもできなかった。

ただ次の瞬間、逆走してくるゆっきーさんの姿が見えた。

目の前に現れると、声をかけてくれた。

「この坂上ったら、もうすぐゴールだから」

「諦めたらいかん」

、、、。

仲間が、目の前で応援してくれている。

ペーサーなのに、わざわざ戻ってまで。

その気持ちがめちゃくちゃうれしかった。

期待に応えたい。

絶対にサブ3をやるんだ。

折れかけた心に、もう一度力が蘇った。

(このあと、ゆっきーさんはすぐにサブ3集団に戻った。)

上り坂は2回ある。

そう思っていた。

1つ目を上り、少し下って、2つ目を上り切る。

よし、あとは下りだ。

体をリラックスさせて走った。

難所は越えた。

そう思った瞬間、再び目の前に上り坂。

あれっ、まだ上り坂あるじゃん⁈

去年も走っているのに、あまり記憶がなかった。

上り坂は2回だと思い込んでいたが、実際には3回ある。

3回目の坂は距離も傾斜も優しい。

それでも「終わった」と思ったあとだけに、精神的ダメージは大きかった。

自分の情報不足なのに、心の中で「ふざけんなよ」と悪態をついていた気がする。

そうでも言わないと、また心が折れそうだったから。

マラソンは、やっぱりメンタルスポーツだ。

3つ目の坂を上り切り下りに入ると、静かに治まっていた足が、また合図を送ってくる。

ピクピク。

まじで勘弁してくれーーー。

何人かのランナーが道の端で止まっている。

おそらく足が攣っているのだろう。

明日は我が身だった。

39km

サブ3集団は豆粒みたいになっていた。

でもまだかろうじて見える範囲。

本当に苦しい時間だった。

明らかにペースが落ちているのが分かった。

給水所のボランティアさんの拍手と「がんばれ」の声だけが、折れそうな心をつなぎ止めてくれた。

40km

タイムは2:48:12。

先月走ったみえ松阪マラソン(初サブ3)が2:49:52だったのでそれより1分40秒も速いことになる。

思わず息が止まった。

前半の貯金のおかげだ。

時計を全く見ていないからまさかの展開だった。

止まらなかったらサブ3はいける。

ゴールの先に、3時間切りの数字がうっすらと見えた気がした。

足攣りの不安を抱えながらの残り2km。

頼むから、あと2kmだけもってくれ。

そう祈るしかなかった。

今回の設定ペースは【4:10~4:14】 サブ3ペーサーに付いていく作戦

31km 4:10

32km 4:08 

33km 4:09

34km 4:08

35km 4:11

36km 4:20

37km 2:10 (GPS跳ぶ)

38km 4:14

39km 4:54 (激坂)

40km 4:27 (2:48:12)

40km~ゴール

40km

足が攣りそうだった。

ふくらはぎの奥でピクピクと、小さな警告が何度も鳴っている。

このまま走り続けたら、いつ爆発してもおかしくない。

そんな不安を抱えながら、私は少しだけペースを落とした。

すると後ろからランナーが声をかけてきた。

「今まで、ありがとうございました」

思わず振り返る。

正直、何のことか分からなかった。

「後ろにずっと付かせてもらってたんですが、一番体幹がしっかりしてて、すごく走りやすかったです」

レース中にそんな言葉をかけられたのは初めてだった。

ヘロヘロになりながら聞いていたけど、少しうれしい気持ちになった。

「足が攣りそうなので、先へ行ってください」

そう伝えると、彼は少し驚いたようにうなずいた。

「残り2km、絶対サブ3やりましょう」

彼への言葉であり、自分への誓いだった。

彼は「絶対やりましょう」と言って、私の前を走り去っていった。

苦しいはずなのに、不思議と体が軽くなった気がした。

やっぱり最後に走るのは足じゃなくて心なんだと思った。

こういう瞬間があるから、マラソンはやめられない。

後ろから何人かに抜かれたが気にしない。

足攣りの波と戦いながら、ただ前に進む。

やばいと思えばスピードを落とす。

少し落ち着いたと思えば、ほんの少しだけ上げる。

それの繰り返し。

私にとってこの瞬間の「頑張る」とは、止まらないことだった。

止まらなければ、サブ3はいける。

だから一歩一歩が、祈りだった。

41km 4:36

状況はさっきから何も変わっていない。

ふくらはぎの奥でピクピクと鳴り続ける警告音。

いつ爆発してもおかしくない。

正確な時間は分からないが、止まらなければ絶対にいけることだけは分かっていた。

全神経を足に集中させて、一歩一歩を置いていく。

前を走るランナーが、道の真ん中で立ち止まっていた。

苦しそうな表情で、足を押さえている。

攣って耐えているのがすぐに分かった。

このタイミングで止まるということは、サブ3できるかどうかの瀬戸際だ。

めちゃくちゃ焦ると思う。

「なんで今なんだ」

「あと少しなのに」

そんな声が聞こえてくる気がした。

気持ちが痛いほど分かる。

私もいつ同じ状況になってもおかしくなかったから、とにかくひやひやだった。

最後のカーブを左に曲がる。

あとはラストの直線のみ。

ゴールゲートが見えていればいいのだが、まだ見えない。

だから「あと少し」という感覚はまだ持てなかった。

時計を見るか一瞬迷ったが、見ないことを選択。

止まらなければサブ3はいける。

そう信じて、ただ走り抜くことにした。

42km 4:40

ペースは落ちている。

でも止まってはいない。

残り200m。

沿道の両側には、たくさんの人が拍手で迎えてくれる。

DJケチャップさんの魂のこもった声が、会場全体に響き渡っていた。

「ここまでよくがんばった!かっこいいぞーーー!」

「人の目なんか気にするな、自分のフィニッシュ決めてやれー!」

一言一言が胸に突き刺さる。

気持ちがこもっているのが分かるから、自然と涙腺が刺激される。

いける。

あと少し。

足をかばいながら走っているのでフォームはぐちゃぐちゃだが、もう気にしない。

いける。

あと少し。

いける。

あと少し。

同じ言葉を頭の中で繰り返していた。

左前方にミニーちゃんの被り物が見えた。

まみぃ、ひろちゃん、かなさんの応援団だ。

「いけるじゃーーーん!」

「余裕だよーーーー!」

声が聞こえた瞬間、胸が熱くなった。

スタート前に「サブ3して国際へのバトンを繋ぐから」と約束していた。

だから、なんとしてもサブ3でゴールしたかった。

残り100m。

足は止まらなかった。

これは、いった。

そう確信した。

少し前に、同じチームの若さんが見えた。

後ろ姿はフラフラで、執念で走っているのが一目で分かった。

フィニッシュゲートが近づくと、黄色い大時計の数字がはっきりと見えた。

「2」

3時間いってない。

一番左の数字は、間違いなく「2」だった。

今回の目標だったグロスでサブ3。

それが現実になった。

よっしゃーーー。

声には出さず、心の中で叫びながらゴールラインを踏みしめた。

なんとか、もってくれた。

身体も、心も。

そしてその場に倒れ込んだ。

正直なところ、にしおマラソンで再びサブ3できるとは思っていなかった。

信じられない気持ちの方が強かったのが本音だ。

非公認サブ3ペーサーのゆっきーさん、ながたさんと合流して、「一緒にサブ3できました。ありがとうございました」と感謝を伝えた。

こんなにうれしいことは、なかなかない。

仲間に支えられて走った、にしおマラソン。

やっぱり、最高でした。

最後はいつものオカノヤマポーズ(手のひらを前に出して)で写真を一枚。

この一瞬は、たぶん一生忘れないだろう。

左:ながたさん 右:ゆっきーさん(オカノヤマポーズで)

今回ご一緒してくれた皆さま、楽しい時間をありがとうございました。

にしおマラソンではたくさんの人に応援してもらった。

くどうさん、けいさん、たにがわさん、あさみさん、みーさん、せんさん、まみぃ、かなさん、えっちゃん、みかさん、のりさん、あっこさん、リーダー、たっちゃんさん、ふかつさん、まやさん、すぎちゃん、さおりちゃん、おーちゃん、他にもいたはず、、、。

めっちゃうれしかったです。ありがとうございました。

まとめ

にしおマラソン。

そして一ヵ月前に走ったみえ松阪マラソン。

この2大会を走って、ひとつはっきり分かったことがあった。

私は「楽しい」がたくさんあると、一番頑張れるし、タイムが出る。

松阪で初めてサブ3を達成して、今回のにしおでもサブ3。

気温が10℃前後だったことや、風の影響が少なかったことはもちろん大きいが、決してコースが優しいわけではない。

それでも結果が出た。

理由は、たぶん「人」だ。

ランナーでも、応援でもいい。

たくさんの仲間や知り合いがいると、想像以上の力が出る。

42.195kmは当たり前だけど長い。

その間ずっと自分と向き合い続けることになる。

だから、その時間を「どれだけ楽しく過ごせるか」が、実は一番大事なんじゃないかと思った。

眠るように走る。

何も考えないで走る。

それもたしかに大切だけど、それ以上に「楽しい」と思える瞬間がどれだけ続くか。

いい走りができるヒントはそこにあるような気がした。

遠征先では、どうしても知り合いが少なくなる。

一方で、地元や近場の大会は、知ってる顔がたくさんある。

だから私は、そういう大会を勝負レースにしてもいいのかなと思っている。

仲間の力は、本当にすごい。

最近、特にそう感じています。

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2/22開催の姫路城マラソンでは、今シーズンの集大成に挑みます。

目標は自己ベスト更新(2:58:37)と3大会連続サブ3。

楽しむ気持ちを忘れずに走ってきます。

(2/19現在、首を痛めているので走れるか黄色信号です、涙)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

おまけ

レース後は豚汁と焼きそばをキッチンカーで購入。

みんなで打ち上げ、そして1月2月合同誕生日会。

誕生日おめでとうーーー!

参加賞のえびせんべい。

名鉄バスで駐車場まで移動。

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