野辺山ウルトラマラソン2023 【ウルトラの最高峰!】100kmを走り倒す

大会記事

みなさんこんにちは。

ラン歴10年サブ3.5ランナー(3:23:27)のみつ(@hiroki.mitsunaga)が2023/5/21に開催された【野辺山ウルトラマラソン2023・100kmの部】に挑戦してきました。

去年に引き続き2回目の出場になります。

今回の目標は去年の自分超え【13:28:26】

完走するだけじゃなくタイムも意識して走ってきました。

去年一度経験しているのでその過酷さは充分に分かっています。

野辺山はウルトラマラソンの中でも東の横綱と言われるくらい厳しいコース。

(ちなみに西の横綱は兵庫県の村岡ダブルフルウルトラランニング)

今後野辺山ウルトラマラソンに挑戦しよう思っている人にはきっと役立つ情報になると思います。

野辺山を完走するために必要なことも書いてあります。

是非参考にしてみてください。

今回はウルトラマラソンのため長文になっております。

エッセイのような感じで読んでいただけたらうれしいです。

野辺山ウルトラマラソン2023の動画になります【Instagramリール】

この記事を執筆している筆者の簡単なプロフィールになります。

アシックス大好きランナーでもあります。

  • 34歳(はじめは10km走れない状態)からランニングを始め現在44歳
  • フルマラソン3:23:27(2023) 大阪マラソン
  • ハーフマラソン1:29:29(2022)ぎふ清流ハーフマラソン
  • 10km39:27(2023) 刈谷市かきつばたマラソン
  • 100kmトレイルランニング完走20:26:48(2022)奥信濃100
  • 100kmウルトラマラソン完走13:28:26(2022)野辺山
  • 118kmウルトラマラソン完走14:32:45(2023)チャレンジ富士五湖
筆者

結果

野辺山ウルトラマラソン100kmの結果になります。

記録:12:50:47(ネット) 制限時間14時間

目標にしていた去年の自分超えを達成することができました。(37分更新)

朝の冷え込みはそこまでなかったが日中の暑さがすごかった。

野辺山は前半の50kmまでは案外走れてしまうが後半の50kmがタフすぎる。

諦めそうになりかけた場面はあったが無事に完走できて本当によかったです。

完走できる目安基準

野辺山ウルトラマラソンを完走できる目安を私が今まで参加した大会と比較してみました。

年により気候条件が違うのはお許しください。

※あくまで私個人の感想になります。

(1が優しい、10が厳しい)

大会名難易度特徴
野辺山ウルトラマラソン100km8激坂と日中の暑さ
富士五湖ウルトラマラソン118km7基本平坦で走りやすい
飛騨高山ウルトラマラソン100km6坂が多くて暑い
丹後ウルトラマラソン100km6とにかく暑すぎる
奥信濃100 100km9制限時間が長い(21時間)
OSJ新城トレイル32km4アップダウンが厳しい
奥三河パワートレイル70km7後半の山が急登すぎる
白馬国際クラシック50km7関門時間が厳しめ
比較表

先月出場した富士五湖ウルトラマラソン118kmと比較すると私は野辺山100kmの方が厳しいんじゃないかと思います。

(118kmと100kmで距離は短いにも関わらず)

富士五湖の場合は4月開催のため気候がよくて走りやすかった。

野辺山は朝の気温から日中の気温がぐんぐん上がるので暑かった。

仮に気象条件が同じだったとしてコースだけ比べたら野辺山の方が1.5倍~2倍くらい厳しいような気がします。

飛騨高山は野辺山と同じく坂が厳しいコースになりますがダメージは野辺山の方が大きいです。

丹後の場合は9月開催なのでとにかく暑すぎる。

暑さに関してははるかに丹後の方が大変です。

正直走ったらダメでしょと思うレベル。(熱中症になりそう)

奥信濃100はトレランになるので野辺山と比較するのは難しいですが私は奥信濃100の方が厳しかったです。

奥信濃100はトレランポールを使用しても大変でした。

アップダウンも奥信濃100の方が強敵です。

OSJ新城トレイル32kmは壁のような激坂がありかなりハードなコースですが32kmなのでまだ走り切ることができます。

ダブルの64kmというものもありますがこれは恐ろしすぎて今の自分には到底無理なレベル。

奥三河パワートレイルは前半は走りやすいコースですが後半はエグイ急登の坂が連続します。

野辺山と同じくらいタフなコースです。

白馬国際クラシックは42kmまでの関門時間が厳しめです。

そこを越えると少しだけ余裕ができます。

なので42kmまではスピードも必要になってきます。

スピードに関しては白馬の方が厳しめかもしれません。

※野辺山ウルトラマラソン2023の完走率&気象条件はこちらになります。

野辺山ウルトラ2023完走率
野辺山ウルトラ2023気象

前日編

前日は自宅を朝6:30に出発。

愛知県から野辺山までは車で約4時間。

ゼッケンや計測チップ等は事前に送られていたので前日受付はなし。

私は一人で向かい八ヶ岳Pで今回ご一緒させていただく皆さんと合流しました。

ランチ

お昼を食べに【幸せのかけら】に行ったら予約で満席とのこと。

ガーーーン。

予約していなかったみたい、涙。

急遽、萌木の村にある【ROCK】へ。

スゴイ行列だったけどお店が大きかったから15分くらい待って中に入る。

ここの名物はカレーみたい。

全員ビーフカレーをいただいた。

かなり重めのルーだったからもう少し軽い方が好みだったかな。

その後はヤツレンにソフトクリームを食べに。

ミルクの味が濃くて美味しかった。

吐竜の滝(どりゅうのたき)

宿にチェックインするにはまだ早かったので吐竜の滝へ行ってきました。

木陰もあり涼しくて気持ちよかった。

歩くこと10分。

滝に到着。

高さはないが横に広がっていてとても絵になる滝だった。

行ってみる価値ありです。

ペンションセドナ

今回お世話になった宿はペンションセドナさん。

野辺山からは車で20分くらいの所にある北杜市大泉町。

外観はお洒落だし内観もキレイ。

まだ新しそうだったのでオーナーに聞いてみたらなんと30年近くやられているとのこと。

びっくり。

とてもきれいに丁寧に過ごされているんだなぁ。

ご夫婦のお二人もとても素敵な方でした。

ペンション好きな方で野辺山ウルトラに参加される際は是非とも泊まっていただいたい宿です。

お風呂もよかったし夕食では乾杯して楽しいひとときが過ごせました。

次の日の朝が早いので20:30に就寝。(2:30起床予定)

当日の朝

ウルトラマラソン当日の朝。

2:30起床。

ウルトラは何が大変かって。

それは体調を合わせるのが大変。

夜は男三人相部屋だったので寝れたような寝れなかったような、、。

ウルトラ前の睡眠はほんとに大切なんだけど興奮してなかなか寝れないんだよな。

2:50

寝ぼけながら前日に買っておいた朝ごはんを食べる。

夜食で食べるカップラーメンがうまいようにウルトラの朝はお味噌汁がうまいんです。

試したことがない人はぜひ一度お試しあれ。

3:30

宿を出発。

外はものすごい霧で車の運転が怖かった。

3:55、指定駐車場である南牧南小学校に到着。

4:00、そこからバスに乗って会場の南牧村社会体育館へ向かいます。

距離は1.7kmなので歩いたら約20分くらいかかります。(実際に歩いてる人もいます)

4:05、会場に到着。

バスの中ではいきなりラン友さんご夫婦に会えました。

スタート前

4:30

うっすら夜が明けてくるのでこの時点でライトは無しで大丈夫です。

朝はもっと寒いかと思ったけどそこまで寒くなかった。(ちなみに去年は寒かった)

会場にはパン、梅干し、バナナ、オレンジ、お菓子、ホットコーヒー、コーラなどが用意されています。

荷物預けは体育館の中でゼッケン番号を見て自分で置く感じになります。

トイレは多くの人が並んでいるのでお早めに。

スタート前はラン友さんと合流できたので心強かったです。

スタート~10km

スタートは5:00と5:15のウェーブスタート。

ちなみに私は5:15スタート。

雲の隙間から朝日の光が。

空が燃えているようだった。

スタート1分前。

寒さの心配は一切なし。

その代わり今年は暑さとの戦いになるはず。

深呼吸して気持ちを整える。

絶対に完走する。

去年の自分を超える。

エイドは補給したらすぐに出る。

心の中で確認した。

5:15

野辺山ウルトラマラソンの旅がスタートした。

前方の空は朝日の光で輝いていた。

5:18

スタートしてから3分しか経っていないのに、、、。

まじか。

まさかの踏切につかまる。

すごい確率でドンピシャにひっかかる。

なかなかの滑り出しだった、笑。

早朝の高原野菜畑を見ながら走って行きます。

6:00

JR鉄道最高地点。

標高は1375m。

ここは思い出スポットでもある。

去年野辺山ウルトラに参加した時4人で一緒に写真を撮った場所。

そのうちのお一人と一年ぶりに再会できました。

あれから一年かぁ。

またこうやって同じところに立って写真が撮れるなんて。

こういう出会いって本当にいいなって思う。

走っているといろいろな所で繋がってくる。

ランニングに感謝、出会いに感謝です。

2023
2022昨年の野辺山ウルトラ

6:18

10km。

徐々に雲が薄くなり太陽が姿を現してきた。

少し先のエイドでは野辺山高原産花豆大粒甘納豆がいただけます。

たしかに大粒で美味しかった。

10km~23km(第1関門)

ここから先は砂利道の林道をひたすら上っていきます。

それもけっこうな距離。(約8km)

目指すはコース最高地点である標高1908m。

7:00

空は快晴の青空になってきた。

朝の一番気持ちいい時間帯。

爽やかな空気を感じながら走っていた。

7:22 (スタートから2時間7分)

最高地点の標高1908mに到着。

去年は手が凍えるくらい寒くて息も白かったけど今年は快適な気候でした。

23km

第1関門に到着。

関門時間を確認してみるとここまでの貯金タイムは1時間2分。

そこまで飛ばしたつもりはなかったが思ったより早く着いた。

トイレに行こうか迷ったけどたくさんの人が並んでいたので即スルー。

まだ我慢できそうだったので。

トイレピットインのタイミングは本当に悩ましい。

特にレース前半は重要かも。

極力トイレ渋滞のタイムロスだけは避けたい。

エイドにはいろいろあったがパンを2つ口に放り込みすぐに出発。

エイドの時間は最小限に。

23km~42km(第2関門)

8:00

23km。

上っては下ってをしばらく繰り返していきます。

気温は徐々に上がってきました。

走ることに慣れてきたせいもあり体があったまってきた。

エネルギー不足になる前にここで一発補給タイム。

私のお気に入りアイテムのひとつ。

【トップスピード】

さらっとしている(ほぼ液体)ので飲みやすいのが特徴。

足攣りを防ぎ疲労回復効果あり。

トイレを我慢してから2エイドスルーしてきたのでここで限界。

多少並んでいたけど今までよりは少なかったと思う。

ここまで耐えてきてよかった。

ようやく30km(スタートから3時間36分)

ここまでは体の痛みもなく順調に走れてる。

いい感じ。

まだ半分も来ていないので早すぎず遅すぎず息があがらないペースで無理なく走ろうと心掛けた。

35km手前のエイドでは味噌ドーナツを食べた。

食欲は問題なくあったので美味しくいただきました。

以前他のランナーさんと話して思ったことは自分は比較的胃の調子は強いみたい。

気持ち悪くなることはあっても吐いたことはないからだ。

ウルトラはどれだけ走れても食べられなくなったら力を発揮することが難しくなる。

だから継続して無理なく補給することはとても大切なことなのです。

42km

八峰の湯。

第2関門到着。

ここは42kmの部のゴール地点でもあります。

貯金タイムは1時間8分。(第1関門よりさらに6分貯金)

このペースが適正範囲内なのかはいまいちよく分からない。

ただ自分の中で息が上がらずリラックスして走れるペースだったので大丈夫と信じるしかなかった。

同じ宿に泊まっているたかさんとも偶然会えた。

エイドではおにぎりを2つ。

そして大好物のアメリカンチェリーを。

うますぎた。

まさかエイドでアメチェが食べれるなんて。

もうすでに暑かったのでフルーツ系のみずみずしい食べ物に自然と手が伸びる。

いっぱい食べて気持ち的にリフレッシュできた。

ウルトラはこういう気分転換が必要だ。

とても10何時間も真剣にただ黙々と走り続けることは自分にはできない。

42km~50km(第3関門)

アメチェでリフレッシュできたので「さぁ行こう」という気持ちだった。

エイドを出てしばらく走っていると前方に見覚えのある後ろ姿が。

少しスピードを上げ追いついてみたらやっぱりラン友さんでした。

彼女は超ロングの大会に出ている強者ランナー。

(超ロングとは230kmとか100マイルとか)

お久しぶりもあって会話しながら8kmくらいご一緒してもらった。

話していると時間も距離も知らないうちにけっこう進んでいる。

感謝感謝。

ありがとう。

こういう出会いはほんとにパワーがもらえるんです。

途中にあるエイドでは名物の【みすゞ飴】がいただけます。

去年も食べたけどグミと羊羹とゼリーを足して割ったようなもの。

あめ?と思いながらエイドを後にした。

味は美味しかった。

この辺りは最高地点の1908mと比べたら標高が低いので暑さを感じた。

信号待ちで止まっている時はこの先絶対暑くなりそうだなぁと。

50km

小海中学校横公園。

第3関門到着。

制限時間は12:15。

現在10:57、貯金タイムは1時間18分。

(第2関門からさらに10分貯金が増えた)

貯金が増えるのはうれしいがオーバーペースじゃないよなという不安もあった。

今回は完走だけでなくタイムも狙っていたのでこのまま最後まで走れるのか。

ウルトラは気候の変化やコースのアップダウンがあるからペース設定が本当に難しいのです。

50km~59km

50km

エイドでは蕎麦がいただけます。

ん?

なんか大掛かりな設備がある。

なになに?

蕎麦はその場で茹でているし水で洗ってしめてるし。

その流れでカップに盛ってネギのせて。

まじかー。

奥の方では実際に麺棒を使って蕎麦を打っているじゃないですか。

すごっ。

その光景に感動した。

力いれてるなー、野辺山。

去年はおそらくコロナの影響で蕎麦はなかったはず。

ありがたく美味しくいただきました。

ご馳走様でした。

さぁー、勝負はここからだ。

70kmくらいから始まる馬越峠(まごえとうげ)は野辺山で一番厳しい難所なのは承知だが去年出場している私は知っている。

実は野辺山は馬越峠前の50km~65kmが一番苦しいということを。

59kmのエイドまで走ってそこから来た道を折り返してきます。

距離はまだ100kmのちょうど半分くらいなので先は長い。

ここでまだ半分か。

そう思うとぞっとします。

やっぱり強敵だ、野辺山は、、、。

誰もが思う瞬間です。

そしてここからは体に暑さが応えるんです。

エイドではかぶり水が大活躍します。

11:40。

太陽の日差しのせいで実際の気温以上に暑く感じます。

同じような道が続き若干の上り坂。

集中している気を緩めたら歩きたくなるレベル。

自分との戦いが始まります。

歩かない、歩かない、歩かない。

心の中で唱え始めます。

この先馬越峠は全歩きすると決めているのでこの区間は絶対に歩きたくないのです。

それが逆にプレッシャーになり余計苦しく感じるのもあります。

実際何回か歩きも加わったが8~9割くらいは走れたかな。

この区間で歩きが多くなってしまうと後半相当しんどくなると思います。

野辺山を完走するにはある意味この区間が一番の勝負所だと思います。

59km

エイドの北相木村役場に到着。

看板の表示温度は26℃。

暑い。

体感的には30℃を超えてる感覚。

エイドで何がしたいって、食べ物ではなく飲み物でもなく。

まずは頭から水をぶっかけたいのです。

それくらい暑いのです。

多くの人がひしゃくで水をぶっかけていました。

この水がちょうどいいくらいに冷えていて気持ちがいいんです。

一度かけたら二度三度と止まらなくなります。

体を冷やして気持ちをいったん落ち着かせます。

エイドには冷凍パインがあって。

そのパインがうまいんです。

キンキンに冷たい。

歯にしみるけど、、、。

さぁーがんばろ!

再びスイッチが入りました。

59km~65km

59kmのエイドを出ると再び走ってきた道を戻ります。

折り返してからの方が多少楽になります。(少しだけ下りが多いから)

60km

反対車線からはたくさんのランナーが59kmのエイドに向かって走ってきます。

野辺山で唯一のスライド区間。

ついさっきまで自分が苦しい思いをしながら走っていたので気持ちがよく分かる。

歩いてる人もいるし走り続けてる人もいるし。

野辺山は本当にここがきつく感じます。

知り合いランナーはいるかな、視線は常に反対側のランナーを見ています。

しばらく走っていると

「あっ!」

今回会えたらいいなと思っていたランナーさんを発見。

そのランナーは4年前に丹後ウルトラマラソンで出会った人。

再会したいですねとSNSで連絡をとっていたので実際に会えた時は一気にテンションが上がった。

4年ぶりの再会である。

一瞬だけだったけど会話してパワーもらいました。

こういう出会いがいままでの疲れを一気に吹き飛ばしてくれるんです。

ウルトラに必要なこと。

それは運を味方につけること。

運なのでどうすることもできないが些細なきっかけで調子がよくなったり復活することはけっこうあるのだ。

ロングレースになればなるほど運は必要なもの。

少し進むと去年に引き続き施設エイドで麦茶をいただきました。

こういうおもてなしは心があったまります。

毎年ありがとうございます。

ご馳走様でした。

苦しい折り返し区間を終え現在65km。

ここからはひたすら坂を上っていきます。

65km~79km(第5関門)

65km

ここから78kmの馬越峠頂上まではひたすら上りです。

標高950mから馬越峠の1620mまで。

高低差は670m。

もはや登山レベルです。

距離は13km。

野辺山ウルトラマラソン一番の難所になります。

前半はほんの少しだけ走れる所があるけど後半は超激坂。

歩き続けるだけでもかなりしんどいです。

気合いを入れるため私が絶大な信頼を置いている「モルテン」を補給。

この先体が動き続けてくれることを願って。

富士五湖ウルトラマラソンの時は2度のピンチを救ってくれた私にとっての神ジェルです。

※キプチョゲ選手が2018世界新記録をマークした際に使用したモルテンです。

68km

南相木村役場。

第4関門到着。

制限時間は15:30。

現在13:26、貯金タイムは2時間4分。

(第3関門からプラス46分、貯金が大幅に増えた)

結果的にこの区間は少し頑張りすぎたみたい。

もう少しゆっくりでもよかったがここから始まる馬越峠の全歩きがあるから頑張れたのもある。

私はとにかく上りが苦手なのでおそらく貯金を切り崩す展開になるはず。

エイドでは恒例行事であるひしゃくで水ぶっかけタイム。

これをやるかやらないかで体への負担がかなり変わってくる気がする。

レース中は暑さで体に熱が蓄積されていくから一度冷やすことで再スタートできる。

水をかけずに進んでいったら熱中症のリスクもきっと上がるはず。

これも完走するためには必ず必要なことだと思う。

エイドではそばを食べそのあとはオレンジばかり食べていた。

もう暑すぎてオレンジしか食べたくないという方が正解かもしれない。

おそらく5~6個食べていた。

エイドを出るとほぼ日陰はなく暑さとの戦いであった。

この先は上り坂だったけど頑張ればまだ走れる坂でもある。

歩いてる人もいたが走れる所は走った。

気持ちだけは切らさないように行こうと。

70km

13:53。(スタートしてから8時間38分)

歩いたり走ったりを繰り返していた。

71.2kmのエイドで再び同じ宿のたかさんと合流。

やることは2人とも同じ。

頭から水をぶっかける。

フゥーーーー。

気持ちいい。

ここからはもう走れない。

オキテ破りの激坂がはじまる。

去年はたかさんと馬越峠を一緒に上ったが今年もまさか同じタイミングで一緒になるとは。

ものすごい偶然である。

ここでも運が味方してくれた。

いい流れがきている。

馬越峠を一緒に進めたのは精神的にかなり大きかった。

前を見ても後ろを見ても走ってる人はほぼいない。

みんな歩いている。

それを見ると少し安心する。

頂上まで走り切れる人は何人くらいいるのだろう。

おそらくトップ選手は歩かないんだろうけど。

歩く。

歩く。

ひたすら歩く。

時計は止まってくれないからのんびり歩く訳にもいかない。

今できる攻めの歩きで。

歩く。

歩く。 

ひたすら歩く。

上の方から人の声が聞こえてきた。

エイドだ。

いよいよ頂上だ。

長かった峠が終わる。

なんとか上り切った。

「お疲れさまでした」

「ここが頂上です」

ボランティアさんの声が聞こえた。

気持ち的にはゴールした感じに近かった。

野辺山最大の難所【馬越峠】をやっつけた。

79km~87km(第6関門)

79km

馬越峠。

第5関門到着。

制限時間は16:55。

現在15:29、貯金タイムは1時間26分。

(第4関門からマイナス38分、ついに貯金タイムを切り崩す展開になった)

上りが弱いのは想定内。

この時点でまだ貯金が1時間26分もあるとポジティブにとらえた。

エイドではかぶり水をかけオレンジ、梅干しを食べたあとは一度気持ちを落ち着かせる。

体をのばす。

足をのばす。

深呼吸をする。

いい感じに体と足は疲れている。

ここからは上ってきた分をひたすら下っていく。

激下りの始まりである。(約6~7km)

果たして最後まで下って行けるのか?

この時点で足の余力が少しでも残っていないと走って下り続けるのは相当しんどい。

ここが走れないとおそらく完走は難しくなる。

約2時間ひたすら歩いて上ってきたからいざ走るとなると走り方がよく分からなくなる。

足はガチガチに固まってるし。

自分の足の状態を確かめながら小さい歩幅で恐る恐る走り出す。

ゆっくりゆっくり。

大丈夫そうだ。

攻めることなく一定のテンポで坂を下っていく。

途中何人か道の端で止まっていたがみなさん足が攣っている様子。

痛そうにしていた。

この下りは急で長いからダメージが加わるとすぐにやられると思う。

下りに入る前の上り区間で足攣り対策(塩分補給、サプリ、ジェル、梅干し、塩飴、クエン酸、アミノ酸)をしっかり行っておくといいです。

どうせ歩いているのだから補給はしっかりと。

80km

下りは極力ブレーキをかけず大股にならないことを意識して。

私は上りより下りの方が得意なので自信を持って走った。

85km

無事に峠を下り終えた。

体は相当疲れていたが足の痛みは今のところでていない。

いいぞ。

大丈夫、まだいける。

去年は下りきった時点でもうヘロヘロに疲れ切っていたから。

しばらく平坦コースになるのでゆっくりでもいいから走り続けたい。

激上り、激下りを終え再びフラットになるので楽になるかと思うがそうでもない。

フラットだからこそ最低のペースで走り続けないといけないプレッシャーに襲われるのだ。

気を緩めたらいつでも簡単に歩いてしまう状況である。

もうここからは自分との我慢比べ。

歩きたいけど歩いたらいかん。

いける、いける、まだいける。

心の中はこの繰り返し。

歩いているランナーの横を追い抜いていく時は気持ちが痛いほどよく分かる。

この区間は抜かれるより抜いていく方のが多かったので精神的にも優位に立てていた。

去年はたくさんのランナーに抜かれていき歩いては走ってを繰り返すので精一杯だった。

走り去って行くランナーの姿がだんだん遠くなっていく。

そして後ろからまた抜かれていく。

それが何回も何回も。

精神的ダメージは相当でかかった。

なんでみなさんまだ走り続けることができるの?

自分の不甲斐なさに戦意を失いかける。

こうならないためにも絶対に歩かないと決めゆっくりでもいいから走り続けた。

暑さは日中のピークより若干やわらいできた。

87km

川上村原公民館。

第6関門に到着。

制限時間は17:45。

現在16:20、貯金タイムは1時間25分。

(第5関門からはマイナス1分、ほぼ大会の設定ペースで来たことになる)

仮にこの区間を歩いていたら大幅に貯金タイムを切り崩す展開になっていた。

もう余裕なんて全くない。

87km~95km

87km。

エイドでは途中何回も一緒になっていたラン友さんと再び会うことができた。

みんな頑張っている。

ここまで来るのがどれだけきつく苦しかったのか知っている。

残りは13km。

お互い頑張ろうとひと声かけてエイドを後にした。

ここまで来ると走力の差はあまり関係ないと私は思う。

大切なことは諦めないこと。

とにかく気持ちの問題。

メンタルや精神論の世界に入る。

自分に勝つのか負けてしまうのか常にこの葛藤との勝負。

この状況になってはじめて真のウルトラマラソンが始まると思っている。

歩きたい。

止まりたい。

逃げだしたい。

でも時計は待ってくれない。

一分一秒、時を刻み続ける。

命がけといったら大げさかもしれないがそれくらいの覚悟がないと簡単に集中力が途切れてしまう。

なんでこんな苦しいことをやっているんだと思う回数も増えてくる。

そんな時は自分に問う。

本当はどうなりたいのかって。

自問自答しながら前に進むしかないのだ。

90km

ついにきた。

90という数字を見ると少しだけほっとする気持ちが湧く。

残り10km。

あと10km。

先が見えてきたという気持ちとここからが本当の勝負だという気持ちと。

今までの経験上90km走ってからの10kmはまだとても長いことを知っている。

だからここで気持ちを緩めては絶対にいけない。

野辺山の残り10kmはそれなりのアップダウンが何回も繰り返される。

油断すると本当にやられてしまう。

上りは歩く人が一気に増えてくる。

一人のランナーが走り出すと少し先までいっては再び歩き出す。

ここからはこの光景をよく目にする。

今できる精一杯の頑張りなのがすごいよく分かる。

同じ時間に同じエリアにいるってことは自分と苦しさがほぼ一緒。

あの人が頑張っている。

それなら自分も頑張らないと。

走っていた人が歩いたのを確認すると「よしっ」と気合いを入れて走り出す。

歩いているのとそんなにスピードは変わらないがそれでもちゃんと走る。

まだ行ける。

私は本当に苦しくなると30歩走法を取り入れる。

30歩走って30歩歩く。

心の中で1、2、3、4、、、、。

数を数えていく。

これを繰り返す。

いろいろ試したが30歩、これくらいの長さが一番がんばれるのだ。

だんだん目標にしていた人が近づいてくる。

あと少しあと少し。

横に並び少し先まで行くと再び歩き出す。

みんなやることは同じである。

こうやって同じゴールを目指して進んで行く。

「がんばりましょう」という掛け声はないけれど互いに応援しあっているように感じる。

どの大会でもウルトラのラスト10kmはこういうシーンが増えてくる。

一人じゃない、辛いのはみんな一緒だ。

95km手前では施設エイドで温かいジャスミン茶を提供してくれた。

ジャスミンの香り。

今までのエイドにはない香りに癒された。

甘ったるいジェル、ポカリや水にも飽きていたし、、、。

温かいジャスミン茶で一瞬気持ちがほぐれた。

95km~98km

95km

時刻は17:27(スタートから12時間12分)

日も傾きはじめ気温はだいぶ涼しくなってきた。

朝見た野菜畑の光景が再び目の前に広がる。

歩きたくないから頑張って走るのだけど。

歩いているよりほんの少し速いだけ。

ほぼ歩きと変わらない。

でもこれが今できる精一杯。

歩かずにまだ走れているという気持ちだけが今の自分を支えている。

「あと3km」の看板がついに姿を現した。

「あと3km」の看板は今までさんざん見てきた看板とは重みが全く違った。

いよいよカウントダウンが始まる。

この時点からゴールまで仮に歩いたとしても制限時間内に完走できることは分かっていた。

でも今回は去年と違い完走するだけじゃなくタイムも意識していたから極力歩きたくない。

完走することが今回の目標だったらおそらくゴールまで何回も歩いていたと思う。

去年の自分を超える。

そして記録更新という目標があったから気持ちで走った。

ちなみに去年はこの時点で走り続けることができなかった。

だから今年はあの時より確実に成長できている。

いままでやってきたことは間違いじゃなかったんだと思うと嬉しさがこみ上げてきた。

一年間積み重ねてきた練習があっての今がある。

余計に嬉しさが増してくる。

試練、困難、苦境を楽しみなさい。

何かの本で読んだ言葉。

そんなこと簡単に楽しめるはずないと思うけど残り3kmまで来るとそれすらも楽しかったように感じるのだ。

そんな気持ちになれることなんて日常生活では滅多にない。

この非日常の瞬間を楽しめるのはウルトラマラソンだからこそ。

あと2km。

看板が現れた。

歩くことなくゆっくりだけど走っていた。

ちょうど太陽が沈みかけていく。

延々と続く長い一本道。

一歩ずつゴールに近づいていく。

ゴール会場からはマイクでしゃべる声が聞こえてきた。

あーーーー。

帰って来たんだ。

ここまで来るのにいろんなことがあったけど長かった旅がもうすぐ終わる。

頭の中で感情の整理がはじまる。

あと1km

あと1km。

ここまで連れてきてもらった自分の足に感謝した。

怪我無くよくぞ頑張ってくれた。

まさか自分の足に感謝する日がくるとは。

そんなこと普段走っている時に考えたことなんて一度もないけど、笑。

そんな当たり前のことにも感謝の気持ちが湧いてきた。

仲間に感謝。

家族に感謝。

全てのことに対して感謝の気持ちが生まれるのです。

沿道で応援する人達が拍手しながら「おかえりなさい」と声をかけてくれる。

…。

「おかえりなさい」

なんなのだろう。

この感覚。

ウルトラマラソンでしか味わえない気持ち。

これ以上の祝福の言葉はないんじゃないかな。

私はこのおかえりなさいという一言で全てが救われた気持ちになる。

「ありがとうございます」

当たり前の言葉だが心の中で感謝の気持ちを伝えた。

最後の曲がり角を曲がると輝く空のもと、直線の先にゴールゲートが見えた。

長かった旅がついに終わる。

自分に負けなかった。

両手を広げてゴールの瞬間を噛みしめた。

最後に大会関係者の皆さま、ボランティアの皆さま、沿道で応援してくださった皆さま、共に走ったランナーの皆さまに感謝致します。

ありがとうございました。

そして今回野辺山でご一緒させていただいた皆さま、楽しい時間をありがとうございました。

まとめ

野辺山ウルトラマラソン2023。

昨年出場してきついのは充分承知していたが改めて厳しいコースだった。

前半まではわりかし走れてしまうけど50kmを過ぎたくらいから一気にしんどくなる。

暑さ、激坂との戦い。

そして自分との戦いがはじまります。

何が正解かは分からないけど今回よかったことがいくつかありました。

・暑さ対策としてかぶり水をかけて体を冷やしたこと。

・30歩走って30歩歩く(30歩走法)

・運を味方につける。

・モルテンの補給

こういうことが重なり結果的に集中力が切れることがなかった。

一度歩いてしまうと歩き癖がついてしまうが今回はそれが少なかった。

走力はもちろん大事だけどウルトラはそれ以上に気持ちのコントロールが重要だと思う。

苦しい時間を粘っているとふとした瞬間に復活することがある。

もうだめだ。

歩こう。

そう思った時が一番の勝負所。

ここで踏ん張れる力がウルトラには必要なんだと思います。

苦しい時こそ成長できるチャンスです。

お互い自分の壁を乗り越えてこれからも頑張っていきましょう。

私の夢はUTMF(FUJI)を完走すること。

そして100マイラーになること。

これからも諦めずに挑戦し続けます。

次の挑戦は6/10開催の【奥信濃100】になります。

UTMFに出場する為にはITRAポイントが10ポイント必要。

現在私のITRAポイントは6ポイント。

この奥信濃100を完走すると4ポイントもらえるので10ポイントに届きます。

大事な勝負レースになるので何としても完走目指して頑張ってきます。

ここまでの長丁場、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

おまけ

野辺山を完走するためにやってほしいたった一つのこと

野辺山を完走するために必要なことは何か?

もちろん走力やメンタルは必要ですが今回はそこではありません。

たった一回でいいんです。

実際に野辺山ウルトラを走ってみて大会前に必ずやっておいた方がいいと思ったことが一つだけありました。

それは峠走です。

普段練習で走っている上り坂とは全く別物だからです。

峠走のようにひたすら登っていくという練習を大会前に一回取り入れるといいです。

もちろんそのあとのひたすら下っていくという練習まで。

目的は走力をつけることではなくキツイということを体に覚えさせることです。

実際に大会で走るコースはそんな所です。

フルマラソンの坂がキツイとは違うのです。

もちろん走るペースはゆっくりでいいですし歩いても構いません。

でも大会の本番をある程度想定して走ってほしいのです。

甘くないなということを実感することが大切なのです。

正直に言うと私は今まで峠走の練習を全くせずに本番を迎えてきました。

ロング走やトレランをやっているから大丈夫だろうと。

結果は甘くありませんでした。

あれだけの坂をひたすら上るということがどれだけ厳しいことか。

それを知っているか知らないかによって心のダメージが大きく変わってきます。

坂が多い飛騨高山ウルトラも同じですが大会前にたった一回でいいので本番を想定して峠走を行っていただきたいです。

実際に挑戦する舞台はこういう峠なんだということを認識することが重要なのです。

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