【奥三河パワートレイル2023】完走率は64.1%/日本屈指の難コース

トレイルランニング

みなさんこんにちは。

ラン歴10年サブ3.5ランナー(3:23:27)のみつ(@hiroki.mitsunaga)が2023/10/1に開催された奥三河パワートレイルに参加してきました。

去年に引き続き2回目の参加になります(今年から開催時期が4月から10月に変更)

去年は最終関門にて3分タイムオーバーのためDNF。

とても悔しい思いをしたので今年はなんとしてもリベンジしたくて今日まで頑張ってきました。

コースは前半走れて後半急登。

日本屈指の難コースでもあります。

制限時間は厳しめなのでランナーの力が試されます。

今後奥三河パワートレイルに参加しようと思っている方にはきっと役立つ情報になると思います。

写真もたくさん撮っていますのでぜひ参考にしてみてください。

70kmのロングレースのため長文になりますが最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。

【奥三河パワートレイル2023】のレース動画になります(Instagramリール)

この記事を執筆している筆者の簡単なプロフィールになります。

目標はMt.FUJI 100(UTMF)完走!

アシックス大好きランナーでもあります。

  • 34歳(はじめは10km走れない状態)からランニングを始め現在44歳
  • フルマラソン3:23:27(2023) 大阪マラソン
  • ハーフマラソン1:29:29(2022)ぎふ清流ハーフマラソン
  • 10km39:27(2023) 刈谷市かきつばたマラソン
  • 100kmトレイルランニング完走20:26:48(2022)奥信濃100
  • 100kmウルトラマラソン完走13:28:26(2022)野辺山
  • 118kmウルトラマラソン完走14:32:45(2023)チャレンジ富士五湖
筆者 奥信濃100 2023

結果

奥三河パワートレイルの結果になります。

記録:14:02:09 (制限時間14:30:00)

去年のリベンジを果たすことができました。

完走の勝因は前半、しっかり抑えて走れたこと。

そのおかげで後半の急登も止まることなく進めたのが大きかったです。

過去いろいろなトレランの大会に出てきましたが奥三河パワートレイルの後半部分は間違いなく日本でもトップクラスの厳しさ。

そこを完走できたのは今後の自信に繋がります。

完走できる目安基準

奥三河パワートレイルを完走できる目安基準はこちらになります。

私が過去に出場したレースと比較してみました。

(1が優しい、10が厳しい)

大会名難易度特徴
奥信濃100 100km9制限時間が21時間
OSJ ONTAKE100 100km8.5ずっと林道で午後から暑い
野辺山ウルトラマラソン100km8激坂と日中の暑さ
奥三河パワートレイル70km7後半の山が急登すぎる
富士五湖ウルトラマラソン118km7基本平坦で走りやすい
白馬国際クラシック50km6.5関門時間が厳しめ
飛騨高山ウルトラマラソン100km6坂が多くて暑い
丹後ウルトラマラソン100km6とにかく暑すぎる
OSJ 新城トレイル32km4アップダウンが厳しい
比較表

※気象条件が年によって違うのはお許しください。

奥三河パワートレイルは前半と後半が別の大会といってもいいくらいタイプが違います。

前半は走れる、後半は急登。

そこをどう攻略するのかがおもしろいレースです。

去年DNFだった原因は前半飛ばし過ぎたこと。

18km~28kmの下り10kmは走れてしまうのでここのペースが重要です。

他のランナーに抜かれることもありますがそこは気にせず。

とにかく抑えて自分のペースで。

足に負担がかからないようジョグのような感覚で走ること。

ここで突っ込みすぎると間違いなく後半足が攣ったり止まります。

あとはエイドで長居しないこと。

補給やトイレを済ませたら座らずすぐに出発した方がいいです。

あとあとになってエイドのタイムロスが響いてきます。

周りのランナーが座って休憩していると大丈夫なんだと思ってしまいますが関門時間が厳しめなのであまり流されない方がいいです。

最後にもうひとつだけ。

この大会は階段の上り下りが非常に多いです。

過去に出場してきたレースの中でおそらくNO.1の累積階段数です。

疲れている後半に階段地獄がやって来るので膝や前ももにダメージが。

レース前にダメージが残りにくい階段の上り方、下り方を勉強しておくといいかもしれません。

※奥三河パワートレイル2023の完走率はこちらになります↓

完走率は64.1%。

今年はそこまで暑くなかったので完走するにはベストコンディションだったと思います。

実力・経験あるランナーが出場しても約3人に1人は完走できない結果。

なかなか厳しい現実です。

コース

コースはスタートとゴールが違うワンウェイルート。

スタートは愛知県最高峰の山がある茶臼山高原、ゴールはふれあいパークほうらい。

距離は70km。

前半は基本走りやすいコースです。

CP3の小松長江老人憩の家(31.8km)を過ぎると恐ろしいくらいのギザギザトレイルが始まります。

後半になるにつれコースの難易度が上がってくるので己の力を試すには最高の舞台です。

レースプロデューサーの石川弘樹さんは「コースの難易度は面白さだと思って、レースを楽しんでみてください。”トレイルと対話すること”を忘れずに」とおっしゃっています。

まさにその通りだなと思いました。

CP4の四谷千枚田は日本の棚田百選である場所。

せっかくなので目の前に広がる絶景を見ながら深呼吸して気持ちをリフレッシュするのもありです。

CP5の棚山高原を過ぎると鳳来寺山エリアに入っていきます。

ここは岩肌が特徴的な山。

足場が岩なので今までのトレイルとは雰囲気ががらりと変わります。

鳳来寺山を登り切った後は1425段の石段を下っていきます。

ここが本当にきついんです。

体はもう疲れきっているので膝が悲鳴をあげるかもしれません。

ふんばりどころです。

コース最終区間は55年前に廃線となった旧田口線が今年から新たに新コースに加わりました。

昔ながらのホラーなトンネルを走るのでなかなか雰囲気があって楽しめます。

奥三河の自然を堪能できる贅沢トレイルになります。

前日受付

愛知県常滑市を車で出発して約1時間20分。

去年に引き続き道の駅もっくる新城で昼食タイムです。

せっかくの新城、ふだんはなかなか食べれないメニュー「熊カレー」を注文。

ルーは少し黒め、野生の臭みはなくとても食べやすい。

美味しかったです。

おやつに大好きな五平餅もいただきました。

13:15

受付会場に到着。

場所はふれあいパークほうらい。

奥三河パワートレイルは前日受付のみとなっています(13:00~17:00)

まずは装備品の確認へ。

ライト(予備電池含む)・フラッシュライト・レインジャケット・携帯電話

確認が終わると次は選手受付へ。

今回の参加賞はTシャツと日本酒(蓬莱泉)。

Tシャツのデザインはお洒落でポップ、なかなか使えそうです。

ショップもいろいろ出店しています。

その中でも一枚のTシャツに目が留まる。

コノハズクがモチーフらしい。

いい感じ。

環境保護や植樹のチャリティーTシャツでもあったので思い出に購入。

奥三河パワートレイルのトロフィーは手彫りで毎年違うデザインなのです。

今年はトンビ。

こんなトロフィーもらったら嬉しすぎる。

ちなみに2022年は野うさぎでした。

2023(今年)
2022(去年)

14:30

長篠陣太鼓さんの演奏が始まり迫力ある和太鼓の音で気持ちが高まってきます。

会場ではレースプロデューサーの石川弘樹さん、アンバサダーのyuzuさんにお会いできさらにテンションが上がる。

たくさんのラン友さんにも会うことができ楽しいひとときを過ごしました。

宿泊

受付が終わると会場から車で15分。

本日の宿、ルートイン新城へ(去年もこちらでお世話になりました)

一人だったけどツインの部屋を使ってくださいと説明を受ける。

ラッキー。

10月の奥三河パワートレイルはどうやらヒルがでるらしいです。

ヒル対策としてヒル下がりのジョニーをシューズにシュッシュする。

スプレーかと思ったら泡タイプだった、、、笑。

レースの準備を済ませたあとは同じ敷地内にあるまぐろダイニング「美蔵」さんへ。

明日は1時30分起きなので17時から夕食です。

ノンアルで乾杯してビビンバ、サラダ、小籠包をいただく。

みなさんと楽しい時間を過ごせました。

部屋に戻ると大浴場へ。

ここは大浴場があるからいいんです。

20:30就寝

いつもながらなかなか寝付けませんでした。

1:30起床

朝食をいただく。

レース前はおにぎりと味噌汁が私のスタイル。

移動

2:20

ホテルを出発。

2:45

ゴール地点のふれあいパークほうらいに到着。

奥三河パワートレイルはワンウェイルートのため少しアクセスが大変でもあります。

多くの方はそこからバスに乗車してスタート会場である茶臼山高原へ向かいます。

私は今回ラン友さん(URAYAMAチーム)の車で送迎していただきました。

感謝しかありません。

本当にありがとうございました。

4:30

スタート地点の茶臼山高原に到着すると雨が降ってきた。

だんだん強くなってくる。

しまいにはゲリラ豪雨で外に出れないレベルでした。

スタート前なのになんてこった。

コースはきっとやばいことになっているとテンションが一気に下がる。

スタートは6時なのでしばらく車の中で待機した。

スタート前

5時を過ぎると雨が止んだので駐車場からスタート会場へ歩いて行く。

会場に着くと室内で荷物の最終確認をして荷物預けに。

辺り一面霧に覆われていて異様な光景だった。

5:40

スタート地点ではたくさんのラン友さんに会うことができお互い「がんばりましょう!」とエールを交換した。

5:50

石川弘樹さんがマイクでレースの対策や激励をしてくれました。

さぁいよいよだ、気持ちが高まってくる。

今回同じ大会に出る予定だったラン友さんが怪我をしてしまい出られなくなってしまった。

その方とは去年の思い出がある。

私は最終関門でタイムオーバーになり収容車に乗ってゴール会場まで行った。

そしてフィニッシュするランナーを一目見ようとゴール地点に行ったらちょうどその方が飛び込んできたのだ。

めちゃくちゃかっこよかったし輝いていた。

自分もこの気持ちを味わってみたい。

ゴールしたらどんな気持ちになるんだろう。

そう思ったのをしっかり覚えている。

今回その方の分も一緒に走ってくると伝えてあったのでなんとしても完走したかった。

5:55

スタート5分前。

一度頭の中を整理してみる。

前半30kmまでは絶対に飛ばさない。

とにかく抑えて走る。

頑張らない、楽にを意識して。

今日は去年のリベンジをしに来たのだ。

完走してゴールする瞬間を強くイメージした。

あともうひとつ、私の目標であるMt.FUJI 100(utmf)を完走するための練習でもあった。

大丈夫、絶対いける。

自分に言い聞かせた。

スタート10秒前。

大きく深呼吸。

どんな一日になるんだろう。

スタート

6:00

奥三河パワートレイルがスタートした。

応援をいただきながら茶臼山高原を走って行きます。

スタートして7分、トレイルに入る所で渋滞が発生する。

CP1までが13.8km。

制限時間が2時間。

この大会でCP1の関門時間が一番厳しめの設定になっています。

場所も去年のつぐ高原グリーンパークから面の木ピットに変更あり。

最後尾グループにいるとタイムロスが大きいのでできれば少しでも前にいたいです。

スタート1時間前に降った土砂降りでコースがぐちゃぐちゃになっていると思ったけどそこまでひどくはなかった。

水たまりはほとんどないし泥に埋まることもなく普通に走れる。

いやー、よかった。

まだまだ先は長いからとりあえず安心した。

この区間は下り多めで急なアップダウンがそこまでないので走りやすいです。

まずまずのペースでいい感じに来ている。

時計を見ると7:40(関門時間は8:00)

順調に走っていたつもりだが、、。

あれっ、思ったより余裕がない。

道はトレイルで狭いため前の人に付いていくのがやっと。

抜くに抜けない状況なのです。

もうすぐ関門に着くはずなんだけど、、。

なかなかカウベル、人の声が聞こえてこない。

7:45

あれ?

これ間に合うの?

心配になってきた。

周りにいる人も「これ大丈夫ですかね?」と聞いてきた。

あきらかに焦っている雰囲気が伝わってくる。

集団のペースが少しあがる。

体力はまだ全然残っている。

スタートして2時間で関門にひっかかるなんてありえない。

関門よ、早く現れてくれと思いながら走っていると【津具ADまでアト220歩】の文字が目に入った。

そしてカウベルとラッパの音が聞こえてくる。

いやー、危なかった。

残り時間はあと10分。

決してゆっくり走っていたわけではないのでかなり厳しめの設定だと思った。

エイドでラン友さんと合流。

余裕ないのに顔ハメパネルで写真を撮りあう、、笑。

水を補充しておにぎりと梅干しを食べていたら奥信濃100でも応援してくれたラン友さんに会えた。

パワーもらったよ、ありがとう。

エイドを出ようとしたらなんと石川さんを発見。

まさかこんな所にいると思っていなかったので。

一緒に写真を撮ってもらったら元気とパワーがみなぎってきた。

ここから次のCP2までは7.3km。

新たな気持ちでスタートした。

CP1(面の木ピット)~CP2(笹暮)

CP1(面の木ピット)を出るとここから多少のアップダウンが始まります。

奥三河パワートレイルは至る所で階段が出現。

私がこれまで出場した大会の中でも階段数はNO.1の大会だと思います。

風力発電エリアに来ると大きな風車の下を走り、前方は真っ白な霧に覆われて幻想的な光景が広がっていた。

ドラえもんのどこでもドアでいきなり別世界にやって来たみたいでした。

足元はフカフカなので走っていてとても気持ちがいいエリアです。

2つの山を越え最後の碁盤石山を登り切るとここから10km、ひたすら下りが始まります。

ここは去年失敗した区間。

要注意です。

ずっと下りなので自然にスピードが上がっていきます。

周りのランナーに次々と抜かれていくので「あれっ、ペースが遅い?」という気持ちになり集団について行ったのが間違いでした。

後半足が残っておらず最終関門でDNFという結果に。

なので作戦としてはこの10km、他のランナーに抜かれても気にしない。

自分のペースで抑えて走ることだけを意識した。

下り始めて4km、CP2の笹暮に到着した。

9:07

関門時間が10:30なので1時間23分の貯金ができた。

ここまでけっして飛ばしていないのにこれだけの貯金ができた。

よってCP1の関門時間が相当厳しいことが分かる。

ボランティアのラン友さんを発見、元気をいただく。

ここで食べたミニトマトが美味しかったぁ。

その後はバナナ2本食べてエイドを早々と出発した。

CP2(笹暮)~CP3(小松長江老人憩の家)

CP2を出たあとはさらに6km下っていきます。

スピードを上げようと思えば簡単に上がってしまうので気を緩めない。

とにかく抑えて、ランナーに抜かれても気にしない。

自分のリズムで無のゾーンに入っていく。

お寺で座禅してるようなイメージかな。

頭の中を一度落ち着かせる。

途中川が現れたが去年同様に橋が作られていた。

川の中を渡らなくて済む。

当たり前と思うかもしれないが大会によっては橋がなくボランティアさんが「滑るので気を付けて渡ってください」と誘導される。

そのまま川の中を渡っていくのだ。

おかげでシューズ、靴下はびしょ濡れ。

以前、川の水が冷たすぎて凍傷になりかけた経験がある。

他には足の裏がふやけてしまい水ぶくれができたり、、。

だからできることなら川の中に入りたくないのだ。

こうやって橋が用意されていることは選手にとってほんとにありがたいことなのです。

長かった下り区間を終えるといったん大きな道路にでて再び山の中へ入って行きます。

ジェルは1時間に1本ずつ取っていたがここで初めてクエン酸を補給。

SUPER MEDALIST 9000。

早め早めに取ることを意識して。

CP3の小松エイドに向かう途中、手作り看板や旗がたくさんでてきます。

地元の方の温かい気持ちが伝わってくる。

こういう演出はランナーにとってものすごくパワーいただけるんです。

今年もかぶり水の看板がドーンとランナーを迎える。

去年はものすごく暑くて。

頭から思いっきりかぶった記憶が蘇る。

ただ今年はそこまで暑くない。

頭からかけようか迷ったけどせっかく用意してあるので一杯だけ。

その後は顔を洗う。

水が冷たくて体がシャキっとした。

31.8km。

CP3(小松エイド)に到着。

10:32

関門時間は12:00。

ここまでの貯金タイムは1時間28分。

CP2の貯金が1時間23分だったのでさらに5分の貯金になる。

まずまずいいペースなんじゃないかな。

このエイドは私の大好物、五平餅が提供されるのでたまらんのです。

串に刺さった一口サイズもあるがおばちゃんが「焼きたてだから1本食べていきー」と言ってくれる。

いやいや1本は多いよと言ったら焼きたてだよってさらに一言。

焼、き、た、て、、、。

はい、負けました。

焼きたての言葉には勝てません笑。

1本まるごといただきました。

美味かったなぁ。

甘酒もありエネルギーチャージ満タン。

レース中はすぐにお腹減るからしっかり食べといてよかったです。

おばちゃん、ありがとう。

昨日夜ごはんを一緒に食べたラン友さんに会えて元気をもらう。

不思議なものでこうやって人と話すと疲れが吹っ飛ぶことがある。

あれは何なんだろう、、。

ロングレースは一人で黙々と最後まで走り続けるのはけっこうしんどい。

だから定期的に人と話して刺激を受けることはとても大切なのです。

ここまでだいたい半分の距離だけどここからが奥三河パワートレイルの恐怖でもあります。

CP3(小松長江老人憩の家)~CP4(四谷千枚田)

お腹も心も満たされエイドを出発しようとしたときあるやることを思い出した。

それはヒル対策をすること。

ここから先は山ヒルが出るらしい。

トレランをやり始めてヒル対策をするのは初の試み。

どれだけのヒルがいるのだろう?

昨晩ヒル対策でシューズにスプレーを吹きかけておいたがさらに追いスプレーをした。

これで多少は防いでくれるはず。

どきどきしながら山の中へ入って行った。

ここから先は前半のコースと違いギザギザの急登トレイル。

岩古谷山と鞍掛山を越えていきます。

去年も経験しているのでだいたい分かっていますがまじ恐怖です。

上を見上げるとあまりの急登で心が折れることも、、。

なので足元を見ながら視野を狭めて進みます。

新城の山を初めて経験する人はきっと衝撃を受けるはず。

なんじゃこの壁、やばいやつだって笑。

看板が現れた。

岩古谷山まで1.3km55分。

1kmちょいで55分?

そんなバカな?と思うかもしれませんが現実なのです。

ここからは歩いても歩いても距離が進んでいきません。

しばらくすると今度は十三曲がりへ。

その名の通り十三回つづら折りを歩いて行きます。

とにかく足を止めずに一歩ずつ前へ。

壁のような登りでは両手を腰に当てたり太ももの上に乗せたりしてとにかく足を止めない。

歩き続けるだけでも大変なのです。

木製階段だったり鉄階段だったり岩階段だったり。

階段もたくさんあります。

もやは拷問に近いです、、。

でもレースなのでそう簡単にはやめられない。

いったん下りに変わり走りやすい所にでた。

足元に気を付けながらスピードを上げていく。

テンポよく自分のリズムで。

こけないよう足の置き場を見つけながら下って行く。

しばらく進みなんでもない段差を越えた次の瞬間だった。

、、、。

痛ぁぁぁぁぁっ。

木の根っこを思いっきり蹴っ飛ばす。

そして体が宙に浮きダイブする。

ゴロゴロゴロ、、、。

何が起こった?

一瞬頭が真っ白になった。

おれ、大丈夫なのか。

通り過ぎるランナーが大丈夫ですか?と声をかけてくれる。

状況がよく分かっていないのでとりあえず大丈夫ですと答えた。

手のひらは皮がめくれ血がでている。

歩けるのか?

恐る恐る確認しながら歩く。

、、、。

とりあえず大丈夫みたい。

ふーーーーー。

深呼吸。

他に痛い所はないのか?

再び歩く。

左足の親指付近が痛い。

でも歩けないことはない。

様子を見ながらゆっくり歩いて行く。

途中靴下を脱いで確認しようと思ったが見ると気持ちが下がるのは分かっていたので見ないことを選択。

とりあえず行けるところまで行ってみようと思った。

足元は次第に岩場に変わっていく。

山の中から「ヤッホーーー」と叫ぶ女性の声が響いていた。

それも何回も。

元気な登山者だなーと思いながら声を聞くたびにパワーをもらっていた。

見晴らしのいい所にでると一人の女性に遭遇した。

あっ、インスタで見たことある方。

セーラームーンの方ですか?

「はい、そうです。」

話をするとヤッホーと叫んでいたのは彼女であることが判明。

登山者の人かと思ってました。

「選手です。」

こんなきつい状況でパワフル全開だったのでただただびっくり。

たくさんのランナーに元気を振りまいていました。

まるで輝くひまわりのよう、、、尊敬しかなかった。

たくさんの元気をもらったよ。

ありがとう。

絶景ポイントからすぐ。

岩古谷山山頂に到着。

一言だけ。

きっつい。

新城の洗礼を受ける。

そしてまだまだ難コースは続いていきます。

登って下ってを繰り返し鞍掛山の急登へ差し掛かった。

上を見上げてはいけないくらいの傾斜。

またかよ。

もう勘弁してくれという気持ちになってきます。

止まらない止まらない止まらない。

このセリフをリピートしていた。

そうでもしないと足が止まってしまう。

止まらない止まらない止まらない。

止まらないって何回言ったことか。

止まらないっていう歌があったらいいのにと思った。

※そうそう、とてもいいことなのですがレース中ヒルはいませんでした。

時期がよかったのか気候がよかったのかは分かりませんが、、。

上の方から「あと少しで頂上でーす」という声が聞こえてくる。

前にいる選手も後ろにいる選手もみんなゾンビ状態。

声をかけてくれたボランティアさんからはどんな感じに見えるのだろう。

下からぞろぞろ上がってくるゾンビ達の姿は。

おそらく異様な光景で怖いと思う。

「お疲れさまでした、頂上です」

ボランティアの方が声をかけてくれる。

やっと着いた、鞍掛山。

ありがとうございます。

声を出すのもやっとでした笑。

ここからCP4の四谷千枚田まで3km。

激下りになります。

大きな木の間を走っていきます。

この一本道は気持ちがいい。

集団で走っているとみんなで旅ランしているようだった。

走ること15分。

カウベルの音やマイクでしゃべる声が小さく聞こえてきた。

CP4(四谷千枚田)に到着。

13:44

関門時間が15:00なので貯金タイムは1時間16分。

CP3からはマイナス12分。

初めて貯金が減り少し焦りがでる。

エイドではシシ汁を発見。

立ったまま食べようか迷ったが空席の椅子が目に入った。

座るかやめとくか。

少し考える。

すぐに食べてエイドを後にする選択もあったがまだ先は長い、いったん休憩しようと思った。

椅子に腰を下ろす。

あーーー。

まるで温泉に入った感覚に近い。

しばし幸せ気分に浸る。

そしてシシ汁をすする。

うめーー。

生き返る。

疲れた体に染みるおいしさ。

このまま動けなくなりそうだった。

この四谷千枚田は日本の棚田百選でもあります。

目の前に広がる絶景を見ながら大きく深呼吸。

ふーーーーー。

一度冷静になる。

ここでもラン友さんに会えて元気をいただく。

ありがとう。

CP4(四谷千枚田)~CP5(棚山高原)

CP4を出発する。

今までと変わらず階段、急登は続いていき海老峠、宇連山を越えていきます。

そろそろ補給の時間かな。

甘いジェルに飽きてきたのでそういう時はトップスピードが役に立つ。

以前口の中が甘くなりすぎジェルを補給することが嫌になった。

それでも無理やり甘いジェルを耐えながら飲んでいた。

もっとさらりとした飲みやすくて効果の高いものはないのか?

そんなことを考えていた時に出会ったのがトップスピード。

まさに自分が求めていたものでした。

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宇連山を登り切り2km下ったところがCP5の棚山高原。

去年ここを全力疾走していたのを思い出した。

関門に間に合うのか間に合わないのか。

あのハラハラはほんと心臓によくなかった。

危険を冒してでも全力で駆け抜けたんだけど、、、。

間に合わないと分かった瞬間一気に力が抜けた。

そして悔しさがこみ上げてきた。

あの悔しい思いはもうごめんだ。

そんなことを考えながら走っていた。

CP5(棚山高原)に到着。

16:00

関門時間が17:00なので貯金タイムは1時間。

CP4からはマイナス16分。

ここでも貯金を切り崩す展開に。

でも去年より1時間も余裕がある。

そう思うとまだ大丈夫、気持ちを強くもった。

CP5ではライトチェックがあります。

点灯が確認できるとエイド内へ。

梅ジュースをいただきリフレッシュ。

うまい。

ボランティアをしているラン友さんからパワーをいただく。

大会中はパワーをもらってばかりです。

感謝しかありません。

一人一人、みなさんが助けてくれる。

そして力を分けてくれる。

私は幸せ者です。

CP5(棚山高原)~CP6(門谷地区)

CP5から先はどんな世界が待っているのだろう。

去年はここでDNFだったので未知の領域に足を踏み入れた。

次の関門までは鳳来寺山を越えていきます。

鳳来寺山は昔一度だけ行ったことがあるのでなんとなく想像できる。

1425段の石段が続き樹齢800年、現存するものとしては日本一となる高さ60mの傘杉があることで有名。

あそこを今から通るのか。

元気な状態でもけっこうきついのに。

足がかなり疲れていたので不安しかなかった。

途中転んで痛めた左足親指はたまに気になるがレース中はそこまで気にならなかった。

アドレナリンがでていたのかな。

そんな状態だったのでせっかくのチャンス、なんとしても完走したかった。

コースは鉄階段や木製階段が多く徐々に足元が岩場に変わっていきます。

17:50

辺りはだいぶ暗くなりライトをつけた。

グゥーーーー。

お腹の音が鳴った。

ここまでずっと集中して歩いていたのでお腹が減っていることに気づかなかった。

いかんいかん。

お腹が減ってから補給していては遅いのです。

もっと早めに補給しないと。

ここで頼りになるのがモルテン。

過去に何度もピンチから救ってくれたモルテン。

これを補給するともうダメだという状況から、あれ?力が湧いてきたぞとなるのです。

絶対絶命の状況なら間違いなくモルテンの一択。

ロングレースでは必ず装備しておきたいジェルになります。

今回も頼むぞという思いで補給した。

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しばらくすると684m、鳳来寺山々頂の看板が現れた。

ここまで来るのにかなりの階段を上り下りしてきた。

膝、前ももはかなり疲れている。

もう階段だけは勘弁してほしい。

そんな気持ちになっていたがこの先1425段の石段を下っていく。

ちなみに1425段は一般的なビルに例えると59階相当みたいです笑。

石段は形、幅、高さや大きさが全部違うので足の置き場に気を遣う。

濡れていたらさらに滑るという危険性も伴うが今回は大丈夫だった。

周辺は真っ暗なのでヘッドライトの灯りのみが頼りになります。

一歩ずつ慎重に下っていく。

たまに足が攣りそうになっていた。

階段を踏み外しそうにもなることもあったので倒れてもいいよう端っこを歩いた。

何段下りて来ただろう。

まだですか。

どこまで続くんですか。

気にすればするほど終わらない。

永遠に続いているようだった。

膝が壊れてしまう、、、。

横を向いたり足の着く場所を変えてみたり。

そうでもしないとやってられない。

なんなんだ、このコースは。

こんな疲れた状態で階段地獄をコースに組み込むなんて。

いかれてる、もう笑うしかなかった。

ポンポンポンと駆け足で下れば何てことないのだが一段一段、感触を確かめるようにしか下れない。

ようするにありえないくらい遅い。

そりゃ貯金タイムがどんどんなくなっていく。

あそこで終わりなのかな?

最後の石段を下り終えると一瞬ゴールした気持ちになった。

ロードにでて少し行くとCP6の関門に到着した。

18:41

関門時間が19:00なので貯金タイムは19分。

CP5からはマイナス41分。

まじか。

一気に黄色信号点滅。

完走できるという確信がなくなった。

このタイミングで追い込まれるのは本当にしんどい。

残り8km。

残り時間は1時間49分。

ロードなら安全圏内だがまだ山の中に入る。

厳しい状況に立たされた。

CP6(門谷地区)~ゴール(ふれあいパーク)

余裕がなくなったのでエイドでは水だけ補給してすぐに出る。

もうジョグしかできないが走れる所は走る。

19:00

60kmの看板が現れる。

残り6km(実際は66kmみたいです)

残り時間は1時間30分。

間に合うのだろうか?

ここから山の中に入っていく。

上りが始まった。

体も足もけっこうしんどい。

今できることは足を止めない、ただそれだけ。

もう必死だった。

ここまで来て完走できないなんてそんな結末は嫌だ。

リベンジできると思った時もあったがだんだん余裕がなくなり追い込まれている。

奥三河パワートレイル、そんなに甘くない。

だからこそやりがいがあるのだがもう泣きそうだった。

時間が止まって欲しかった。

周りにいる選手も自分と同じ気持ちなのが伝わってくる。

足は止めないし走れる所は走る。

今できる全力だった。

前方にトンネルが見えた。

今年から新たに加わった旧田口線の廃線トンネル。

足元は石ころ、壁はでこぼこ。

異様な雰囲気を放っていた。

走りたいけど足場が悪いので早歩きで進んだ。

3つくらいトンネルを通ったかな。

時計を見る回数が次第に増えてくる。

頼むから間に合ってくれ。

ずっと祈る気持ちだった。

しばらくすると一般道にでた。

もう山の中には行きたくない。

頼むからこのままロードであってくれ。

そんな気持ちで進んでいると前方に会場の灯りらしきものが見えた。

誘導する赤いライトが点滅している。

人の存在が確認できる。

19:57

残り時間は33分。

あーーーー。

帰ってきた。

完走できることを確信したら涙がでてきた。

これで去年完走できなかったリベンジを果たせる。

そう思ったらさらに泣けてきた。

トレイルは残りの距離が分かっていてもコースによっては何分かかるか予想がつかないから。

だからこのタイミングまでずっと不安だった。

会場に入ると照明に照らされたレッドブルのゴールゲートが見えた。

今までの出来事がフラッシュバックしてくる。

この大会で出会ったラン友さんの顔、怪我してでれなくなってしまったラン友さんとの約束、心と体を破壊してくる急登の山々、階段地獄、こけて吹っ飛んだ出来事など、、、。

いろいろあったけど長かった一日が終わる。

諦めなかった。

足を止めなかった。

全てはこのゴールのために。

目の前にあるゴールテープを両手で持ち上げ喜びを噛みしめた。

横を見るとたくさんのラン友さんの姿が。

先にゴールした人、応援してくれた人。

みんなの表情がキラキラ輝いていて幸せな気持ちになった。

まとめ

奥三河パワートレイル。

70km。

累積標高4000m。

愛知県を代表する日本屈指のトレランレース。

スタートとゴールが違うワンウェイルートは楽しみ倍増です。

エイドや応援は地元の方の温かさに触れることができ手作り看板はどれも素敵なものばかり。

大好きな石川弘樹さんの大会でもあります。

前半は走れるコース、後半は急登トレイル。

前半は走れてもしっかりセーブして走るのが鍵。

後半は壁のような急登でも足を止めないこと。

止まらずに歩くだけでも本当にきついです。

完走した後はもういいかなと思いますが時間が経つにつれまた走りたくなるのがこの大会の特徴。

来年もまたスタートラインに立てたらいいなと思っています。

次の挑戦は11/12開催のおかやまマラソンになります。

目標は【3:20:00切り】

現在のベストが3:23:27なので更新できるよう真剣勝負してきます。

最後に。

今回ご一緒させていただいた皆さま、楽しい時間をありがとうございました。

たくさんの元気とパワーをいただきました。

またどこかの大会でお会いしましょう。

ここまでの長文、最後まで読んでいただきありがとうございました。

【おまけ】

参加賞の日本酒(蓬莱泉)で完走の余韻に浸りました。

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コメント

  1. 吉田祐也 より:

    初めまして。
    いつもブログ拝見させていただいてます。
    私は広島県(と言っても岡山県境のすぐ隣)に住んでいる37才の男です。
    5年ほど前から走り始め、ランニングのトリコになってしまいました‼️
    トレランにもハマってしまい、みつさんが出られるような大会には出たことがありませんが、少しずつ距離を伸ばしています‼️
    私もおかやまマラソン走りますので、もしみつさんをお見かけ出来れば声をかけさせてください‼️
    私も今年、サブ3.5を狙っているのでお互い頑張りましょう‼️

    • みつ みつ より:

      吉田様はじめまして。
      コメントありがとうございます。
      フルマラソンもいいですがトレランも面白いですよね。
      どちらも挑戦している時が一番楽しいと思います。
      広島だとまだ出たことはありませんが広島湾岸トレイルに興味があります。
      いつかは出てみたいです。
      おかやまマラソンでられますかー。いいですね。
      ぜひサブ3.5達成してやりましょう。応援してます。
      もちろんです。発見した際はお声かけてください。
      会えるといいですね!

      • 吉田祐也 より:

        返信ありがとうございます。
        フルもトレランも面白いですよね。
        来年はウルトラにも出たいと思ってます‼️
        広島湾岸トレイル楽しそうですね‼️
        自分は100kmも動き続けられないと思うのでもう少し鍛錬して出てみたいと思ってます💦
        サブ3.5達成できるよう頑張ります‼️
        みつさんの3時間20分切り応援してます‼️
        当日お会いできたら嬉しいです‼️

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