みなさんこんにちは。
ラン歴11年サブ3.5ランナー(3:17:58)のみつ(@hiroki.mitsunaga)が2024/7/6.7に開催された志賀高原100に参加してきました。
長野のトレランはスキー場&標高が高いそんなイメージ。
去年、一昨年と奥信濃100には2回出てるけど志賀高原100は初めて。
どんな感じだろう、、。
志賀高原100と奥信濃100は共にITRA4ポイントの大会。
今後Mt.FUJI100に出たい方、マイラーを目指している方、トレラン100kmに興味がある方には気になる大会だと思います。
どちらの方が難易度が高いのか?
完走するポイントは?
実際に走って体験してきました。
レース内容をすぐに読みたい方は
「7.スタート」からご覧ください。
長文になりますが最後までお付き合いいただけたらうれしいです。
この記事を執筆している筆者の簡単なプロフィールになります。
現在の目標はマラソンサブ3。
アシックス大好きランナーでもあります。
- 34歳(はじめは10km走れない状態)からランニングを始め現在45歳
- 初フルマラソン5:35:29(2015) 名古屋アドベンチャーマラソン
- フルマラソン3:17:58(2024) 姫路城マラソン
- ハーフマラソン1:29:29(2022)ぎふ清流ハーフマラソン
- 10km39:27(2023) 刈谷市かきつばたマラソン
- 100kmトレイルランニング完走19:42:17(2023)奥信濃100
- 100kmウルトラマラソン完走12:50:47(2023)野辺山
- 118kmウルトラマラソン完走14:32:45(2023)チャレンジ富士五湖
- 100マイルトレイルランニング完走44:15:44(2024) Mt.FUJI100


結果

志賀高原100 100kmの結果になります。
記録:24:05:29 (制限時間26時間)
なんとか完走できましたが志賀高原100、かなりきつかったです。
前半20kmまではシングルトラックなので入る場所を間違えると一苦労。
自分に合った適正ペースに入れるかが鍵になってきます。
ゲレンデの登り下り。
山の急登。
普段の生活ではなかなかお目にかかれない急斜面が待っています。
途中ゲリラ豪雨に遭遇したためコースは一瞬にして川、池、沼に。
ひどい所は太ももまでの深さで試練の連続でした。
睡魔との戦いもありで難易度の高い大会です。
完走できる目安基準

志賀高原100を完走できる目安を私が今まで参加してきた大会と比べてみました。
年により気象条件が違うのはお許しください。
※あくまで私個人の感想になります。
(1が優しい、12が厳しい)
大会名 | 難易度 | 特徴 |
Mt.FUJI100 166km | 12 | 累積標高7039m |
志賀高原100 100km | 10 | ゲレンデ、制限時間26時間 |
奥信濃100 100km | 9 | 制限時間が厳しい(21時間) |
ONTAKE100 | 8 | ずっと林道で暑い |
野辺山ウルトラマラソン100km | 8 | 激坂と日中の暑さ |
富士五湖ウルトラマラソン118km | 8 | 基本平坦で走りやすい |
飛騨高山ウルトラマラソン100km | 6 | 坂が多い |
丹後ウルトラマラソン100km | 6 | とにかく暑すぎる |
OSJ新城トレイル32km | 4 | アップダウンが厳しい |
志賀高原100は7月上旬開催なので梅雨シーズン真っ只中。
雨が降るとコースが泥、沼になりやすいのが特徴。
今年は曇りと雨で日差しを浴びることがほぼなかったですが晴れの場合は注意が必要です。
特にゲレンデは光を遮るものが全くないので体力を奪われます。
あと気になるのが志賀高原100と奥信濃100。
どちらがきついのか?
私は志賀高原100の方がきついと思った。
コースマップ

前半20kmまではシングルトラック(一人歩くのがやっとの道幅)
ノッキリ(2070m)、赤石山(2109m)、横手山(2267m)と2000m超えの山々を渡って行きます。
中盤はゲレンデ祭り。
36kmジャイアントの登り、70kmソラテラスの登りは超ハードです。
後半は焼額山(やけびたいやま 2009m)を2回登る。
これがまたキツイです。
志賀高原100は長野の山を思いっきり楽しめるコースになっています。
【ワンポイント】
6A:一の瀬83kmの関門を突破出来たら完走の確率がグンと上がります。
理由:83kmを超えると少しだけ関門時間に余裕が持てます。
前日移動

志賀高原までは自宅から車で約5時間。
8:20
出発。
11:50
梓川SAで安曇野りんごソフトクリームを食べて少し休憩。
13:15
信州中野ICで降りてお昼を食べに「そば処 郷土食堂」さんへ。
お目当てのしめじ天ざると笹寿司を注文。
幻の蕎麦と言われる富倉蕎麦で平麺、コシあり、のど越しよし。
激うまです。
志賀高原に行かれる場合はおすすめです。




14:10
志賀高原はお店がほとんどやっていないのでスーパー最終地点のイオンでお買い物。
パンとドリンクを調達。
この先はひたすら一本道、グングン標高を上げて行きます。
14:54
宿泊先のホテルジャパン志賀に到着。
受付会場までは徒歩2分なのでアクセス抜群です。






前日受付

15:15
受付会場に到着。
天気は快晴。
まずは装備品チェックへ(チェックは雨具とライト2つ)
確認出来たら受付へ。
ゼッケン、Tシャツをいただく。
過去の大会Tシャツが一枚500円だったので2枚購入した。






その後お店を見ていたら秋野さんに遭遇。
ゲート前で一緒に写真撮影。
最近大会でよく会えるんです。
この熊はKTFの名物なのかな⁈
フィニッシャーメダルをかけているこの熊と再び完走して写真を撮ると誓った。



車はホテルの前に停めたかったけど満車で残念。
大会駐車場である一ノ瀬パノラマ駐車場へ(ホテルから徒歩10分)
目の前はレースのデポバック置き場になります。



18:00
夕食はホテルの食堂で。
ご飯を食べていたら大会では必ず会える藤田さんを発見。
まさか同じホテルとは。
一人だったから会話しながら楽しい時間が過ごせました。
ありがとう。
食事後に明日のお弁当をいただきにいくと、、、。
セブンイレブンの幕の内だった。
そういう感じね。




当日の朝

2:15
起床(スタートは4:30)
昨日もらったセブンの弁当を食べる。
3:40
ホテルを出発。
辺りは真っ暗なのでヘッドライトを付けてデポバック置き場まで歩いて行く(徒歩10分)
自分はリュックを大阪マラソンの袋に入れてスタンバイしたけどクーラーボックスで用意してる人が多かった。
みなさんちゃんと冷やして用意してるのかな。
スタート会場に行こうとしたらしょうたさんにばったり。
頑張りましょうとエール交換した。







4:05
スタート会場に到着。
ゲートをみたら気持ちが高まってくる。
誰か知ってる人はいないかとフラフラしていたらなおさんご夫妻を発見。
野辺山ウルトラで出会ってまたこうやって再会できるのは本当にうれしい。
そしてじゅんさん、えっちゃん、ひろさん。
ONTAKE100で出会ったながいさんにも会えた。
スタート前にこうやって会えるのはパワーいただけます。





スタート~第1関門(横手)

スタート3分前。
今回のレースをイメージする。
制限時間は26時間。
飛ばし過ぎない、とにかく抑えて。
止まらずに動き続ける。
走れる所はゆっくりでもいいから走り切る。
ロングレースは気持ちが大事。
諦めない。
自分に負けない。
大きく深呼吸した。
スタート10秒前。
会場には神聖な音楽が響き渡っている。
手拍子と共にカウントダウンがはじまった。
4:30
100kmのトレイルジャーニー。
志賀高原100がスタートした。
道の両側には応援してくれる人の姿が。
「いってらっしゃい」
「無事に帰って来てね」
選手に声をかけてくれる。
この瞬間はたまらないしとにかく気持ちがいい。
霧が立ち込める中ゲレンデを登っていく。



3km
ひろさんと水が流れる用水路沿いを一列になって進んで行く。
ここから20kmまではシングルトラックなのでひたすら前の人に付いて行く感じ。
追い抜いたりするのはなかなか難しいです。
自分の適性ペースならいいですが速すぎたり遅すぎるとかなりリズムが狂います。
いかにちょうどいいペースに入れるかが鍵になってきます。






一ノ瀬(1654m)からスタートしてノッキリ(2070m)まで約400m登ったあとは赤石山(2109m)、横手山(2267m)と経由していきます。
途中霧が晴れて大沼池がきれいに見えた。
こういうご褒美がたまにあると頑張れるんです。
その後は笹薮の中をひたすら登っていく。
急斜面の場所もあるのでここではポールが活躍してくれます。
ちなみにポールはSINANOを使っています。
藪を抜けると景色が一気に開けてゲレンデの斜面を登って行きます。







ゲレンデなんてほとんど登ったことないから体の使い方がよく分からない。
おそらく意識するポイントがあるのだろうが、、、。
鳥の声を聞きながら前の人に付いて行く。
今年は曇りで日差しがない分救われたけど快晴で太陽ギンギンだとかなりスタミナが奪われるはず。
晴れの場合は暑さ対策が必要です。



20km
9:47(スタートから5時間17分)
横手山山頂に到着(2267m)
ナイスビューを期待していたが展望はほんの少しだけ。
残念。
でもここから10分ほど進むと景色が一変します。





足元はゲレンデから岩場へ様変わり。
そしてけっこうな下り。
浮石もあるので慎重に足を岩の上に置いていく。
ここでグネったらおしまいだなと思いながら一歩ずつ慎重に。
前を見るとそこには大パノラマが。
山の稜線と峠道が広がっていてこの大会一番の絶景スポットが現れます。
すごっっっ。
横に移動してしばらく景色を眺めていた。
贅沢な景色だなー。
こんな所がコースになってるなんて。
長野の大自然を満喫していた。



21km
10:07
岩場が現れてから約10分。
第1関門横手に到着(関門時刻は11:30)
貯金タイムは1時間23分。
まずまずのペースで来れたと思う。
エイドでは今回最後まで力をいただくことになるラン友さんと合流してエールを送りあう。







第1関門(横手)~第2関門(一の瀬)

エイドを出発すると次の関門は40kmの一ノ瀬。
スキー場の真ん中を走って行く。
昔はボードにハマっていた時期もあったが最近はゲレンデを走る方が多くなってきた笑。
人生何が起こるか分かりません。
いったん道路に出ると違うスキー場(熊の湯スキー場)を走っていく。
地面はフカフカなので足には優しいが斜面が急なのでどう走っていいのやら。
ゲレンデの下りが特に分からなかった。
体が後傾してしまいブレーキがかかってしまう。
ゲレンデ走りをちゃんと勉強しておけばよかった。











25km
ようやくここで1/4。
まだまだ先は長い。
看板には上信越高原国立公園、木戸池と書いてある。
白樺の木が現れさっきまでの景色とは雰囲気が変わる。
どうやら木道がコースみたい。
小学生の頃やった平均台を思い出す。
平衡感覚がだんだんなくなってくるので落ちそうになるのだ。
きっと一人くらいは落ちた人がいると思う。






周りはニッコウキスゲの黄色い花が夏っぽさを演出していた。
少し進むと白色の看板。
長野県天然記念物、田ノ原湿原と書かれている。
初めて聞く名前。
きれいに整備された木道を歩いていく。
目の前には素晴らしい景色が広がっているのだが視線は足元へ。
落ちたくない、、。
木道の距離がけっこう長いので冗談抜きでフラフラしてくる。
落ちたらどうしよう、思えば思うほどパニックになってくる。
今回分かったことは木道を歩くのは苦手ということ。
よく落ちなかったなと自分で思う。
三角池を通り過ぎて木道を歩いて行くと再びニッコウキスゲがお出迎えしてくれます。








30km
サンバレースキー場のゲレンデを下り琵琶池の周りを走っていく。
池の水面は穏やかだったので景色がきれいに映っていた。





35km
エイドに到着。
水を補充したあとはコーラをゴクゴクゴク。
あーーー、うまい!
トレランのコーラは生き返る。
そしてカットしてあるバナナを4、5本いただく。
今のところはトラブルなく順調に来ている。

エイドを出て10分ほど走ると足が止まった。
その理由は目の前の景色があまりにも素敵だったから。
頭の中はクラシック音楽が流れている。
まるで美術館で絵画を見ているようだった。
こういう絵、海外の作品でたくさんありそう。
ここはヨーロッパかと思った。




次の目的地。
その名はジャイアントスキー場。
いかにも強そうな名前。
登り始めの所にメッセージが。
「コレが例のヤツです」
一目見てヤバいやつだと分かった。
ゲレンデを登って行くが傾斜がヤバい。
さっきまで登っていたゲレンデとはレベルが違った。
ポールを使いながら歩幅を狭くして一定のリズムで登っていく。
次のメッセージ。
「聞いてないとか言わせないぞ❤」
いやいや聞いてないって、一人で突っ込む。
あまりの傾斜に息が上がる。
さらに次のメッセージ。
「この登りはお伝えしましたって‼」
少し笑ってしまった。
この先もまだまだメッセージは続いた。
苦しい時にこういう励まし方はウェルカム。
KTFさんの演出は毎回クセになる。








40km
13:46(スタートから9時間16分)
第2関門一の瀬に到着(関門時刻は14:30)
貯金タイムは44分。
あれっ、第1関門から貯金が39分も減ってる。
そんなにゆっくりしたつもりはなかったので少し焦った。
エイドではしゃり玉、山ノ内町名物のそば汁団子をいただく。
その後ランチパックのサンドイッチを2つ手に取りパイプ椅子に腰を下ろした。
するとショート(21km)を完走したえっちゃんがこちらへ歩いてきた。
少し会話していると第1関門でもご一緒だったラン友さんの姿が。
ここまで同じコースを走って来たので気持ちがよく分かる。
こうやって再び会えるのは本当にパワーをいただけるのです。












現在40km。
残りは60km。
まだ半分も来ていないが体はけっこう疲れている。
この先大丈夫だろうか。
ここからが本番という感じだった。
一の瀬エイドにはデポバックが置いてある。
ここでいったん補給食を追加補充。
ご褒美アイテム、バームクーヘンとオレンジジュースでリフレッシュした。



第2関門(一の瀬)~第3関門(竜王)

この区間は登り少なめで下り基調になります。
スタートしてすぐに通った用水路沿いを再び走っていきます。
42km辺りで左に曲がり奥志賀方面へ進んで行く。







15:10
いきなり雨が降って来た。
カッパを着ようか迷いながら走っていると前にいるランナーが一人、二人、、、。
立ち止まりザックからカッパを取り出している。
もう少し我慢、きっと弱くなるはず。
そう思いながら走っていたが願い届かず。
しまいにはゲリラ豪雨になってきた。
最悪だ。
すごい雨の音。
たまらずカッパを取り出して着用した。
濡れた木道が滑りそう。
走るのは危険なので慎重に歩いていく。
雨が降りだして20分、強さを保ったまま一向に止む気配がない。
なんてこった。
地面は一瞬で表情を変えた。
水分をたっぷり含んだ土はドロドロのグチャグチャ。
まさに沼。
足首まで埋まる状態だった。
泥を避ける場所もない。
どこを歩いても沼に落ちる。
ようやく50km、まだ半分なのに。
後半戦が恐ろしくなった。







16:10
土砂降りのまま一時間が経過したがまだ止まない。
こんなに雨が降り続くなんて、、、。
カッパの中は汗、体温、雨のせいで蒸れがひどい。
靴は泥だらけ、靴下はビタビタ。
頼むから止んでくれと思った。

16:35
ようやく雨の勢いが弱くなってきて小雨になった。
カッパを脱ぐ人もいればそのまま着てる人もいる。
54km
16:48
牧場入口エイドに到着。
ここでいったんカッパを脱いだ。
水を補充してコーラを一杯いただく。
するとボランティアの方が「もう少ししたらまた雨雲がやってきますよ」と一言。
まじですかー。
今カッパ脱いだばっかりなんですけど、、、泣。
また降り出したら着るとしよう、そう思いながらエイドを出発した。




その10分後、言われた通り再び強い雨が降って来た。
まじかー。
しまったカッパを取り出してまた着る。
、、、。
雨が止むのを信じて前に進むしかなかった。


メッセージボードだ。
右下に視線を落とし書かれている文字を読んだ。
「そこで止まると志賀高原ビールが遠のく」
ゴールしてビール飲みたいな。
志賀高原ビールうまそうだな。
そう思いながらグチャグチャの林道を歩いていく。


18:50
雨が止んで少し経つと空の色が橙色に輝きだした。
なんか燃えているみたい。
歩いていると光がどんどん強くなってくる。
そして次の瞬間!
燃える太陽が姿を現した。
すごい光。
眩しくて直視できない。
太陽のエネルギーを体全体で吸収する。
まるでドラゴンボールの元気玉みたいだった。


70km
19:05(スタートから14時間35分)
第3関門竜王に到着(関門時刻は20:00)
貯金タイムは55分。
第2関門からは11分貯金が増えていた。
土砂降りの雨で相当疲れている。
お腹が空いているのかよく分からない。
でも何か食べておかないとこの先もたない。
とりあえずバナナ、しゃり玉を食べて行こうとしたら
「カップ麺ありますよー」と言う声が聞こえてきた。
カップ麺⁈
食べた方がいいのか食べない方がいいのか迷ったが温かい食べ物を欲している気がした。
【ポンちゃんラーメン みそ味】
初めて見るカップ麺。
こういうローカル商品はなんだかテンションが上がるんです⤴
お湯を注いでもらい歩いているとじゅんさんを発見。
その他にも前の関門で会ったラン友さんと再び合流した。
また会えた。
みんなも頑張っている。
それぞれの顔を見たら気持ちが少し楽になった。
ひとりじゃないってだけでこんなにも心強いんだ。
仲間と食べるカップ麺は最高に美味しかった。
食べ終わるとその場で仰向けになり少しの間目を閉じた。






第3関門(竜王)~第4関門(一の瀬)

19:28
コースマップでチェックしてあったがここからの登りが超絶エグい。
現在の845mからソラテラス(1770m)まで一気に登りそこからさらに焼額山(2009m)まで登っていく。
標高差1164m。
登る前から正直びびってた。
空は暗くなりライトが必要になる。
ゲレンデの急斜面をポールを使いながら登っていく。
、、、。
進まない。
歩いているけどほとんど進んでいかない。
まるで壁。
足を止めない、ただそれだけ。
上を見たらはるか遠くまでヘッドライトの灯りが見える。
あんな所まで登っていくんだ。
状況を把握したらどっと疲れが増した。
それからは上を見るのをほぼやめた。
ライトで照らされる足元だけを見ながら進んだ。
足元は最悪。
もう泥には慣れたが泣きたくなるレベル。
沼にハマって靴が抜けなくなったり、ポールが刺さったまま抜けなくなったり。
集中していないととにかく厳しい状況だった。
最初に言っておくがここからの写真がほとんどありません。
ブログ用に撮ろうという気持ちはあったのだがリスクが大きすぎた。
写真を撮ることに必死で転倒したら怪我のリスクも上がるし仮に携帯を落としたら一発でアウト。
沼の中にさようならです。
まずは安全第一という選択だった。
ソラテラスまで登り少し下って焼額山へ再び登る。
想像以上にきつくて長い。
地面は前の人が歩いた足跡だらけ。
足型がしっかりと沼に刻まれている。
おそらく私の経験上過去一レベルの悪路じゃないだろうか。
もういじめないでくれ、そんな気持ちだった。
夜なのでライトの灯りはあるが暗くてよく見えない。
ひどい所は川だったり池になっている。
ある所で自分の前を行く人がポールなしで進んでいた。
使っていないのではなくおそらく持ってきていないのだ。
すごいなこの人。
しかしポールなしではバランスがとれないから悪戦苦闘していた。
木の枝に捕まっているが滑る、すべる、何回も滑って転んでいた。
泥だらけで可哀そうになる。
いやー、ここでポールなしはきつすぎる。
うしろからヒヤヒヤしながら見ていたが、次の瞬間事件は起きた。
前の人が一歩踏み出したらそのまま穴に落ちて泥沼ダイブ。
水たまりなので深さがよく分からない。
「大丈夫ですか?」と声を掛ける。
、、、。
「大丈夫じゃないです」と小さい声で一言。
太もも辺りまで泥に浸かりなんとか沼から復活した。
あんなのを目の前で見てしまったら、、、。
恐怖だった。
暗くてよく見えないから他の人も落ちた人はいるはず。
自分のポールで深さを確認してみる。
深っっっ!!!
上から見たらこんなに深いなんて分からないし。
ゲリラ豪雨のおかげでとんでもないコースになってしまった。
ポールなしでこのコースはありえない。
今回自分がポールなしだったら間違いなく完走は無理だしDNFしていたと思う。
それくらい志賀高原はポールが必須だと思った。
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※トレランポールには適切な長さがあります。
一般的に目安はだいたい身長の66~67%になります。
※SINANOは人気があるため品切れになることも。
使用サイズ | 収納サイズ | 重量 | 身長目安 |
105㎝ | 30㎝ | 146g | 155~160 |
110㎝ | 31㎝ | 150g | 161~166 |
115㎝ | 32㎝ | 154g | 167~172 |
120㎝ | 34㎝ | 158g | 172~ |
22:57
焼額山の山頂かな。
第4関門(一ノ瀬)からここまでが本当に長くてきつかった。
どこまで続くの、、、。
もうやめたい、、、。
ずっとこんな気持ちだった。
おそらく志賀高原100で一番きついエリア。
だからゴールとは別にこの焼額山まではなんとしても頑張ろう。
これをひとつの目標にしてもいいと思った。


前方には山の稜線と街の灯りが見える。
ここからは下りになる。
相変わらず足元はグチャグチャ。
泥のスケートリンクでもあった。
至る所に滑った跡が残っている。
転ばないように進んで行くがとにかく下りが辛かった。
何が辛いって、足の裏をずっと針で刺されているような感覚。
着地の度に激痛と戦っていた。
完全に足の皮がふやけているみたい。
傾斜がきついので歩くだけでもしんどいのです。
普通に歩けないから余計に時間がかかる。
このままのペースで関門に間に合うのだろうか?
時計を見る回数があきらかに増えてきた。
リタイアするのは簡単だがここまできたらなんとしても完走したい。
必死だった。
絶対に諦めたくなかった。

80km
「アンタ、最高だよー‼」
エガちゃんからの一言。
精神的に追い込まれていたのでこのメッセージはものすごい勇気をもらった。
まだやれる、自分に言い聞かせた。

83km
0:00
日付が変わると同時に第4関門一の瀬に到着(関門時刻は0:30)
貯金タイムは30分。
第3関門からはマイナス25分。
間に合ってよかった。
まずは水を補充してバナナ、チップスターを食べる。
横から「うどんありまーす」の声が聞こえてきた。
山菜あり、なしが選べるみたいだったので山菜ありで一杯いただく。
ちょうど振り返るとランナーの一人が椅子から立ち上がった。
ラッキー。
空いた椅子に腰を下ろしポールを地面に置いた。
ふーーー。
足の裏が猛烈に痛い。
頭の中はそのことでいっぱいだった。
汁を一口すする。
あーーー、染みるうまさ。
続いてうどんをすする。
うまい!
残り17km。
このまま行っても大丈夫なのか?
さらに足の状態が悪化するのは分かっていたからリタイアした方がいいのかも?
気持ちが揺らいでいた。
靴下を一度脱ごうと試みたが激痛で脱ぐのをやめた。
皮がむけているか真っ白にふやけているか。
けっこう深刻だった。
このエイドにはデポバックがあり替えの靴下もあったが脱いだあと新しい靴下を履く方が辛いと判断。
たとえ交換してもまたすぐ泥の中だし濡れるのが分かっていたから。
その他にも自分の痛々しい足の裏を見たら一瞬で戦意喪失すると思ったから。
もっと早い段階でガーニーグーを塗っていれば多少はマシだったのかな。
そんなことを思いながら時間が過ぎていった。
足のふやけ、股ずれ、ザックの擦れにはガーニーグーです↓
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体力、脚はまだ少しだけ残っている。
ただ足の裏が、、、。
うどんを食べていると奥から一人の女性が歩いてきた。
えっちゃんだ。
この先行こうか止めようか迷っていると伝えた。
会話をしたあと、もう少しだけ考えてみると告げた。
話を聞いてもらうことで気持ちが多少楽になった。
そしてじゅんさん、ひろさんを発見。
「おつかれさま」
「きついよねー」
言葉を交わし「この先も行く?」と聞いてみるともちろんと返答。
「完走しましょう」と言って二人は先に歩いて行った。
そうだよな、ここまで来たんだから。
あと17km。
まだ時間も過ぎてないんだから挑戦するべきだよな。
意欲が湧いてきた。
足の状態は変わらないけど気持ちの持ちようで痛みが違うのはなぜだろう。
もうダメだと思っても人の影響を受けて復活したことが過去に何回もある。
ひとりだったら諦めていたかもしれないがこうやってチャンスをくれた。
このチャンス、活かさないと。
気持ちが前向きなうちにエイドを出発しないと。
どこまで行けるか分からないけどきっと大丈夫、やれる。
椅子から立ち上がり行こうと決心した。

第4関門(一の瀬)~第5関門(奥志賀)

ここからはもう気持ちだけだった。
地面に足が着くたびに水の音がピチャピチャする。
泥、泥、泥。
ずっと泥。
まさに泥地獄。
歩きたくない。
でも歩かないといけない。
あのエイドで止めた方がよかったのかな。
今からでも遅くはない。
引き返した方が、、、。
人間の弱さが出る。
もうズタボロだよ。
時計を見るがほとんど距離が進んでいなかった。
この大会2回目の焼額山へ。
両手にはポール、そして急斜面。
足元は変わらず最悪のコンディション。
もう余裕はなかった。
精一杯だった。
なんとしても完走したい。
その思いだけだった。
だから携帯で写真を撮ることを封印した(正確にはコースが厳しすぎて写真が撮れない)
2009mの焼額山頂上まで登り、そこから519m一気に下っていく。
登りの方が足裏への負担が少なくて済んだが下りは地獄。
泥のスケートリンクだし踏ん張れないし激痛は走るし。
お先真っ暗だった。
横向いて歩いたりポールでしっかり踏ん張ってから足を動かしたり。
もう普通に歩けなかった。
ここまで足裏が痛くて歩けなくなったのは初めてだった。
91km
2:07
第5関門奥志賀に到着(関門時刻は4:00)
貯金タイムは1時間53分。
第4関門からはプラス1時間23分。
貯金タイムがめっちゃ増えてる。
一瞬間違いかと思ったが本当みたい。
気持ちがだいぶ和らいだ。
ここまで全く走れていないしまともに歩けていない。
それなのに貯金が増えている。
この区間はボーナスタイムだったみたい。
今だから分かるが83kmの一の瀬エイドを出発できたら完走できる確率はグンと上がります。
あの時リタイアしようか悩んでいたが進んで本当によかった。



第5関門(奥志賀)~ゴール

テントにはカラフルな電球。
そして音楽が流れていた。
ウォキンオンザレインボーーー、(虹の彼方へ♪)
かなり初期の曲。
まさにミスチルドンピシャ世代。
こんな所で聞けるなんて。
ミスチルは大好きなのでそれだけで元気が出た。
ありがとうございます。
残り9km
10kmを切るとゴールへの光が少しだけ見えてくる。
この先は今まであった急斜面の山はない。
大丈夫。
行ける。
足裏はずっと針を刺したように痛いが気持ちは少し楽になっていた。
山からロードへ。
久々のロード区間。
泥に浸からなくていい。
それだけでありがたかった。
もう走ることはできない。
全歩きでゴールまで行くと覚悟を決める。

再び山に入るが緩やかな登り。
今までが強烈過ぎたから安心感があった。
そしてこの辺りから眠気を感じ始める。
3:26
95kmの看板が現れた。
あと5km。
諦めなかったから今ここにいる。
ロングレースではもうダメだと思ってからが本当の勝負でもある。
本当にもうダメなの?
本当にもう限界なの?
この瞬間が必ず訪れる。
自分を慰める気持ちとまだ諦めたくない気持ち。
ここの葛藤はたまらなく苦しい。
本人にとっては命がけのような選択でもあるから。


4:03
睡魔と戦っていたがMt.FUJI100ほどではない。
千鳥足状態になってないからまだ大丈夫。
あの時の経験がものさし基準になっていた。
ゴールと書かれた文字が目に入る。
ゴール。
いよいよだ。
あと少しで歩くことから解放される。
ようやく終わりが見えてきた。


4:20
夜がうっすらと明けてきた。
歩いて行くと残り1kmの看板。
えっ、さっきゴールの看板あったじゃん。
あの表示からもう17分も歩いてるよ。
やったー、あと1kmだ!とはならなかった、、、。
まだ1kmもあるってなった。
(正直看板の順番逆でしょって、笑泣)
会場からは声が聞こえてくるのだけどなかなか辿り着けない。
おそらく距離を合わせるためだろうがかなり遠回りさせられていた。
もう少しゴールまで気持ちよく行きたかったのが本音。
感動がだんだん弱くなっていった気がする。
来年は変わってるといいな。


最後の砂利道を下るとゴールゲートが見えてきた。
、、、。
この瞬間。
この景色を見るために足を止めなかった。
今までの全てが報われる。
無事に帰って来れた。
これで本当に終わる。
コロンビアモントレイルの旗。
選手を迎えるレッドカーペット。
自分のゼッケン番号と名前が読み上げられた。
今回のゴールで頭によぎったこと
それは足裏のこと。
よく耐えたな自分。
もうこんな苦しいレースは二度としたくないと思った。
この悪いコンディションでも諦めずに完走できたことはこれからの自信にきっと繋がるはず。
ありがとう、志賀高原。
またひとつ大きな壁を乗り越えることができました。




まとめ
志賀高原100。
前半20kmまではずっとシングルトラックなので入る場所が重要です。
速すぎず遅すぎず。
自分の適正ペースで進めるか?
ここはけっこう鍵になると思います。
横手山からの下りは絶景ですが足元が岩場なので注意が必要。
45km過ぎからゲリラ豪雨になったためコースは一瞬で川、池、沼に様変わり。
志賀高原は雨が降るとかなり足元が悪くなります。
雨が降らないことを祈りたいがなんせ開催時期が7月上旬。
梅雨のど真ん中、天気を味方に付けれるかがポイントになります。
83kmの一の瀬エイド。
ここの関門を出発できるかできないかが最大のポイント。
この関門を超えると制限時間が緩くなるので多少余裕が持てます。
コースは厳しめなので挑戦するにはもってこいの大会。
ぜひとも志賀高原のゲレンデ祭りを楽しんでいただきたいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
おまけ
志賀高原100 メダルの裏側はこんな感じ。


帰りの道の駅(北信州やまのうち)で買った笹寿司。
飯山市の郷土料理でしいたけやクルミが特徴です。

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