【ふくい桜マラソン】届かなかったサブ3、最後まで戦い抜いた42.195km

大会記事

みなさんこんにちは。

ラン歴13年のみつ (@hiroki.mitsunaga) が2026/3/29に開催されたふくい桜マラソンに参加してきました。

目標はサブ3とPB更新(2:58:37)

本来なら先月の姫路城マラソンを走る予定でしたが、首を痛めてしまい無念のDNS。

その後もなかなか状態は良くならず、正直「福井も走れないかもしれない」と不安な日々が続いたが、なんとかスタートラインに立つことができました。

思うような練習は積めなかった。

万全とは言えない状態だった。

それでも今できる全力を出そう。

そう決めて、福井の地へ向かいました。

レース内容をすぐに読みたい方は

「5.スタート」からご覧ください。

この記事を執筆している筆者の簡単なプロフィールになります。

現在の目標はマラソン2時間57分台。

アシックス大好きランナーでもあります。

  • 34歳(はじめは10km走れない状態)からランニングを始め現在47歳
  • 初フル5:35:29(2015) 名古屋アドベンチャーマラソン
  • フル2:58:37(2026) にしおマラソン
  • ハーフ1:23:51(2025) お伊勢さんマラソン
  • 10km39:27(2023) 刈谷市かきつばたマラソン
  • 100kmウルトラマラソン完走10:24:26(2025)チャレンジ富士五湖
  • 100kmトレイルランニング完走24:05:29(2024)志賀高原100
  • 100マイルトレイルランニング完走44:15:44(2024) Mt.FUJI100

結果

記録証

ふくい桜マラソン2026の結果になります。

ネット 3:02:03

グロス 3:02:41

んーーー、悔しい。

レース中、どこかで「ワンチャン、サブ3いけるかも」と思った瞬間もありました。

でも、あと一歩届かなかった。

気温はやや高め。

ただ、それ以上に敗因は自分の中にあったと思っています。

「絶対にサブ3を達成する」

その覚悟や執念が、足りなかった。

記録を狙うレースは、脚力だけでは届かない。

最後は気持ちの強さがものを言う。

改めてそう感じました。

それでも、走り終えたあとは、

「よく頑張った」と思える自分もいました。

万全ではない状態の中でスタートラインに立ち、最後まで粘って走り切れたこと。

それは素直に認めてあげたいと思います。

今シーズン最後のフルマラソン。

本当はサブ3で締めたかったけど、まずまずの走りはできたと思っています。

コース

コース

ふくい桜マラソンのコースはわりかしフラットなので記録は狙えると思います。

最低標高6m、最高標高21m(高低差は15m)

今回は気温が高めだったけど、もう少し低くて気象条件が揃えば勝負できる大会です。

今年は桜がちらほら咲いていたのでラッキーでした。(これは運まかせ)

37kmで9.98スタジアムのトラックを走れるのもなかなかいいです。

コースマップを左に90度回すと恐竜の形になっているのがとてもユニークでおもしろい。

前日移動

7:30

自宅を出発。

福井までは車で約3時間の旅。

レース前日の道中は、いつも少し特別な気分だ。

9:20

養老SAでひと休み。

ちょうど桜が満開だった。

春らしい景色に迎えられながら、黒豚まんをいただく。

10:40

南条SAに到着。

すると、なぜかここ限定でシュガーバターの木ソフトクリームを発見。

“限定”
“ここだけ”
“初めて見る”

この言葉に弱い私が、見逃すはずもない。

もちろん、いただきました。

そして、さすが福井。

サービスエリアの入口横には、しっかりとメガネコーナーと恐竜。

福井に来たんだなあと、こんなところでも実感する。

12:00

お目当ての笏谷そばさんへ。(しゃくたにそば)

運ばれてきたおそばを見て、まず驚く。

そばに鰹節がかかっている。

この組み合わせは初めてかも。

とても美味しかった。

12:45

動物がいるみたいなので足羽山公園遊園地へ。(入園無料)

レース前日に動物園へ向かうランナーがどれだけいるのかは分からないが、こういう寄り道こそ遠征の醍醐味でもある。

カピバラ、ナマケモノがかわいかった。

他にもいろんな動物がいて癒されたー。

13:20

続いて、足羽神社へ。(あすわじんじゃ)

ここには樹齢380年のシダレザクラがあると聞き、どうしても一度見てみたかった。

境内に入りその姿を目にした瞬間、思わず足が止まる。

圧巻。

満開にはまだ少し早かったけれど、ものすごいパワーをいただいた。

14:00

福井駅に到着。

オカノヤマメンバーと合流して、駅前で開催されているマラソンイベントをしばし観覧。

その後、駅に移動すると、まさかのくれいじーかろくんにばったり遭遇。

思わずテンションも上がる。

15:15

ホテルにチェックイン。

明日の準備をしてしばし休憩。

16:40

福井駅前の恐竜前に集合。(名古屋でいう金時計前みたいなやつかな⁈)

約1km、歩いて夕食へ。

鰻、ここは蒸しが名物みたい。

フワッフワ。

明日への最高のエネルギー補給になった。

帰り道、ライトアップされてる桜(1~2部咲き)を見ながら再び駅へ。

遠征先で知らない所を歩くのはけっこう好きです。

20:30

あっ!、忘れてた。

20時から富士登山競争のエントリー開始だった。

完全に頭の中が明日のふくい桜マラソン一色になっていて、すっかり抜け落ちていた。

慌ててエントリー画面へ。

しかし、サイトに繋がらず、、、。

更新、更新………………..。

21時、エントリー終了。

まじかーーー。

大会前日に先着エントリーは心によくない。(ましてや、遠征先だし)

なかなかのダメージである。

でも、終わったことはしょうがない。

そう自分に言い聞かせて、気持ちを切り替える。

明日は明日の勝負がある。

おやすみなさい。

当日の朝

4:30

起床。

私にしてはまずまず眠れた方かな(睡眠達成率70%)

この日は十分合格点である。

昨日買っておいた福井名物、焼き鯖寿しをいただく。

朝からこれは、なかなかの贅沢。

テンション上がる⤴

その後は、着替えてファイテンシール貼って、準備完了。

6:20

ホテルを出発。(スタートは8:30)

天気は快晴。

福井駅前の恐竜を見ながら会場に向かう(徒歩約10分)

6:50

オカノヤマメンバー、ラン友さんと合流する。(中央公園)

7:40

荷物を預けてウォーミングアップしてトイレを済ませる。

8:10

スタートに整列(Bブロック)

なかいさん、たこさんに会えて元気をいただく。

なかいさん
たこさん

大迫傑さんのスピーチを聞きながら、心の状態を整えていく。

今回の目標はサブ3とPB更新(2:58:37)

先月走る予定だった本命レース、姫路城マラソンはDNS。

あの日はスタートラインに立つことすらできなかった。

だからこそ、今日こうしてここに立てていることがうれしかった。

走れること。

挑戦できること。

その当たり前ではない幸せを、今日はしっかり噛みしめたい。

姫路の分も楽しもう。

そう心に誓った。

スタート1分前。

スーーーーハーーーー。

目を閉じて、大きく深呼吸。

今回の作戦はサブ3ペーサーが見える位置で30kmまでは我慢。

そこから先は、脚と体の状態を見ながら展開次第で。

胸を2回叩いて、気合い注入。

3時間以内にゴールしている自分の姿を想像して、スタートを待った。

スタート~10km

8:30

ふくい桜マラソン、スタート。

おそらくマラソン大会で8:30スタートは初めてだと思う。

少し早めの号砲が、どこか新鮮だった。

空を見上げれば雲ひとつない快晴。

スタート会場には、大会テーマソングでもあるヒナタカコさんの「新/春風」が流れていた。

その歌声が、自然と気持ちを上げてくれる ⤴

一度耳にすると、脳内で何度もリピートしてしまうほどの威力。

スタート直後の高揚感にぴったりだった。

毎年「ふくい桜マラソン」と言いながら、桜がまだ咲いていない年も多いらしい。

でも今年は違った。

ちゃんと桜の花びらを確認できた。

日当たりによって咲き具合はまちまちだったけど、視界にふっと入ってくる淡いピンクがとにかく豪華で贅沢だった。

春の中を走っている、そんな実感があった。

Bブロックスタートだったので、序盤はやや前が詰まる。

けれど、ここは焦らず我慢。

渋滞がばらけるのを待ちながら、落ち着いて流れに乗る。

今回の設定ペースは【4:10~4:14】 

1km 4:30

もう少し遅いかと思っていたので、まずはひと安心。

ここで自分の状態を確認する。

痛いところはない。

呼吸も落ち着いている。

脚も軽く、順調に走れている。

沿道にはたくさんの応援の人たち。

服も応援グッズもピンク色が多く、桜の景色と見事にマッチしている。

街全体に統一感があって、あたたかい。

いいぞ、福井。

スタートしてまだ数キロ。

でも、この大会への印象はもうすでに良かった。

5km

北陸新幹線が走る高架下へ。

場所によっては日陰になっているのでリラックスして走れた。

そしてかなた前方には、うっすらとサブ3集団の姿が。

まだ少し距離はある。

でも、しっかり見える位置で走れている。

じわり、じわりと追いついていこう。

そんな気持ちで、まだ余裕はあった。

7km

暑い。

走りながら、汗をかいているのがはっきり分かった。

ここ最近は涼しい中で走ることが多く、ここまでしっかり汗をかきながら走る感覚は久しぶりだった。

この時点で感じた。

後半は、暑さとの戦いになると。

今回の設定ペースは【4:10~4:14】 

2km 4:18

3km 4:14

4km 4:13

5km 4:08

6km 4:16

7km 4:06

8km 4:15

9km 4:10

10km 4:14 (42:25)

10km~20km

10km

このあたりで、コースの道幅が一気に狭くなる。

そのぶん沿道との距離がぐっと近くなり、応援の声がまっすぐ身体に届いてくる。

これは元気をもらえる。

拍手、声援、差し出される手。

街全体で背中を押してくれているようだった。

ただ、ランナー同士の間隔も近くなる。

接触や転倒の恐れもあるので、そこは冷静に注意しながら走った。

14km

丸岡城が見えてきた。

石垣と松が実に立派で、歴史の重みを感じさせる堂々たる景色。

その前では、和太鼓の演奏。

さらに甲冑姿の応援隊までいて、会場はめちゃくちゃ盛り上がっている。

熱い。

周辺の空気そのものが熱を帯びている。

ドンドンと響く太鼓の音。

響き渡る声援。

右手に広がる城の存在感。

そのすべてに胸がじーんとする。

このエリアが、ある意味いちばん活気があったように思う。

そして何より、自分の心が素直に楽しいと感じていた。

「気持ちいーーー!」

思わず声がでてしまった。

15km過ぎ、ここから約3km続く名物のスライドゾーンへ。

ここまで長いスライド区間は、初めてかもしれない。

しかも道路は一車線。

そのためランナーの密集度がすごい。

前方から、次々と人の波が流れてくる。

人。

人。

人。

うぅーーーー。

なんか酔う。

私は一番左側、スライドに近いラインを走っていたので、向かってくるランナーたちの圧をダイレクトに感じる。

視界いっぱいに人が入ると、思った以上に疲れる。

そこで前を走るランナーの首から背中だけを見るようにして、あえて視野を狭くした。

こうすると少し楽になる。

するとその時、

「みつさん、ファイトー!」

横から声が飛んできた。

たきさんだ。

福井では知り合いがそこまで多くない。

だからこそ、こういう声かけが本当にうれしい。

しばらく進むと、また聞こえた。

「みつさーん!」

今度はえっちゃん。

ほんの一瞬だったけれど、気づいてもらえて元気をもらった。

やっぱりスライド側を走ると、こういうご褒美がある。

だから私は、基本的にスライド側を選びがちだ。

人に酔うというデメリット。

元気をもらえるというメリット。

さて、ランナーのみなさんは実際どちら派が多いのだろう…。

19.5km

給水エイドへ。

手に取った水を、まずは首にかける。

火照った身体に、ひんやりとした感覚が広がる。

そして、もう一杯。

今度はそのまま頭からかけた。

暑い。

まだレースは半分にも届いていない。

それなのに、頭の中はすでに暑さのことでいっぱいだった。

このまま、もつのだろうか。

脚よりも先に、体温との戦いが始まっている気がした。

この先はただ走るだけでは厳しい。

エイドごとにしっかり水をかけて、身体を冷やしていくこと。

それが今日を戦い抜くための必須条件だと思った。

今回の設定ペースは【4:10~4:14】 

11km 4:19

12km 4:12

13km 4:14

14km 4:10

15km 4:11 

16km 4:13 

17km 4:09

18km 4:15

19km 4:14

20km 4:07 (1:24:40)

20km~30km

20km

ついに、サブ3集団に追いついた。

ここまで焦らず、じわじわと差を詰めてきた成果だ。

前方に見えていた背中がようやく手の届く位置まで来た。

そのまま集団の後方につき、しばらく走ることにした。

一定のリズムで進むペーサー。

周囲にも同じ目標を持ったランナーたち。

この集団の中にいると、不思議と気持ちも落ち着く。

ただ、余裕度で言えば45%。(半分切ってる)

まだ走れてはいる。

でも、決して楽ではない。

呼吸も脚も、少しずつ負荷を感じ始めていた。

だからこそ、ここで無理はしない。

今回の作戦は明確だった。

30kmまでは、サブ3ペーサーの前に出ない。

流れに乗り我慢する。

焦って勝負するのはまだ早い。

本当のレースは、30kmから始まる。

そう自分に言い聞かせながら、静かに集団の背中を追い続いた。

21.0975km(中間点)

ハーフの通過タイムは1:29:12。

想定より10〜20秒ほど遅かった。

とはいえ大きく崩れているわけではなく、数字としては十分勝負できる位置にいる。

サブ3集団の中で走れていることを考えれば、悲観する内容ではない。

ここで細かくペースを気にしすぎても仕方ない。

このまま30kmまでは集団についていこう。

そう決めて、時計よりもリズムを優先することにした。

25km

左手には山の稜線。

その下にはゆったりと流れる九頭竜川。

視界が一気に開けて、なんとも気持ちいい。

福井らしい雄大な景色が広がり、走っていること自体が少し特別に感じられた。

ただ、空には雲がない。

見事な晴天。

つまり、暑い。

じわじわと体力を削ってくる日差し。

残り17km。

このまま暑さにやられるのか。

それとも足が攣るのか。

頭の中には、つい嫌な展開が浮かんでしまう。

今シーズンラストレース。

「サブ3で締めくくるんだ。」

そう言い聞かせる。

高屋橋を渡りながら、九頭竜川の絶景をほんの一瞬だけ楽しんだ。

その先に待つ勝負の時間へ向けて、心をもう一度整えた。

28km

サブ3ペーサーのひとりが、集団に向かって声をかけてくれた。

「残り1/3ですよーーー!」

続けて、「カップラーメンなら、あと1分ですよーーー!」

思わず、うまいなと思ってしまった。

それまで頭の中は、暑さのことばかり。

しんどさや不安が少しずつ広がり始めていた。

そんなタイミングで、この言葉。

まさにグッドタイミングだった。

カップラーメンなら、あと1分かぁ。

そう思うと、不思議なもので残り14kmが急に短く感じる。

言葉や会話の力って、本当にすごい。

たった一言で、流れが変わることがある。

気持ちが軽くなったり、視界が開けたりする。

それがマラソンの面白いところでもある。

ちょうどこの時、自分の中では「きつい」「苦しい」が顔を出し始めていた。

でも、その一声で気持ちがリセットされた。

また前を向けた。

神ペーサーに出会えたことに、心から感謝です。

まもなく30km。

ここから、レースが本当の顔を見せ始めた。

徐々にサブ3集団が前へ離れていく。

さっきまで同じリズムで走っていた背中が、少しずつ確実に遠くなっていく。

ここで諦めたら、もうサブ3はできない。

頭では、分かっている。

だから離されちゃいけない。

絶対についていかなければいけない。

でも、脚がいうことをきかない。

少し無理をすれば、まだ追いつける距離だ。

頑張れば届く。

その感覚はある。

けれど同時に、脳から別の指令が飛んでくる。

「それをやったら、最後までもたない。」

……。

あーーー、困った。

攻めれば潰れるかもしれない。

抑えれば目標が遠のく。

マラソン30km付近では、こういう残酷な選択が待っている。

さて、この場面で選ぶべきは、追う勇気か?耐える冷静さか?

今回の設定ペースは【4:10~4:14】 

21km 4:18

22km 4:14

23km 4:13

24km 4:11

25km 4:14

26km 4:19

27km 4:14

28km 4:16 

29km 4:16

30km 4:21 (2:07:01)

30km~40km

30km

今シーズン最後のフルマラソン。

サブ3で締めくくるんだ。

何度も心の中で気持ちをぶつける。

けれど、その言葉を自分自身が受け止めきれない。

覚悟が、足りない。

この時点で、もう答えは出ていたのかもしれない。

「何がなんでもやってやる」と腹が決まっている時は、迷いなんて生まれない。

即答で前へ出る。

即答で苦しさを受け入れる。

即答で勝負できる。

でも、この時の自分にはそれがなかった。

もう一度、自分に問いかける。

絶対にサブ3するのか?

——その熱は、湧いてこなかった。

まだレースの途中なのに、もう悔しさを感じていた。

以前、まみぃにこんな言葉を言われたことがある。

「サブ3を3回やったら、真のサブ3ランナーだよ」

だから、この福井で達成して、サブ3を3回できたことを証明したかった。

でも現実は、簡単じゃない。

そんなことを考えながら走っていた。

それでも前を見れば、まだサブ3ペーサーの旗は見えている。

届かない距離じゃない。

だから叫ぶ。

「まだ諦めんな!」

懸命に、何度も。

自分の心に向かって、気持ちを奮い立たせ続けていた。

34km

30kmで離され始めた時、このままずるずると差が開いて終わるのかと思った。

でも、気持ちはまだ糸一本でつながっていた。

悔しさを感じてからの4km。

身体はかなりきつい。

余裕なんてもうほとんどない。

それでも、まだ粘っている。

前方には、なんとかサブ3ペーサーの旗が遠くに見える。

消えそうで消えないギリギリな感じ。

少しずつ離れていっているのは間違いなかった。

それでも、視界にある限り希望は消えていない。

何度も諦めそうになる。

でも、諦めたくなかった。

ここまで積み上げてきたものを、中途半端な気持ちで終わらせたくない。

出し切って終わるんだ。

その言葉を、何度も何度も心の中で唱えていた。

そして同じチームのつばさくんやながたさんも、どこかで必死に頑張って走っているに違いない。

みんな戦っている。

そう思うと、自分だけ弱気になるわけにはいかなかった。

だから今日もまた、苦しさの中で前へ進むしかなかった。

36km

カーブを右へ曲がろうとした、その瞬間だった。

前方から、つばさくんが走ってきた。

そして大きな声で、

「ファイトーーー!」

すかさず、こちらも叫ぶ。

「ファイトーーー!」

一瞬のすれ違い。

でも、その数秒で十分だった。

まさかこのタイミングで出会えるとは思っていなかった。

つばさくんは、私が初めてサブ3を達成したみえ松阪マラソンで、公認サブ3ペーサーを務めた人でもある。

あの時、背中を追い続けた人が、今、苦しさのど真ん中で再び現れた。

これはもう、運命の再会だと思った。

絶対に何かある。

この出会いには意味がある。

心は折れかけていた。

脚も限界に近かった。

それでも、再び気持ちに火がついた。

あの時サブ3できたんだから、今回もできる。

根拠なんてなくていい。

そう思い込むことが、この場面では力になる。

まだ終わっていない。

勝負は、ここからだった。

37km

ゴールでもないのに、9.98スタジアムの中へ入っていく。

トラックを走れる。

それだけで、不思議なくらい気持ちが変わった。

足元の感触。

広がるフィールド。

競技場独特の空気。

毎週木曜の夜、仲間と積み重ねてきた半陸連の練習を思い出す。

苦しいメニューもあった。

諦めそうになる日もあった。

それでも、サブ3をやるために真剣に積み上げてきた。

共に走ってきた仲間の顔が、次々と浮かんでくる。

練習の成果を発揮するのは、今なんだ。

今頑張らないと、後悔するぞ。

自分に問いかける。

——分かっている。

頭では、ちゃんと分かっている。

でも現実は残酷で、ペースは落ちていく。

ああ、マラソンしてる。

そんな気持ちになった。

この瞬間からが、本当のマラソンなのかもしれない。

諦めてもいい。

歩いてもいい。

エイドを楽しんでもいい。

いろんな誘惑が頭をよぎる。

でも、やはり諦める走りだけはしたくなかった。

今できる精一杯。

今できる全力。

後悔しないように走りたい。

心がずっと叫んでいた。

スタジアムを出ると、また現実に引き戻された。

——暑い。

20kmを過ぎてから、エイドでは毎回水を頭からかぶっていた。

それでも、この暑さはさすがにこたえる。

体力も削られる。

集中力も削られる。

でも、やめるわけにはいかない。

崩れそうな身体と心を必死に整えながら、前へ進み続けた。

38km

ペースは落ちている。

それは自分でもはっきり分かっている。

それでも、不思議とあまり抜かされていなかった。

周囲を見れば、コース脇で立ち止まっている人。

歩き始めている人。

脚を気にしながら進んでいる人。

苦しんでいるのは、自分だけじゃない。

むしろ、この暑さの中でみんな限界と戦っている。

私はBゼッケンだったけど、このあたりではAゼッケンのランナーを抜いていく場面の方が多かった。

前半に速く入った人たちも、この暑さに苦しめられている。

そう思うと、少し救われた。

抜かれて崩れていく側ではなく、まだ抜いていく側にいられる。

それだけで気持ちはつながる。

残り4km。

ここから先は、もう理屈じゃない。

脚力でも、フォームでもない。

気持ちしかない。

「諦めんな。」

いつもの言葉を、自分に何度も言い聞かせながら走っていた。

40km

もうサブ3ペーサーの姿は見えなくなっていた。

視界の先にあった旗も、背中も、もうない。

勝負の流れは見えていた。

私の中には、ひとつの目安がある。

40kmの通過が2時間50分を超えていたら、サブ3はかなり厳しい。

そして現在の時計は——

2:51:46

この時点で、サブ3は厳しい。

もちろん、悔しさはあった。

それでも同時に、少し驚いている自分もいた。

この暑さ。

この苦しさ。

そんな状況の中で、思ったよりは粘れている。

まだ完全には崩れていない。

最後まで戦えている。

それは小さな誇りだった。

残り2km。

泣いても、笑っても、あと2kmで終わる。

長かった42.195kmも、もう終盤。

ここからは、ただひとつ。

「出し切る。」

その言葉とともに、最後の2kmを走ることにした。

今回の設定ペースは【4:10~4:14】 

31km 4:20

32km 4:18 

33km 4:12

34km 4:22

35km 4:20

36km 4:27

37km 4:25 

38km 4:31

39km 4:40 

40km 4:39 (2:51:46)

40km~ゴール

40km

無理かも、そう思いながらもここまで来た。

周りのランナーも歯を食いしばって走っているのが伝わってくる。

おそらくこの辺りにいるランナーはサブ3を意識している人ばかりなはず。

みんなどんな想いで走っているんだろう。

走りながらとても仲間意識が湧いていた。

今回の設定ペースは【4:10~4:14】 

41km 4:43

これが今の全力だった。

あと1kmの看板。

前を見ると両脇に桜がけっこう咲いていた。

「おかえりなさい。」

一本一本の桜が祝福してくれているようで、これぞふくい桜マラソンだと思った。

最後の直線に入った。

沿道にはたくさんの声があった。

そのひとつひとつが、重くなった脚を前へ運んでくれる。

先月走るはずだった姫路城マラソンはDNS。

練習はしっかり積めていたが、本命レースのスタートラインに立てなかったあの悔しさ。

やり場のない気持ちだけが残った。

でも今日は違う。

こうして福井の街を走り、42km先のゴールへ向かっている。

走れること。

スタートラインに立てること。

当たり前のようで、決して当たり前じゃない。

そのことを、今日の42kmが教えてくれた。

42km 4:43

残り200m。

サブ3には届かなかった。

けど、諦めなかった。

苦しくても、崩れても、最後まで前を向いて走った。

悔しさがゼロなわけじゃない。

むしろ、悔しい。

でもその悔しさは、本気で目指した人だけが手にできる感情だと思う。

サブ3は簡単じゃない。

努力したからといって、必ず叶うものでもない。

だからこそ価値がある。

だからこそ、何度でも挑みたくなる。

ゴールラインを越えた瞬間、思った。

まだ終わっていない。

この挑戦は、きっとここからまた始まる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ゴール後、両手を腰にあてて空を見上げた。

やり切った気持ちと、届かなかった悔しさ。

その両方が胸の中にあった。

でも不思議と、下を向く気持ちはなかった。

また挑戦したい。

もっと強くなりたい。

そう思える自分が、少しうれしかった。

フルマラソンが終わったその先に、次は100kmの挑戦が待っている。

舞台は飛騨高山ウルトラマラソン。

目標はサブ10。

簡単ではない挑戦だ。

でも、簡単じゃないから心が燃える。

福井で流した汗も、悔しさも、全部連れて勝負してきます。

レース後

疲れた体を癒しに極楽湯へ。

あーーー、生き返った。

親子丼を食べながら、レースの振り返りトークを楽しんだ。

まとめ

ふくい桜マラソン2026。

結果は3:02:03(ネット)

目標にしていたサブ3には、あと一歩届かなかった。

悔しい。

それが一番正直な気持ちです。

先月の本命レース、姫路城マラソンは首の痛みでDNS。

積み上げてきた練習をぶつける場所を失い、やり場のない悔しさだけが残った。

だからこそ、この福井でスタートラインに立てたこと自体がうれしかった。

走れること。

挑戦できること。

ゴールを目指せること。

それは決して当たり前ではないと、42.195kmを通して改めて感じました。

そして、記録を出すには脚力だけでは足りない。

体調、気候、準備、そして最後に自分を押し切る心の強さ。

そのすべてが揃って、初めて結果につながるのだと実感しました。

サブ3には届かなかった。

それでも、この悔しさがあるうちは、まだ挑戦をやめたくありません。

これからも今まで通り、挑戦を続けていきます。

なので応援していただけたらうれしいです。

次の挑戦は4/18開催の渥美半島ウルトラネイチャーラン73km。

飛騨高山ウルトラマラソン100kmでサブ10を達成するための大切な一戦として走ってきます。

ここからまた、新しい挑戦の始まりです。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

おまけ

福井の街で、ひとり打ち上げ。

一杯飲んで、蕎麦で締める。

福井土産は羽二重くるみ。

超絶品です!

翌日は永平寺へ。

まだ雪が残っててびっくり。

その後は、気比神宮へ。

最近パワースポット巡りにハマってます。

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