みなさんこんにちは。
ラン歴10年サブ3.5ランナー(3:23:27)のみつ(@hiroki.mitsunaga)が2023/7/16に開催された【ONTAKE100】100kmに初挑戦してきました。
今回は先月の奥信濃100(2023/6/10)が完走できなかった時の予備レースとしてエントリーしていました。
奥信濃100、ONTAKE100共にITRA4ポイントの大会になります。(奥信濃100ではなんとか完走して目標だったITRA10ポイントに到達しました)
ONTAKE100のコースはほぼ林道でITRAポイントを獲得しやすいラッキーレースと噂で聞いていました。
でも実際に走って見ないと本当かどうか分からない。
ということで身をもって走ってきました。
今後ONTAKE100に挑戦してみようと思っている人にはきっと攻略のヒントになるはずです。
ロングレースのため長文になりますが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
今回感じたこと、思った事などコメントしていただけたら今後の励みになりますのでよろしくお願いします。
【ONTAKE100】2023のレース動画になります(Instagramリール)
この記事を執筆している筆者の簡単なプロフィールになります。
目標はUTMF(FUJI)完走!
アシックス大好きランナーでもあります。
- 34歳(はじめは10km走れない状態)からランニングを始め現在44歳
- フルマラソン3:23:27(2023) 大阪マラソン
- ハーフマラソン1:29:29(2022)ぎふ清流ハーフマラソン
- 10km39:27(2023) 刈谷市かきつばたマラソン
- 100kmトレイルランニング完走20:26:48(2022)奥信濃100
- 100kmウルトラマラソン完走13:28:26(2022)野辺山
- 118kmウルトラマラソン完走14:32:45(2023)チャレンジ富士五湖
結果
ONTAKE100 100kmの結果になります。
記録:18:42:01 制限時間20時間
なんとか無事に完走できました。
しかしある意味、過去一厳しいレースになりました。
レース中熱中症になりコースの日陰で寝ていました。
どうなるか分からず本当に怖かったです。
ITRAポイントを獲得しやすいラッキーレースだなんて、そんなことは全くありませんでした。
レース後に聞いた話ですが今年からコースが変わったみたいです。
恐るべきONTAKE100です。
完走できる目安基準
ONTAKE100 100kmを完走できる目安基準はこちらになります。
私が過去に出たレースと比較してみました。
(1が優しい、10が厳しい)
大会名 | 難易度 | 特徴 |
奥信濃100 100km | 9 | 制限時間が21時間 |
OSJ ONTAKE100 100km | 8.5 | ずっと林道で午後から暑い |
野辺山ウルトラマラソン100km | 8 | 激坂と日中の暑さ |
富士五湖ウルトラマラソン118km | 7 | 基本平坦で走りやすい |
奥三河パワートレイル70km | 7 | 後半の山が急登すぎる |
白馬国際クラシック50km | 6.5 | 関門時間が厳しめ |
飛騨高山ウルトラマラソン100km | 6 | 坂が多くて暑い |
丹後ウルトラマラソン100km | 6 | とにかく暑すぎる |
OSJ 新城トレイル32km | 4 | アップダウンが厳しい |
※気象条件が年によって違うのはお許しください。
ONTAKE100はテクニカルなトレイルは一切ありません。
延々と続く林道は肉体的にも精神的にもきついです。
同じような風景がずっと続きエイドが少なく応援の人もいないので変化がほとんどありません。
巷では「走る座禅」と言われているらしくまさに修行でもあります。
完走するためには速く走る必要は全くありません。
前半はまだ体力があり走れてしまうのでどうしてもオーバーペースになりがちです。
ここは絶対に抑えて行きましょう。絶対にです。
今回はペースを抑えたつもりでしたが振り返るとやはりオーバーペースでした。
最近のロングレースでは毎回失敗しています。
ずっとゆっくりジョグができるスピード(キロ7くらい)で走ったり歩いたりで大丈夫です。
私くらいのレベルだと後半必ず走れなくなり歩くだけでもしんどいですから。
あと完走するために必要なのが補給食の準備です。
OSJの大会は基本エイドが少なく食べ物があまりないです。(今回はオレンジ、バナナ、おにぎり、そうめんでした)
おにぎりはどこにあったのか分からず、、、泣。
ハンガーノックになりやすいので想定より多めに持っていくことを強くおすすめします。
ちなみに今回私が用意したものはこちら↓
コムレケアとアミノバイタルパウダー以外は全て使い切りました。
ジェル系は12本。これ以外に柿の種、クッキー5枚、ランチパック1袋、わらび餅、せんべい2枚を食べています。
結果的にドンピシャでしたがレース後半、足りないのではとヒヤヒヤでした。
多少余るくらいの方が安心です。
最後は暑さ慣れしていること。
午後から一気に晴れて暑くなったため体が追い付かなくなりました。
体内に熱がこもり熱中症に、、、。
倒れるんじゃないかという状態になりレース中、日陰で寝ていました。
暑くなるのは想定していたので今回冷タオル(水に濡らして振ると冷たくなるやつ)を持っていったのはよかったです。
途中滝の水で濡らしてはパタパタやって至る所の血管を冷やしていました。
冷タオルは命を守ってくれます。
夏場のレースはぜひ持って行ってください。
完走できるポイントをまとめるとゆっくりジョグ(キロ7)で前半飛ばし過ぎないこと。
そしてしっかり補給食を準備して暑さ対策ができれば完走できる確率はグンと上がると思います。
※ONTAKE100 2023 100kmの完走率は66.5% ↓↓
コース
大会フィールドは霊峰御嶽山(標高3067m)の麓に広がる国有林。
通常立ち入ることができない未舗装林道を特別に走ることができます。
ステージは2つに分かれており第一ステージは上松(あげまつ)1周、第二ステージは滝越(たきごえ)1周になります。
100マイルの選手は上松を2周、滝越を1周します。(ちなみに100マイルに参加する資格は100kmを14時間以内に完走した人になります)
累積標高は2600m。
コースの8割が林道、2割がロードといった感じです。
基本走れるコースです。
トレイルの大会ですが私が知っているトレイル区間はゼロでした。(木の根っこや岩場や急登やシングルトラックなど)
スタートから約15kmはひたすらロードが続きます。
山に入ると足元は岩ではなく石ころが散らばっています。
地面が固いので足首、足裏が痛くなる恐れがあるかもしれません。
なかなか対策が難しいですが林道のロング走をやるとおんたけのコースがイメージできます。
ONTAKE100はトレイルが強い人というよりはウルトラマラソンが強い人の方がどちらかといえば向いています。
前日受付
10:30
家を出発。(愛知県)
今回私は追加エントリーのため受付がおんたけスキー場なのです。
通常エントリーは松原スポーツ公園になります。
14:20 出発して3時間50分。
本会場の雰囲気が見たくて途中松原スポーツ公園にちょっと寄り道。
緑に囲まれた空間が広がっていました。
会場には大きな屋根がありいろいろなショップが出店していました。
食べ物系は焼き鳥と五平餅。
せっかくきたので記念にフィニッシュゲートで一枚。
明日無事に帰ってこれますようにとお願いした。
その後はおんたけスキー場へ向かいます。
車で走ること約30分、けっこう遠い。
15:10
おんたけスキー場に到着。
当たり前だがスキー場だから標高が高い(標高1680m)
Plaza Orionで受付をします。
メイン会場と違いとても寂しい感じでした。
まー、追加募集だからしょうがないのか、、。
ゼッケン、Tシャツをもらって受付終了。
Tシャツはなかなかお洒落なデザイン、今後使い道がありそうだ。
前日夕食
受付後、車に戻る。
スタートが明日の深夜0時。
この時間帯のスタートは人生初である。
そこまでどういう風に過ごしたら正解なのだろう。
来る前にいろいろイメージしてきたけど思い通りにはいかなかった。
ここから悪夢が始まる。
運転中嫌な予感がしていたが見事に的中した。
周辺は人の気配もお店もなく全く生活感が感じられない。
トレランの大会はそういう所が多いにせよそれにしても何もない。
夕食を食べようと車を走らせたが、、、お店がない。
うそでしょっ、運転すること20分、小さな集落にお店らしきものを発見。
あった。
正直助かったという心境だった。
店の中に入ると簡易的なものがぽつんぽつんと置かれている感じ。
食材と生活用品が一緒になっている。
嫌な予感がした。
、、、。
小さい店内を一周した。
まじか、おにぎりもなければ弁当もない。
食べ物、食べ物。
再びもう一周。
あるのはカップラーメン、非常用パン、缶詰、お菓子など。
要するに日持ちするものしか置いてない。
店員のおばあさんにここからコンビニやスーパーまではどのくらいですか?と聞いたら30分くらいと言われた。
ガーン。
スキー場からは約1時間だ。
無理です。そんな元気はなかった。
ということで100km走る前日の夕食はこちらになりました。泣きたくなった。
今後ONTAKE100に出られる人で車で過ごす場合は必ず夕食を買ってきてください。
私みたいにならないためにも、泣。
前日準備
お店付近のベンチで夕食を食べ再びおんたけスキー場へ。
18:00
ゼッケンをつけたりデポバックの整理したり明日の準備をする。
いつもはホテルでやるので車はとにかくやりにくかった。
明日着る服を準備したがそもそも0時スタートだからレースの格好で休む感じになる。
あーー、バタバタだ。
周りの人達も準備に追われている感じ。
車のドアを開けたり閉めたり、バタンバタン。
とても寝れる感じではない。
18:30
とりあえず準備を終え歯を磨いて車で仮眠することにした。
エンジンを切っても暑くも寒くもなくちょうどいいくらいだったけどタオルケットはあった方がいいかもです。
21:30
起床。といってもほぼ寝れなかった。
体が疲れている。
日焼け止めを塗って荷物をまとめてバス乗り場へ。
スキー場から22:00発のバスに乗ってスタート会場の松原スポーツ公園へ向かいます。
何が正解か分かりませんがおんたけスキー場で仮眠した人はかなり大変だと思います。
レース前日が車の中&寝不足というのは想像以上にきつかった。
もやは徹夜明けで走るような感じに近いです。
少しの時間でもちゃんと宿で休んだ方がいいような気がした。
深夜0時スタートにいかに体調を合わせられるかがONTAKE100は鍵になってきます。
会場到着
バスに乗ること40分。
22:50
スタート会場に到着。
大きな屋根の下はライトに照らされ輝いていた。
外は雨がパラパラ降ってきたが半袖でもちょうどいいくらいの気温だった。
スタート会場にデポバックとお帰り用、2つのカバンを預けられます。
写真撮影のためスタートゲート前は少し並んでいました。
写真を撮るなら早いうちがおすすめです。
トイレを済ませスタート時間を待っていた。
すると何人かのラン友さんに会うことができたので緊張せずリラックスできました。
23:53 スタート7分前。
神主さんによる御祈祷があります。
御嶽山の方角に向かって二礼二拍手一礼。
いろんな大会に出ているがこのような時間は初めてだった。
「事故無く無事に完走できますように」
その後スタート地点に整列します。
かなりのランナーが並んでいて雰囲気はトレランというよりウルトラマラソンのスタートみたいだった。
スタート~25km
深夜0時。
全員ヘッドライトを装着してスタート。
ONTAKE100、100km(正確には109km)の旅が始まった。
制限時間は20時間。
暑くも寒くもなく半袖でちょうどいい感じ。
スタートから15kmまではロードがずっと続くのでウォーミングアップのつもりで走った。
御岳湖にヘッドライトの灯りが反射して一直線に連なりその光景が水中花火のようだった。
17km、スタートしてから2時間3分が経過。
調子は良さそうだ。林道を走って行く。
前半ペースは絶対に抑えて行くと決めスタートしたがやっぱり速くなってしまう。
まだ元気なのと前のランナーに引っ張られる。
これ以上突っ込んだらダメだと自らペースを落として後ろに下がった。
これはいままでの経験から判断している。
トレランはマラソンと違いコースがいろいろ変化するので一定ペースで走り続けることは難しい。
距離が100kmを超えてくるとなおさら適正ペースが分からない。
ただ言えることは後半必ず走れなくなる。そして歩くのもしんどくなる。
これだけはもう分かっている。
だからそのバランスをいかに保てるか自分で考えながらペースを決めるしかない。
とにかく前半は抑えて行く、そう思いながら走った。
25km(白川小川)~54km(第一関門)
25km
3:11
最初のエイドステーションに到着。
去年は給水、トイレ共に大渋滞(長いと1時間待ち)だったようなのでこのエイドはスルーする作戦を立てていた。
そのためスタートから2ℓの水を積んで走った。
重さを獲るか渋滞を獲るか?
先月に出た奥信濃100でも一番最初のエイドは大渋滞だったから渋滞だけは避けたかった。
今年は去年からの改善で給水タンクを増やしたようだがそれでも並んでいた。
ザックが重い分多少体力を消耗したけどタイムの事を考えたら間違いなくスルーの作戦でよかった。
ただ次のエイドまでが遠い。
次は第一関門である54kmなのだ。
ここから29kmもある。あまりにもエイドまでの間隔が長い。
ベストな作戦は水を多め(結果的に2ℓでドンピシャだった)にスタートして最悪トイレだけ並ぶというのがいいと思う。
おそらく水、トイレ両方並んでいたらかなりタイムロスするはずです。
ここの判断は大きくレースに影響してくると思います。
このONTAKE100はとにかくエイドが少ない。
5つあるエイドのうち水だけのエイドが2つ。
食べ物を補給できるエイドは3か所のみ。
トレランレースの中でもかなり厳しめになっています。
体はまだ元気だったが早め早めに、ここでカツサプを投入。(カツサプは2023年にリニューアル!)
カツサプは私の足攣り予防最強アイテムなのです。
勝負レースでは必ず使用します。
今回もきっと助けてくれるはず。
35kmまで登って50kmまで一気に下っていきます。
4:30
前方の空がうっすら明るくなってきた。
でもライトはまだ必要な感じ。
5:00
辺りは一面霧に覆われていた。
トイレが一台。数人が並んでいました。
トイレが少なすぎる、、、。
スタートしてから5時間経過。
この間の補給はジェル3本。
ちょっと少なかったかな⁈お腹か減っていたので柿ピーを出す。
ロングレースではジェルに必ず飽きるので柿ピーはおすすめです。
ジップロックに入れてあるので食べたい時に食べたい量を食べられる。
塩気もありぼりぼり食べれるので食べ終わった後は満足感があり気分がスカッとします。
41km
5:51
走れないことはないが足元はやや水たまりがあって緩い感じ。
ひたすら下って行きます。すると林道からロードに出ます。
ここから54km第一関門(スタート地点)まではロードになります。
7:00
太陽の日差しが出てきた。暑くなりそうだなぁ。
橋を渡り松原スポーツ公園に向かいます。
あと1km。
速い選手が関門を出て横をスライドしていきます。
54km
7:32(スタートして7時間32分)
第一関門到着(関門時間は10:00)貯金タイムは2時間28分。
この時点でかなり疲れていました。(走り続けることが難しいくらい)
前半抑えて走ったつもりなんだけど全然速かったみたい。
ゆっくり行くって決めてスタートしてるのにどうしてできないんだろう、、。
自分の学習能力の低さにがっかりした。
フルマラソンはようやくペース配分を守れるようになってきたのにロングトレイルはなかなか思い通りにいきません。
関門には引っかかりたくないし、貯金はある程度は作りたいし。
そうなんだけど、まだ1時間は遅くても良かった。
結果的にもう少しゆっくり走って体力を残しておくのがベストでした。
トイレを済ませ歩いているとスタートで一緒だったラン友さんと再会。
少し話してお互いの健闘を称えあった。
デポバック、デポバック。
ボランティアさんからデポバックをいただく。
空いているスペースを見つけて腰を下ろす。
後半戦で使用するジェルの詰め替え、水の補充、帽子のチェンジ。
そして気分転換にオレンジジュース、ランチパック、黒糖わらびを食べて小休憩。
これから暑くなるのは分かっていたのでゆっくり休憩した(20分)
ここまで54km。
今がほぼ全体の半分の距離。
元気な状態からスタートしてこの疲労感。
いやー、かなり疲れている。
次はこの疲れている状態から暑さも加わり同じ距離を走ることになる。
考えたら不安になってきた。果たして行けるんだろうか、、。
気持ちが切れたらここから出発できなくなるので腰を上げ進みだした。
やれる。きっと大丈夫。
そう思うしかなかった。
最後にオレンジとバナナを食べて松原スポーツ公園を後にした。
54km~72km
8:00
ここからはステージ2の滝越エリア。
54km~62kmまでの8km登っていきます。
始めの6kmはロード区間、野辺山ウルトラマラソンを思い出すようなコースです。
ジョグする人もたまにいるが私はほぼ歩き。
その後は林道に入って行きます。
汗をたくさんかいていたのでクエン酸、BCAAを補給。
これはどのタイミングで補給したらいいのだろう。
いまいち分かっていないがだいたいいつも半分くらいの距離で摂るようにしている。
本来、水に溶いて飲むものだが私は適量粉を口に直接入れそのあと水を含ませ口の中であわせて飲んでいます。
ちゃんと止まってエイドで飲めばいいのだが、、、。
いつからかこのスタイルに落ち着きました。
だいたい4回くらいに分けて各ポイントで飲んでいます。
それと同時にジェルの甘さに飽きたら役立つのがトップスピード。
甘さやドロッとした感じがないのでさらっと飲めます。特に暑い夏場はおすすめです。
相変わらず林道ばかりですがたまに絶景が現れます。
赤いトンネルや川の滝など景色が変化すると新鮮な気持ちになれます。
単調なコースが続くのでこういう瞬間は本当に貴重なのです。
しばらくすると看板が現れた。
ウォーターステーションまで約300m。
気温が上がってきて水がぎりぎりな状態だった。
水分を取らないと脱水になるし飲み過ぎて水不足になったら危険だし。
夏のトレランは過酷です。
72km。
ウォーターエイドに到着。
あるのは本当に水だけ。
もはや砂漠のオアシスを見つけた状態です。
あー、助かった。
補給食は必ず多めに用意しておいた方がいいです。
エイドの食べ物が少ないので自分で持っていないとハンガーノックになってしまいます。
72km~83km
11:30
83kmの第2関門を目指します。
ウォーターエイドでは何も食べ物を補給できなかったからすぐにお腹がすく。
想定より補給食の減りが早かったが空腹状態は避けたかった。
いろいろ持ってきたがここで最強ジェル、モルテンの投入。
単調な景色、疲れ、眠気など気持ち的に弱くなっていたので流れを変えたかった。
過去に何度もピンチから救ってくれたモルテン。
眠気もあったので目が覚めろという思いでもあった。
平坦の道はスロージョグで走れていたが太陽の力が増して暑かった。
川の水はきれいで水草が揺れる光景に一瞬涼を感じた。
手を水の中に入れ頭、首筋にかけた。
何度もかけた。
ふー、気持ちいい。
生き返る。
13:00
第2関門に到着した。
関門時間は15:00なので貯金タイムは2時間(第1関門からはマイナス28分)
やや貯金を崩したがそれでも2時間あったのでとりあえずは一安心。
エイドではソーメンがいただけます。
正直楽しみがほとんどなかったのでこのソーメンに救われた。
目の前にある大きな釜で茹でてくれていました。
美味かったぁ。
バナナ、オレンジも補給してとりあえずお腹は満たされた。
83km~
83km。
次の目標は91kmのウォーターステーション。
96kmまで登りになります。
エイドを出て歩いているとランナーさんが声をかけてくれました。
「Instagramやってますか?」
フォロワーさんでした。少しお話して気持ちが楽になった。
ずっと一人で無言だったので少ししゃべるだけでパワーがいただけます。
嬉しかったし感謝です。
ありがとうございました。
その後はひたすら林道が続きます。
空の色は濃いブルー。
太陽の日差しをおもいっきり直に浴びます。
日よけの帽子を付けていたので多少はマシだったはずだが強烈な暑さでした。
頭の中は「暑い、暑い」という言葉が。
冷やしタオルを首からかけていたので持っている貴重な水を少しかけてパタパタ仰いで首筋や血管を冷やしていた。
この行動は危険サインの始まりでもあったのです。
前のエイドを出た時の水量は500を2本とザックに予備で500。
合計1500ml。
それでも飲む水と体を冷やす水で水不足になりかけていました。
コース上に流れる水や滝を見つけては冷タオルを濡らして全身を冷やしていた。
前方を歩いているランナーもほとんどの人が帽子を濡らしたり体を濡らしていた。
みんな同じだ。
自分だけじゃない。
時計を見た。
おそらく次のウォーターステーションまであと300mくらいかな。
早く水をごくごく飲みたかった。
しかし、、、。
300mたっても1km過ぎてもエイドは現れない。
うそやん?
まートレランあるあるだからしょうがないけどこのタイミングはやめてほしかった。
若干朦朧としていたのもあって「もしや通り過ぎた?」「見落とした?」
ひょっとしたらコース間違えた?って思ったが間違えようのないくらいまっすぐな林道だからそんなはずはない。
水、水、水。
水が欲しい。
砂漠で水を求めている人の気持ちってこういう心境なんだなって思った。
残りの水分はソフトフラスクにある50mlくらい。
飲みたい時も口の中を濡らす程度だった。
エイドはどこへ?
頼むから姿を現してくれ。
そんな気持ちで歩いていた。
そこから数分後、青いテントが見えた。
あーーー、助かった。
水だ。
まさに命の水。
ごくごく飲む水は極上にうまかった。
水のありがたみを実感した。
500を3本満タンにしてエイドを出た。
いろんなトレランの大会に出てきたがONTAKE100は何度もいうがエイドとトイレが少なすぎる。
そしてこの7月という猛暑なのに。危険すぎる。
もう少し増やしてもらいたいと思った。
91km~95km
91km
エイドを出て4km登って下りに差し掛かったあたりからあきらかに異常を感じていた。
走ろうとしても20秒も走り続けられない。
体の熱が逃げないでこもっているのが分かった。
息苦しい。
落ち着け、落ち着け。
そう思いながらゆっくり呼吸を整えて歩く。
こんなに辛くてこんなに暑いのになんで歩いているのだろう。
ボロボロなのに前へ進む。
答えが無いかもしれない。
だけど新しい自分に出会うかもしれない、そう思って前へ進む。
コース上に日陰があまりなかった。
貴重な日陰に腰を下ろしたり仰向けになって寝ているランナーの姿をたまに見かけた。
大丈夫かな⁈という気持ちと自分も少し休んだ方がいいのかもという気持ちが交錯していた。
しばらく考えながら歩いた。
大丈夫、大丈夫。
気持ちからくることもある。
自分に安心できる言葉をかけ続けた。
でも状態は良くなるより悪化してきた。
歩くだけでもしんどい。フラフラする。
私はどちらかと言うと粘り強く我慢強い方だと思っている。
でも今回は粘り強いからこそ危険だと思った。
どこまでが限界でどこを越えたらアウトなのか分からない。
だから怖いのだ。
ニュースでみる熱中症で倒れる人が今の自分に近いんじゃないかと思った。
このまま行くべきか、日陰があったら休むべきか。
自問自答しながら歩いた。
もう答えはだいぶ前からでていたのだがこのまま歩き続けたら本当に倒れると強く思った瞬間があった。
立ち止まった後足が前に一歩、出なくなった瞬間があった。
いかん、休まないと危ない。
そこから日陰を探したがそういう時に限ってないのだ。
日陰、日陰、、、。
少しパニックになった。
持っている水をごくごく飲んだ。
落ち着け落ち着け。
立ち止まり大きく深呼吸した。
いままで苦しくても写真を撮り続けてきたがそんな元気はもうなかった。
5分後、、、日陰を発見。
ふーーーーー。
ザックを下ろし地面に座った。帽子をとった。
持っている水を冷タオルにかけてパタパタ仰いで頭、おでこ、首筋、手首、脇。
太い血管が通っている所を冷やした。
それを4.5回繰り返したら持っている水500を使い切った。
飲むより今は冷やす方が優先。
その判断は正しかった。
さっきより少しだけ落ち着いてきたのでザックを枕にして仰向けになりタオルで目を覆って休んだ。
その横をランナーの足音が通り過ぎていく。
途中、日陰で休んでいた人の気持ちがよく分かった。
完走がどうこうというより命の危険を感じたり睡魔の限界だったのだろう。
レース中にこうやって寝て休むのは私自身初めての経験だった。
自分がどうなってしまうのかとても怖かった。
2.3人のランナーが「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。
小さい声で「大丈夫です」と言って片手を軽く上げた。
30分くらい休んだのか。深呼吸して体を起こした。
まだ暑いが暑さのピークは去っていた。
自分の状態を確かめながらゆっくり立ち上がった。
本当に大丈夫なのだろうか。
ザックを担ぎ水を飲み再びゆっくり歩き始めた。
さっきよりは熱がこもってない感じがした。
95km~106km
95km
体はだいぶ落ち着いていた。
もしあの時冷タオルを持っていなかったらどうなっていたのだろう。
もしあの時水がなくなっていたらどうなっていたのだろう。
振り返っていた。
夏場の冷タオルは今後の必携品に入れておいた方がよさそうです。
いざという時に助けてくれます。
ここから105kmくらいまで下りが続く。
足の調子は大丈夫だったが体の状態がやはり不安だった。
下りだったので何度か軽く走ってみたが長く走り続けることがもうできなかった。
あきらかに疲れている。
無理したらいかん。
そう思った。
歩いてる分にはなんとか行けそうだったのでゴールまで残り14km、歩くと決めた。
現在15:40。
ゴールの最終関門時間は20:00。
残り時間は4時間20分。
1km20分で仮に歩き続けたら4時間30分。
トラブルがなければおそらくぎりぎりなはず。
一歩一歩足を動かし続けた。
きれいな水たまりや湧き水を発見する度に冷タオルを濡らした。
そして体を冷やした。
標高が低くなるにつれ水場が少なくなったがたまに現れる水に何度も救われた。
あの水がもしなかったら、、、完走するのは厳しかったかもしれない。
それくらい水のありがたみを感じていた。
時計を見た。
そろそろ100km地点かな。
100kmだったら今頃はゴールなのかな⁈
そんなことを考えていた。
ONTAKE100、今回は109kmなのだ。
この9kmがとてつもなく長く感じた。
17:50
歩き続けると決めてから2時間10分が経過していた。
あれから何人のランナーに抜かされてきただろう。
横を走って追い抜いていくランナーがかっこよかった。
太陽の光が傾きはじめ日中の暑さはだいぶ和らいできた。
18:06
長かった山の下りが終わった。
いままでほぼ足を止めなかった。
歩いていると看板が現れた。
「あと3キロ」
、、、。
あー、ついに。
この看板を見てホッとした。
完走できるという気持ちより無事であることの方が大きかった。
よくここまで辞めずに歩いてきたな。
熱中症になった時は本当に焦った。
辞めようか迷ったしいざ辞めるといっても山の中だし。
エイドまで自力で歩いて行かないといけない。
そこまで歩けるだろうか、その途中で倒れるんじゃないかと不安な気持ちになっていた。
ゼッケンに書いてある電話番号を見てはどうしようか考えていた。
他のランナーはどうだったのだろう。
道の横に座って辛そうにしていたけど大丈夫だったのかな。
途中で辞める選択をして電話をかけた人はいたのかな。
いろいろ思い返していた。
トレランで寒さの恐怖は経験したことがあるが暑さの恐怖は今回が初めてだったかもしれない。
暑さ、熱中症の怖さを思い知った。
そして夏場のトレランの恐ろしさを学んだ。
106km~ゴール
ずっと歩き続ているランナーさんと一緒になった。
同じペースで歩きながら話していた。
「いやー、長かったですね」「暑かったですね」「股が擦れて走れないんです」
気持ちが分かるので話が止まらなかった。
そこへもう一人のランナーさんが合流。
いままで出たことのある大会話で盛り上がった。
苦しい時間が長かったからこの時間はとても楽しかった。
この間も足は動いているので知らないうちに前に進んでいた。
「あと2km」
歩くと決めてから走ることなく歩き倒した。
体へのダメージは少ないけど時間が長いのが、、、。
これはこれで大変だった。
会場内に入りゴールするアナウンスの声が聞こえてくる。
ロングレースはこの瞬間を迎えると自分に打ち勝ったと思えるのだ。
これでまたひとつ自分の壁を乗り越えられそう。
「あと1km」
いままでと変わらず同じペースで歩き続ける。
空から物凄い光が溢れていた。
「ここまでよく頑張った」と祝福してくれているようだった。
ゴールゲートが見えた。
なんとか戻ってこれた。
長く苦しかった一日を振り返ると涙がでそうになった。
18時間42分01秒。
109kmの旅が終わった。
かなり疲れているけど写真を撮ってもらう時は満面の笑顔。
毎回余裕そうですねと言われるけど全く余裕はございません。
これは本当です、笑。
ゴールしたあとお会いしたかったラン友さんに偶然会えた。
それもゴールの瞬間を目撃。
嬉しかったぁ。
少しお話することができ最後はいい思い出で終わることができました。
今回ご一緒させていただいたみなさま、楽しい時間をありがとうございました。
またどこかの大会でお会いできる日を楽しみにしています。
まとめ
ONTAKE100
深夜0:00スタートなのは知っていたが体調を合わせるのが想像以上に難しかった。
車の中で仮眠3時間。ほとんど寝れなかった。
やばい、徹夜明けのだるさ全開だった。
学生時代徹夜で麻雀したあとの朝の感じ。
とても今からトレラン100km走るなんて思いたくなかった。
ちゃんと宿をとって少ない時間でも布団で寝るべきだった。
前日の夕食も大失敗だった。
会場付近にお店がない。おんたけスキー場からコンビニまで車で1時間だなんて、、、。
徒歩じゃないですよ、車で、泣。
まさか夕食がカップラーメンと非常食パンと笹かまになるなんて。
この2つの出来事が熱中症の原因になったのもあると思う。
とにかく0:00スタートの難しさを経験した。
コースはずーーーっと林道、たまにロード。
トレランではないかな、、、林道ウルトラマラソンであった。
まさに修行です。
巷で「走る座禅」といわれている意味が少し分かった。
今回初めて経験したことが多かったが苦難と戦いながらもなんとか完走することができました。
これでまた経験値が少し上がったはず。
まだまだ知らないことだらけです。
次の挑戦は10/1開催の奥三河パワートレイル70kmになります。
この大会は前回最終関門でDNF。
関門時間アウトでした。
悔しい思いをしたのでリベンジしてきます。
今後の目標であるUTMF(FUJI)完走、マイラーになるという夢に向かってこれからも挑戦し続けます。
長丁場、最後まで読んでいただきありがとうございました。
おまけ
レース後、写真は撮っていないけど宿(リゾートハウス秋桜)で夕食時にお声をかけていただきました。
大会に参加されたご夫婦と一緒に乾杯して楽しい時間を過ごさせていただきました。
ありがとうございました。
Twitterを見てガチオさんが出ているのは知っていたのですが会えませんでした。
残念と思っていたら翌日。
「あっ、ガチオさんだ!」道の駅でばったり!
お声掛けしたら快く応じていただけました。嬉しかったぁ。
大会の帰りは道の駅でソフトクリームを食べるまでが楽しみのひとつ。
今回はブルーベリー。
少しシャーベット感があって暑い日には最高でした。
ONTAKE100好きな方はこちらの記事もおすすめ
ONTAKE100で走ったシューズはこちら↓
ONTAKE100で使用したヘッドライトはこちら↓
ONTAKE100で使用した時計はこちら↓
コメント