Mt.FUJI100② 完走率67.24%/トレラン最高峰・人生初の100マイルに挑戦

大会記事

みなさんこんにちは。

ラン歴11年サブ3.5ランナー(3:17:58)のみつ(@hiroki.mitsunaga)が2024/4/26.27に開催されたMt.FUJI100に参加してきました。

2年前にMt.FUJI100(UTMF)のスタートラインに立ちたいと決意。

そこから私の人生が変わりました。

「Mt.FUJI100(UTMF)でマイラーになる」

この夢を叶えるために人生初の100マイルレースに挑戦してきました。

いつかはMt.FUJI100に出たい、いつかは100マイルレースに挑戦したいと思っている方にはきっとお役に立てる情報だと思います。

今回は44時間を超えるロングレースになるので①・②・③の3部に分けて執筆させていただきます。

Mt.FUJI100①に引き続きMt.FUJI100②も長文になりますが最後までお付き合いいただけたらうれしいです。

【 Mt.FUJI100 2024】レース動画完全版・前半戦(Instagramリール)

【 Mt.FUJI100 2024】レース動画完全版・後半戦(Instagramリール)

この記事を執筆している筆者の簡単なプロフィールになります。

目標はMt.FUJI100でマイラーになること。

アシックス大好きランナーでもあります。

  • 34歳(はじめは10km走れない状態)からランニングを始め現在45歳
  • 初フルマラソン5:35:29(2015) 名古屋アドベンチャーマラソン
  • フルマラソン3:17:58(2024) 姫路城マラソン
  • ハーフマラソン1:29:29(2022)ぎふ清流ハーフマラソン
  • 10km39:27(2023) 刈谷市かきつばたマラソン
  • 100kmトレイルランニング完走19:42:17(2023)奥信濃100
  • 100kmウルトラマラソン完走12:50:47(2023)野辺山
  • 118kmウルトラマラソン完走14:32:45(2023)チャレンジ富士五湖
筆者 奥信濃100 2023

なぜMt.FUJI100(UTMF)でマイラーになりたかったのか?

「なぜMt.FUJI100(UTMF)でマイラーになりたかったのか?」

初めに少しだけお話させてください。

サブ4、サブ3.5、ウルトラ100km、トレラン100kmなどひとつずつ目標を叶えてきましたが2年前に自分は何のために走っているのだろうと思うことがありました。

成長したいから?挑戦したいから?友達を増やしたいから?ストレス発散?体型維持?健康のため?ビールのため?美味しいごはんを食べるため?その他いろいろ、、、。

全てが走る目的に繋がっていたので満足の日々でしたが何かが物足りなくなってきた。

分かりやすく言うと目標を見失って何を目指していけばいいか分からなくなったのです。

走っていても楽しくない。

そんな日々が続いていた時、以前録画したグレートレース(UTMF)を見て衝撃が走ったのです。

その時のみなさんの表情が輝いていて本当にかっこよかった。

自分もあのスタートラインに立ちたい、そんな気持ちになったのです。

当時は出場条件などよく知らず自分が出れるような大会ではないと思ったが、

「Mt.FUJI100(UTMF)のスタートラインに立つ」

自分の中で新たな目標が決まった。

そこからはまた走ることが楽しくなり前向きな気持ちになれたのです。

私は何かの目標に挑戦している時、ワクワクしている時を求めていることに気付きました。

その途中には失敗やうまくいかないことがたくさん起こるけどその過程も楽しさのひとつ。

苦労があるから喜びを感じられる。

きっと苦労なしで完走してもそこまでの感動は得られない気がするのです。

苦労があってそれを乗り越えて達成するから感動できると思っています。

夢のような挑戦だけど可能性はゼロではないはず。

だから他の大会ではなくMt.FUJI100(UTMF)でマイラーになることを決めました。

第1関門(富士宮)25.3km~第2関門(麓)52.5km

ここからはMt.FUJI100①の続きになります。

第1関門(富士宮)

25.3km

4:37(スタートから4時間7分)

第1関門に到着したのは制限時間の23分前だった。

渋滞で関門に間に合うのかヒヤヒヤだったけどとりあえずは一安心(こんな所で終わってたまるか)

バナナを食べながらエイドを出発した。

4:47

月明かりを浴びながらだんだん夜が明けてくる。

新しい一日のはじまり。

刻刻と目の前の空が変化していく。

この時間はなんともいえない気持ちになる。

そして体が神聖な気持ちになっていく。

夜が明ける
早朝4:56
岩場を渡る

32km

5:30(スタートから5時間)

ロードから林道へ。

天子ヶ岳の看板が現れた。

この天子山地(天子ヶ岳、長者ヶ岳、熊森山)はみなさん口を揃えてキツイと言っているエリア。

私は一度だけこの区間を試走したことがあるのでなんとなくのイメージはできていた。

特に始めの天子ヶ岳と最後の熊森山、この2つは強敵です。

愛知県の新城を思い出させるような壁の急登が続きます。

足を残す、この区間は絶対に無理しない。

自分に言い聞かせて山に入った。

天子山地へ向かう
天子ヶ岳へ
看板現れる
林道
32km地点
アシックス トラブーコマックス3

道幅が狭いので前の人について行く感じ。

標高差700mを一気に登っていきます。

一歩一歩足を動かすだけでも大変、とても走れません。

一本道なので苦しくなったランナーは横に避けてお先にどうぞと合図を送る。

この区間で大切なことは自分のペースより速いと感じたら先に行ってもらうこと。

無理してついて行くと後半の足が売り切れになってしまうので。

今回は速くもなく遅くもなくちょうどいいペースだったので助かった。

シングルトラック
急登のはじまり
急登
きつい登り

6:40

後ろを振り返ると富士山のフォルムがくっきり見えた。

なんて美しい景色、力が湧いてきた。

前を歩く一人の女性。

なんとなく見覚えのある後ろ姿。

横顔をちらっと見るとやっぱり。

ONTAKE100でほぼゴールが一緒だったたえさんだった。

Mt.FUJI100のスタート前も会えたしレース中でも。

これだけの人がいても会える人は何回も会えるのです。

しばらくの間、会話しながら一緒に進んだ。

会話してると時間も距離も知らないうちにけっこう進んでいる。

誰とも喋らずずっと一人はけっこう厳しいけどこうやって合間合間に話ができるのはとてもありがたい。

この先もおそらくまた会えるんだろうな。

絶景富士山
コースマーク
たえさんと

登っても登っても頂上はやってこない。

どれだけ登らせるのか。

顔から汗が流れてくる。

7:00

天子ヶ岳山頂(1330m)に到着。

ふー、長い。

1時間半ひたすら登りっぱなしだったけど足を止めることはなかった。

この山すごいな、かなりパンチがある。

暑くなってきた
もうすぐ山頂
天子ヶ岳山頂
天子ヶ岳山頂

次に目指すのは長者ヶ岳。

多少のアップダウンはあるが天子ヶ岳に比べたらそこまで大変ではない。

体の力を抜いて一度リラックス。

足にダメージを与えないよう意識して進んだ。

7:26

天子ヶ岳から26分。

長者ヶ岳山頂(1335m)に到着。

スタート前に会えたちーちゃんと再会。

手前には田貫湖が見えます。

ベンチや椅子があるのでここで休憩する人はけっこういます(私は休憩なしでスルー)

あとここから見る富士山は本当に素晴らしい。

朝の時間だったので雲がほとんどなくきれいな稜線がばっちり見えた。

この景色を見るだけで疲れが一気に吹っ飛びます。

反対側を見ると雪を被った南アルプスも見えます。

長者ヶ岳山頂
ナイスビュー
ちーちゃんと
たぬきの置物
南アルプスが見える

長者ヶ岳の次は天狗岳を経由して熊森山を目指します。

何か口に入れたい、ウエストベルトの中をあさる。

のど飴とキャラメルどっちにしよう、2択で迷う。

甘いものが食べたい。

キャラメルを選択。

この選択、見事に失敗だった。

まさかのことが起こる。

普段から飴やキャラメルはすぐ噛んでしまうタイプの私。

キャラメルは危険なので気を付けながら優しく噛んだのに、、、。

下の前歯の裏、なんかザラザラする。

あきらかにいつもの感じと違う、何回も舌でその個所を確認する。

ギザギザ⁈ザラザラ⁈

痛くはないが気になってしょうがない。

うそでしょ?

このタイミングで詰め物がとれた。

あの時飴を選択していればこうはなっていなかったはず。

あー、もってない。

食べ物の選択を間違えると悪い流れになることがけっこうあるロングレース。

(詰め物がとれるなんてことはそうないが、、、。)

起こったことはしょうがない、これも受け入れて進むことにした。

アップダウンあり
歩きやすい道
詰め物取れる

8:11

大きな鉄塔の下に到着。

ここは気持ちがいい。

顔を90度右に向けると見事な富士山が(電線が少し邪魔ですが、、、)

とても景色が開けていて絶景が望めます。

スペースがあるので荷物を出したり補給したり、休憩もできます。

大きな鉄塔
絶景富士山

42km

8:40(スタートから8時間10分)

ちょうどフルマラソンの距離。

サブ3.5ランナーでもタイムは8時間越えなのです。

熊森山への登りがとにかくキツイ。

両手を腰にあてながら足を動かし続ける。

止まらない、止まらない、心の中で念じてないと足が止まってしまう感じ。

傾斜が急な所はロープがあるので腕の力で登った。

カランカラーン、カウベルの音が聞こえてくる。

この音が聞こえてくると毎回うれしい気持ちになる。

もうすぐだ。

「おつかれさまでーす、山頂でーす」

8:56

熊森山山頂に到着。

周りは暑さで疲れているのか、眠たいのか、地べたに座って休憩してる人がけっこういた。

ここから先は急な下りになるのでいったん補給してからスタートする人が多いみたい。

自分もジェルを1本とってから行こうとしたらふじたさんを発見。

ロングレースではどの大会もすごい確率で出会える仲。

同じくらいの走力だから抜いたり抜かれたり、いつもそんな感じ。

少し喋ってお互い完走しようと声を掛け合った。

厳しい登り
42km フルの距離を超える
熊森山山頂
ふじたさんと

以前天子山地を試走した時はここまでだったのでこの先のことは全く分からず。

どんなコースなんだろう、、、ワクワクドキドキだった。

いざ下り始めるとつま先にかなりの負担がかかる。

あまりに傾斜が急なので木に手をかけてブレーキをかけることも。

想像以上、、、これは絶対に突っ込んだら足がやられるやつだ。

思いっきりいったら前ももが崩壊するのが予想できた。

最小限のダメージを意識してちょこちょこ走り、歩幅を小さくして走る。

手でブレーキ
激下り

9:25

山の激下りを終えるとロードに出た。

目の前には富士山と平野が広がっている。

自分がまだ高い場所にいることが分かった。

下る、下る、一気に下る。

走れてしまうからここも大変なのだ。

ガツガツいったら足へのダメージがでかすぎる。

どれくらいのペースが適正なのだろう、、、非常に悩ましい。

最近はたくさんの失敗を経験して少し学んできたが昔は下りをガンガン飛ばして気持ちいいーって叫んでた。

その結果レース後半は廃人、ゾンビになり後ろからどんどん抜かれていった。

あーなってしまったらもう地獄、絶対に避けなくてはいけないパターン。

だから登りより下りの方が要注意なのだ。

以前「下りは豆腐を潰さないような着地」という言葉を聞いたことがあった。

いろいろな表現の仕方があるけど自分にはしっくりきた言葉。

豆腐を潰さないよう軽く優しくふわっと、こんな着地をイメージして走った。

絶景富士山
オールスポーツ写真
長い下りのはじまり
下る
ひたすら下る

48km

10:02(スタートから9時間32分)

第2関門 麓の手前5kmでボランティアさんとトイレを確認。

「ナイスランです」

その付近に存在する手書きのメッセージが気になった。

けっこうおもしろいセリフが書かれている。

ゴールまで120kmかー、もう感覚がマヒしてくる笑。

脳に刺激が入ると、そうだよなーと納得。

ちょっとしたメッセージで気持ちがほぐれた。

トイレ
まだ1万円分はしったくらい、笑
メッセージ
メッセージ
メッセージ
48km地点

だいぶ下まで降りてきた。

小さなこいのぼりが揺れている。

その先には富士山の頭が雲から顔を出していた。

「FUMOTO to go 2.5km 12:20in」

こういう手作り看板はありがたい。

現在の時刻は10:23

残り2.5kmで約2時間。

関門までは大丈夫そうだ。

下りもあと少し
だいぶ下りてきた
こいのぼりと富士山
手作り看板
第2関門まであと少し
もうすぐエイド

52.5km

10:47(スタートから10時間17分)

第2関門の麓に到着(貯金タイムは1時間33分)

少しだけ貯金が増えたので一安心。

水を補給してコーラをいただく。

山で飲むコーラはやっぱり最高、生き返る。

するとスタートで一緒だったむらかみさんと再会。

知っている顔を見ると元気がもらえます。

お互いがんばりましょうと言葉を交わした。

第2関門 麓
コーラがうまい
補給場
むらかみさんと

このエイドはテンション上がるなぁ⤴

その理由は大好きな富士宮焼きそばが提供されるからです。

いい匂いがしてくる。

富士宮焼きそばののぼりを発見。

ジュワー、ジュワー、いい音が聞こえてくる。

横では鉄板で焼きそばとキャベツを炒めているじゃないですか。

お腹が減っていたのでもうたまらん。

受け取ろうとしたら「2つにします?」

まじですか⁈神のお声が!

はい!焼きそばを2ついただく。

木のベンチがちょうど空いていたので腰を下ろす。

あーーーーーー、疲れた。

思わず声が出てしまった。

それくらい体は疲れていた。

頂いた焼きそばを食べる。

うまっ!麺はもちもち、油少なめで食べやすい

2つともぺろっと食べてしまった。

のぼり
アツアツジュージュー
キャベツ
富士宮焼きそば
休憩中

ゴミを捨てると大福もち、COFFEEの文字が目に入った。

今は大福の気分ではないな、コーヒーに手が伸びる。

外は暑かったがあつあつのコーヒーをすする。

あーーーー、幸せ。

疲れた体に染みわたった。

よしっ、気持ちは前向きだった。

トイレに向かうとその横にはサポーターエリアがあった。

それぞれ敷物を引いて自分だけの専用エリア。

美味しそうに食べている姿、楽しそうにしゃべっている姿。

少し羨ましかった。

食べてない
アツアツ
染みるうまさ
トイレ、サポーターエリアへ
サポーターエリア

第2関門(麓)52.5km~第3関門(富士河口湖町精進湖)70.7km

出口

大好きな富士宮焼きそばを食べて気分はいい感じ。

11:12

第3関門の富士河口湖町精進湖を目指してエイドステーションを出発。

山の中だけど林道や砂利道なので走れないこともない。

平坦な所はゆっくり走る。

57km

11:48

目の前にはでっかい山がドーーンと構えている。

辺りは広大な土地が広がっていた。

ここで少し止まろう。

足を止めてザックを下ろす。

少し前から気になっていたことがあった。

それは左の脇腹、ザックが擦れて痛みが出始めていた。

時間はもったいないがロングレースは早め早めの対策が必要。

ガーニーグーを気になる箇所にしっかり塗り込む。

※ガーニーグーはワセリン系クリームよりも長時間効果が持続して雨や汗でも落ちにくいクリームです。

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再びザックを背負った。

少し違和感はあるが行くしかない。

しっかりガーニーグーを塗ったから大丈夫なはず。

どうか痛みがひどくなりませんように。

ザックに結んでいる手ぬぐいを見た。

「ナイスラーーーン」

黄色い文字から勇気と元気をもらった。

林道
砂利道
前へ前へ
竜ヶ岳ドーーーン
ザックが擦れて痛い
ナイスラーーーン手ぬぐい

12:26

そろそろ竜ヶ岳の入り口かな。

木には中国語と英語の案内が貼ってあった。

鳥の声を聞きながら笹の間を登っていく。

なんだろう、さっきからずっと同じ景色に見えてくる。

ちゃんと進んでいるのだろうか?そんな気持ちになってくる。

気持ちは次第に無心になっていった。

看板
登山口
登山口
案内表示
笹エリア
笹の中を歩く
もうすぐ頂上

13:31

竜ヶ岳山頂に到着(入口から1時間5分で登ったことになる)

たくさんの人、そして富士山ドーーーーーン!!!

それにしてもすごい景色、まさに絶景スポット。

いままで見てきた富士山の中で距離が一番近かった。

地面には何人かの人が倒れている(正確には寝ている)

睡魔の限界だったのだろう、まだ自分は大丈夫だがいつかはこうなるのかと思った。

富士山を見ながら深呼吸。

スーーーー、ハーーーー。

ずっと同じ体勢だったので一度体を伸ばしてストレッチ。

自分の体が今どういう状態なのか確認していた。

疲れはあるがまだ気になる痛みはそこまでない。

あるとすればザックが擦れる左の脇腹くらい。

まだ大丈夫、新たな気持ちで下山モードに入った。

竜ヶ岳山頂
たくさんの人が倒れてる(寝てる)

前方には数々の山の稜線が見えた。

改めてすごい所を走ってるなと再確認。

足元はフカフカ、きれいな一本道、そして何度も言うが富士山ドーーーン。

こんなコースを走れるなんて最高すぎるでしょ。

富士山を独り占めしているみたいだった。

ここから下山
オールスポーツ写真
富士山ドーーーン
オールスポーツ写真
オールスポーツ写真

14:38

竜ヶ岳山頂から一気に下山すると本栖湖が一望できる場所へ。

またしても絶景。

その逆側ではランナーがたくさん集まっていた。

何してるのかな?

近づいてみると自販機と売店。

ジュースを飲んでる人もいればソフトクリームを食べてる人もいる。

なるほど、ここはランナーのオアシスってことね。

足が勝手に進んでいく。

んー、今はソフトクリームより炭酸の気分かな。

頭の中はコーラか三ツ矢サイダー、幸せ指数が上がっていく。

小銭を取り出し自販機を眺める。

1,2,3,4。

なるほど、そりゃそうなるよね、、、。

4つある自販機全ての炭酸が売り切れだった。

自分の走力では炭酸は残っていないのかー。

ソフトクリームの気分ではなかったので他のものを探す。

、、、。

おーーーい、ほとんど売り切れじゃん!

残っているのはお茶かコーヒーか。

視線をずらーーーっと横に流しているとある所で目が止まった。

紅茶花伝のピーチティー。

レース中なのでそんなにのんびりもしてられない。

お金を入れて即購入。

ピーチと紅茶で気分を変えてリフレッシュだ。

キャップを開けてゴクゴクゴク。

んーーーー、うまってなると思いきや、、、

うそでしょっ。

ゼリーじゃん!!!

当たり前だがさらっとした飲み物を想像していたのでショックがでかかった。

ラベルを見ると飲むジュレって書いてある。

小さすぎて分からんって(疲れてたのかな⁈)涙。

どろっとした飲み物を一気に飲み干して走り出した。

本栖湖
人がたくさんいる
自販機と売店

15:02

あれっ、体の異変をこの辺りから感じ始めていた。

痛い所はないが頭がぼーっとしている。

眠い。

睡魔が一気にやってきた。

スタートしてからここまで一度もなかった現象がついに起こる。

体調が悪いのかもと思ったが明らかに眠たい。

走りながら次のエイドで少し寝た方がいいと思った。

70.7km

15:33(スタートから15時間3分)

第3関門の富士河口湖町精進湖に到着(貯金タイムは3時間27分)

第2関門からはさらに1時間56分増えたことになる。

いい感じいい感じ。

約3時間半、これだけ貯金できればだいぶ余裕が持てる。

どれだけ寝ようかな。

仮眠できることで頭の中はいっぱいだった。

第3関門到着
第3関門到着
とにかく眠たい
富士山の頭が見える

眠気と戦いながらエイドに進むと豆とパスタのスープの文字が。

なんてお洒落な食べ物、手に取り味を確認する。

おいしい、洋風のトマト味。

おいしいと思えることは大切なこと。

胃はまだ正常に働いてくれている。

お腹が減っていたのでおかわりもいただいた。

その後はあんぱん、ポテチをいただきドーナツをザックのポケットに2つ詰め込んだ。

お洒落なスープ
うまい
柔らかいから食べやすい
ポテチとパン
ドーナツ2つゲット
エイド

お腹に食べ物が入るとさらに眠気の波がやってきた。

もうだめだ、横になりたい。

意識が朦朧となりながら仮眠所へ向う。

体育館の中に入るとブルーシートが敷かれていた。

ストーブが焚かれていてその周りには人の姿が。

そりゃみんな眠いよね、自分だけじゃなくて少し安心した。

15:40

ザックを下ろし靴を脱いで横になった。

何分寝たらいいのだろう。

レース中に寝るのはONTAKE100で熱中症になった時に日陰で寝たぶり。

でもあの時とは状況が違う。

今回は眠気、初めての経験なのでよく分からない。

とりあえず15分寝よう。

携帯のアラームをセットして手ぬぐいで目を覆った。

このまま起きれなかったらどうしよう、悪夢を想像する。

ぐっすり寝たいけどすぐ起きないといけない。

そんなことを考えながら目を閉じた。

ピピピピピ、ピピピピピ。

携帯のアラームが鳴った。

もう15分か。

ほとんど眠れなかった。

でも目を閉じて脳と体を一回オフにしたことで少しスッキリしたように感じた。

他の人は何分寝ているのだろう、、、

いびきをかいてる人もいるが果たして起きれるのだろうか?

そんなことを思いながら靴を履いて外に出た。

仮眠所
体育館 ストーブあり
仮眠中

なんだろう、この感じ。

少し前まで走っていたとは思えない不思議な感覚。

フワフワしている。

そのままエイドを出ようとしたがまだ寝ぼけているみたい。

温かい飲み物を体が欲していた。

もう一度食べ物エリアに行き携帯カップにミルクティの粉を入れ熱湯を注ごうとした瞬間だった。

あれっ!この入れ物熱湯って大丈夫だっけ?

おそらく今までコーラやアクエリばかりで熱湯を入れたことがなかったから。

ボランティアさんに聞いてみるとみなさん注いでますよと。

実際に熱湯を注いでみたが大丈夫だった。

なんかフニャフニャになりそうなイメージがあったからこのカップ案外やるなと思った。

口の近くに持っていきそっとすする。

あーーー癒される。

朝食でいただくアツアツのコーヒーを一口飲んだ感じ。

ミルクティーの甘みが体全体に染みわたる。

私はコーヒー、スープ、ラーメン、鍋など汁物はやけどするくらいのあつあつが好き。

そのためやけどしないように飲むのは上手だと思う。

今回もやけどしないで最後まで飲み切った。

最後にバナナを一本食べていると熊森山で出会ったふじたさんと再会。

「調子はどうですか?」

「今15分仮眠したおかげで少し楽になったよ」

少し話してお互いの状況を確認。

完走しようとエールを送りあいエイドを後にした。

あつあつミルクティー
ふじたさんと
出口

第3関門(富士河口湖町精進湖)70.7km~第4関門(富士北麓公園体育館)97.4km

第3関門(富士河口湖町精進湖)

16:24

第3関門(富士河口湖町精進湖)に到着して51分後、出口の青マットを通過してレースに復帰した。

まだ半分寝ぼけている状態だったのでゆっくり行こう、そう思った時だった。

まさかと思うような出来事が起きる。

えっっっっ!うそでしょー。

数秒前まで寝ぼけていたのに一気に目が覚めた。

致命的なミスを犯したことに気付く。

それはザックの胸ポケットに入っているフラスクに水を補充し忘れたのだ。

一つは空、もう一つは100mlくらいしか入っていない。

そんなミス今までやったことがなかったので信じられなかった。

関門の手前で睡魔がやってきて眠たい、早く寝たい、頭の中はこのことでいっぱいだったから水のことを忘れてしまったのだ。

第3関門からちょうど5分くらい走った所で気が付いた。

このまま次の関門まで行くことはほぼ不可能。

この先自販機やコンビニがあると分かっていれば進む選択もあるが全く分からない。

んーー、困った。

どうしたらいいのだろう。

第3関門に戻って水を補給することはできるのだろうか?

足を止め一度考える。

青マットの上を通過しなければ行けるんじゃないのか?

少し前の光景を思い出す。

んー、青マットを通過しないで水の補充場所まで行けたっけ?

記憶をさかのぼるが思い出せない。

このまま水なしで進むのは危険すぎるのでいったん第3関門まで戻ることにした。

何人かのランナーとすれ違う。

おそらくDNFする人だと思ったに違いない。

青マットの所に戻ってくるとちょうど近くにスタッフがいた。

「すいません、少し前にこの青マットを通過して外に出た者ですが水を補充し忘れてしまって。もう一度中に入って補充することは可能でしょうか?」

すると即答してくれました。

「青マットの上には絶対に乗らないでください。そちらの脇から入って戻ってくる時も青マットには乗らずに同じ道で出ていけば大丈夫ですよ」

まじですかーーー涙。

少し前まで蟻地獄に吸い込まれそうだったけどなんとか脱出できた。

まだ運はある。

敗者復活戦から這い上がったみたいだった。

水が補充できる。

水、水、水。

ひと昔前のガソリンスタンドだ。

「レギュラー満タンではなく、ウォーター満タン入ります」

2本のフラスクが水で満タンになった。

15分くらいロスしてしまったけどこれでまたレースに復帰できる。

補充できた喜びでうかれすぎて再び青マットの上を通過している自分を想像した。

あーーー、怖っ。

踏まない、踏まない。

同じ言葉を繰り返しながら青マットの上は通らずコースに出た。

次の目的地は足和田山を経由して第4関門の富士北麓公園体育館を目指す。

眠気は吹っ飛びやる気満々で走り始めた。

このコース、チャレンジ富士五湖ウルトラマラソンで走ったような違うような、、、。

鳴沢氷穴の前を通り抜けると山の中に入って行きます。

木の根っこや石は無くとても走りやすい。

同じような道をひたすら登って行きます。

富士五湖ウルトラの道に似ている
鳴沢氷穴
80km
足和田山へ

18:00

まだ明るいがヘッドライトを装着した。

ここからは2回目の夜を迎える。

どこまで登るのだろう、傾斜はそこまできつくないが距離が長い。

走ったり歩いたり、その繰り返し。

眠気はないが体が疲れているのが分かった。

ヘッドライト装着

18:57

足和田山山頂に到着。

空を見上げると真っ暗ではなく紺色というのだろうか。

富士山の頂上に積もる雪がうっすらと輝いていた。

何、この景色。

すごいタイミング。

自分より速く通過した人はこの景色を見ることができない。

真っ暗になるかならないか、この幻想的な時間帯。

今ここにいる人だけの特権だった。

近くにベンチや椅子があったので腰を下ろして補給食を食べた。

目の前にそびえたつ富士山を眺めながら本当にすごいコースを走っているんだなぁと。

贅沢すぎるよ、このコース。

苦しみながら楽しまないと。

こんな挑戦そう簡単にできないんだから。

日が暮れる
登り区間
足和田山山頂

19:28

まだ山の稜線がぼんやり見える。

水墨画で描いたようだった。

その手前に視線を移すと街の灯りが輝いている。

こういうご褒美があると苦しい気持ちが少しやわらぐ。

なんだかおかえりなさいと言ってくれてるような気持ちになり体がふっと軽くなった。

稜線と夜景

20:00

山を下山してロードに出るとデポバックが受け取れる富士北麓公園(97.4km)を目指していく。

スタートして19時間30分が経過していた。

しばらくの間住宅街の歩道を歩いていく。

まだゴールではないがいったんゴール会場へ。

気持ち的にはあと少しでゴールできるような感覚でもあった。

富士北麓公園に着いたら何をしよう、考えながら歩いていた。

服を着替えて、カップラーメンを食べて、補給食を入れ替えて、歯を磨いて、、、。

どんな感じになるのだろう。

新しいミッションがあるのでワクワク⁈ソワソワ⁈そんな気持ちだった。

前方を見るとコースはずっと上り、それもまーまーの傾斜。

走っている人はほとんどいない。

みんな足を止めずに歩いている。

住宅街を歩く
上りが長すぎる

21:30

長い、長い、本当に長い。

ずっと坂を上っている。

1時間以上同じような道だから精神的にもきつい。

富士北麓公園はいったいいつになったら現れるのだろう。

自分の中ではもう到着してもいい頃。

想像以上に長いので疲れ、イライラ、集中力の低下、思考停止、、、。

自分がどんな状態なのかよく分からなくなってきた。

眠気はなかったが気持ちが弱くなり何をしているんだろうと思い始める。

気が張っている時は前向きだが気が緩んだ途端にいろんなことが崩れ落ちるようだった。

頼むから着いてくれ。

もうこのままゴールでいいんじゃないかと思えてきた。

21:51

富士北麓公園の街灯が見えてきた。

辺りはライトアップされボランティアの人が赤い誘導棒を振っている。

会場内に入ると分岐の矢印が見えた。

【FUJI100ランナーのみ、→】

右に行くのね。

ボランティアさんが声を掛けてくれる。

「おかえりなさい」

「ゼッケン番号を確認してまーす」

「3070」

自分の番号が読み上げられた。

97.4km地点、正直ここがゴールでもいいと思った。

それくらい足、体力、メンタルが疲れていた。

自分の意志で参加してるのにもうこれ以上いじめないでくれ、そんな気持ちになってくる。

100マイル。

人間の限界を超えている。

頭おかしいでしょ⁈

100kmで充分でしょ⁈

ここからまだ70kmもあるの⁈

体がぶっ壊れてしまうと思った。

本当に何をやっているのだろうか?

当たり前だがこんな気持ちになるのは初めてだった。

エイドに着くと水を補充してバナナ、パンを食べてアミノバイタルを1本いただく。

流れに沿って歩いて行くと体育館の中へ。

入口に青色の計測マットが引かれていた。

ようやく着いた
100マイルランナーは右へ
エイド
エイド
エイド
エイド
体育館入口
青い計測マット

97.4km

22:01(スタートから21時間31分)

第4関門の富士北麓公園体育館に到着(貯金タイムは1時間44分)

第3関門からはマイナス1時間43分になる。

貯金を切り崩す展開に。

デポバックを受け取ると前からちーちゃんが歩いてくる。

「ナイスランナイスラン」

グータッチで歓迎してくれた、ありがとう。

知ってる顔を見て会話すると本当にパワーがもらえる。

周りを見渡し空いているスペースを探す。

ストーブ近くの人がちょうど立ち上がったのでその場所に入った。

「あーーー、疲れた」

ザックを下ろし荷物預けの袋からデポバックを取り出す。

中の荷物をいったん床に広げた。

家で作ってきたやることリストを確認しながら行っていく。

着替えてワセリンを塗る。

携帯の充電。

時計の充電。

ライトの電池交換。

補給食の交換。

ひげそり。

出発できる準備が完了したらカップラーメンを持って外にお湯をもらいに行く。

お湯を注いだら再び体育館の中へ。

楽しみにしていたカップラーメンタイム。

いただきます。

ふーふー、ずずずずず。

うまっ!

次にスープをすする。

あー、この味。

アツアツで幸せ。

カップラーメンを食べることに夢中だった。

うまい、うまい、うまい。

鬼滅の刃のワンシーンで煉獄さんがうまいうまいってそばを食べているようだった。

ドロップバック受取
ちーちゃん
やることリスト
あつあつで生き返る

23:10

カップラーメンを食べ終わると荷物をまとめ出発の準備をする。

そんなにゆっくりしたつもりはないがけっこう時間が経っていた。

このエイドの最終出発時刻は23:55。

残りは45分。

若干寒かったのでストーブの前で温まりながら考えていた。

ここは運命の分かれ道。

すぐにエイドを出る選択もあったがギリギリまで休んだ方がいいと思った。

体はかなり限界を迎えていたし、やってやるという気持ちが湧いてこない。

それなら休めるだけ休んで少しでも流れが変わることに賭けた。

床に横になり帽子で顔を覆って目を閉じた。

、、、。

20分くらいかな。

深く眠ることはなかったけど体のスイッチをオフにすることができたので楽になったような気がする。

ゆっくり起き上がり自分の状態を確かめる。

すーーーーー、はーーーーー。

大きく深呼吸。

大丈夫。

まだいける。

少しだけ気持ちに変化があった。

この大会でマイラーになるために今日までやってきたんだから。

諦めたくない。

戦闘モードに入った。

23:50

関門閉鎖5分前。

貯金タイムは全て使い果たした。

諦めるのは簡単だけどせっかくここまできたんだから。

行ける所までいってみよう。

この先に待ち構える二十曲峠・杓子山・霜山。

どれもキツイと話は聞いている。

果たして自分はゴールできるのだろうか?

どんな結末が待っているのだろうか?

足が動く限り、関門アウトにならない限りは先へ進みたい。

できる、絶対にできる。

自分に言い聞かせた。

デポバックを再び預けてレースに復帰した。

時間ギリギリまで休む
出口
レースに復帰

まとめ

97.4km

第4関門富士北麓公園に着いたとき正直ここでゴールでもいいと思った。

それくらい体が疲れていた。

ここからまだ70kmもあるの?

うそでしょ?

何が普通なのか分からなくなる。

100マイルの世界はぶっ飛んでいた。

途中キャラメルで詰め物が取れたり、眠気に襲われ水を補充し忘れたり。

通常では起こらないようなことも経験してきた。

こんな状態で最後まで行けるのだろうか?

不安しかなかった。

でも諦めるのは簡単だしせっかくここまで来たんだから。

まだチャンスは残っている、それなら行ける所まで行ってみよう。

この大会でマイラーになるために今日まで頑張ってきたんだから。

絶対に諦めたくないと思った。

Mt.FUJI100③へ続く。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

おまけ

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※私が使っているレッドレンザーNEO10Rは生産停止に、その後継機種(NEO9R)になります↓

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